ユーザーエクスペリエンスのチカラ

長谷川敦士氏「単なる利用者のニーズではなく、何に価値を感じるのか本質的に捉えて、そこに向かうことがUXの肝」

インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏に、UXへの考え方や取り組み、事例などを聞いた。

このコーナーでは、UX(ユーザーエクスペリエンス)に造詣の深い人物や、UXを実践している担当者へのインタビューを通じ、さまざまな視点からUXのヒントを探っていく。

ユーザーエクスペリエンスのチカラ
長谷川敦士氏

長谷川氏にとってのUXとは?
UXデザインを「おもてなし」と表現することがありますが、それは間違っていて、「おもてなし」を実現する組織デザインとオペレーションをどう行うかがUXのデザインです。

長谷川 敦士氏
株式会社コンセント 代表取締役
特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net) 理事

UXのチカラ第3回は、株式会社コンセントの代表取締役で、NPO法人人間中心設計推進機構理事でもあるインフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏に、UXへの考え方や取り組みからUXデザインの事例、また実際に体験した優れたUXなどについて語っていただいた。

ユーザーの価値観に、自分たちの提供できるものを当てはめられるのか

――まずは長谷川さんとUXの出会いを教えてください。

長谷川敦士氏

UXという言葉自体は、認知科学者のドン・ノーマンがユーザーエクスペリエンスデザインラボを設立したことから広まりました。当時アップルに在籍していたドン・ノーマンは、問題に対して個別の部門で取り組んでも解決できないと考えたんですね。

たとえば、ユーザーがプロダクトの使い方を間違えた場合、それがプロダクトデザイナーの責任なのか、ソフトウェアデザイナーの責任なのか、マニュアルを作る人の問題なのか、マーケティングの人の課題なのか、セールスの人の課題なのか、たらいまわしになりがちです。そこでドン・ノーマンは、各部門のヘッドを集めた横断組織として、ユーザーエクスペリエンスラボという、ユーザー体験についての問題を解決するためのタスクフォースを立ち上げました。

こうした話から、確かにユーザー体験は個別の部門ではなく、横断的に取り組まなければいけないという認識を持ちました。それが1998年ぐらいだったと思います。

――1998年というとコンセント設立前ですか。

大学院に行っていたころです。僕は大学院で物理学を学び、そのあと認知科学に進んだのですが、認知科学という分野はドン・ノーマンと関わりが深く、当時ドン・ノーマンの日本でのレクチャーにも行ったことがあります。

――コンセントでは、どのようなお仕事をされているのですか。

コンセントはWebサイトの制作や、そのための戦略立案・設計、紙メディアのエディトリアルデザインも行うデザイン会社です。また、UXを前提とした商品開発やサービス開発、すなわちサービスデザインにも取り組んでいます。僕自身は、ファシリテーターのようなことや、プロジェクトのアジェンダを一緒に考えるなど、現在はスーパーバイザーのような形でプロジェクトに入っています。また、印刷物のデザイン以外は、アウトプットクオリティの全体統括を行っています。

――サービスデザインについてもう少し教えてください。

技術的にできなかったことをできるようにするとか、新しい製品を作り出すことが従来型の商品開発ですが、製品は世の中に溢れていて、新しいものは真似され、価格競争になっていく。であれば、どういう人のどういう価値観に、自分たちの提供できるものを当てはめられるのか、UXを前提に考えていくのがサービスデザインです。

――UXを、デザインやユーザビリティの知識がない方に説明するとしたら。

デザインに関わりのない人でも、ブランドという言葉は知っていると思います。UXは、ブランドと同じようなものだと思っていただけるといいのかなと。たとえば、すごく良い製品を無料で提供して「商売っ気はないけど、商品がすごく良い」というブランドもあるし、ただの砂糖水なんだけど広告宣伝を上手くやって「それを飲むと幸せな気持ちになれる」というブランドもあります。ブランド実現の道筋というのはいくらでもありますし、逆にいうとブランドはいろんな要素によって成り立っているものです。

UXというものもユーザーが体験することなので、UIで画面に触れるところから作られることもあれば、UIと関係ないところで作られることもあるでしょう。Webサービスでいえば、UIはいまひとつでも自分にとって意味があれば、Webサイトに触れることは腹立たしいとしても、それを乗り越えれば自分にとってのメリットがあるわけで、結果的にUIの質は取るに足らないということになるのかもしれない。

このように、結果として生まれてくることがUXであって、途中の過程というか、それを実現する手段はいろいろな方法があり、いろいろな要素が含まれるので、ブランドと同じように考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

UXはブランドと同じようなもの。結果として生まれてくることがUXであり、過程や実現の手段にはいろいろな方法がある

利用者は何をもって嬉しいと思っているのか

――優れたUXをデザインするには何が必要なのでしょうか。

長谷川敦士氏

まず利用者の気持ちや考えを、デザインする側が理解しなければいけない。ドン・ノーマンのラボにしても、UXをデザインするのは決してデザイナーではなく、事業を提供する人みんなだという認識です。事業を提供する人みんなが「利用者は何をもって嬉しいと思っているんだっけ」と、響き所をイメージできることが大事。それがわかっていれば、あとはそれぞれの人が良かれと思ったことをやれば良くて、テクニックとかはある意味どうでもいいと思う。

いろいろなデザイン手法はありますが、利用者の気持ちを置き去りにしたら無意味だと思います。単なる利用者のニーズではなく、何が嬉しいのか、何に価値を感じるのかを本質的に捉えて、そこに向かうことがUXの肝だと思っています。

UXをデザインするのはデザイナーだけではない。事業を提供する全員が利用者の気持ちを本質的に捉えることが大事

――ご自身で取り組んできたプロジェクトのなかで、印象的なものを教えてください。

UXのアプローチには、ユーザーの体験を俯瞰して統合的に捉え直すという方法があります。すでに運営している事業であっても、前提あるいは先入観を取り払ってユーザーの体験を捉え直しますが、取り組むまでは何が問題かわからないんですね。問題がUIのミクロな部分なのか、マクロな設計なのかわからないから、適切なUXを提供できないという側面がある。そういう意味で、最近UI/UXって一緒に語られるのはよくないなと思っています。

数年前に、学生向けアルバイト情報サイトのリニューアルプロジェクトに関わりました。課題はユーザーのセグメントで、たとえばニーズベースで考えるとアルバイトを「何から探すか」となりますが、その設計自体に無理があると感じたので、いろいろな角度からユーザー調査を行ってモデリングし直しました。すると、ユーザーは「目的を持っている人」と「目的を持っていない人」に二分できたんですね。

アルバイト情報を探す人には「目的を持つ人」と「目的を持たない人」がいた。ユーザーを先入観なく捉えることでセグメント分けの課題を発見し、情報の分類を改善することが成果につながった

目的を持っている人は、「生計を立てることに重きを置くグループ」と「職種・業種への興味に重きを置くグループ」とに分かれました。「生計重視型」は毎月20万円稼がなきゃいけないというような条件の人で、「職種・業種への興味重視型」は将来Web関係の仕事に就きたいからWeb関係のアルバイトがしたいというような条件の人。目的を持っていない人は、なんとなく時間をつぶしたい人でした。

目的を持っていない人に「何を重視しますか?」「何から探しますか?」と聞くと、エリアや職種という回答があるのですが、もともと目的を持ってない人への問いかけなので、実は設問の設計というか、目的を持たない人の捉え方自体が誤っていることがわかりました。

そこで、目的を持たない人の価値観を知るために、小規模なユーザー調査を行いました。目的を持たない人たちは何を考えて日々生活しているのか、使い捨てカメラを渡して1週間の生活を写真に撮ってもらうフォトダイアリーという調査をして、そこから価値観の抽出と言語化を行い、実際の求人に当てはめる。すると「茶髪でOKなところ」「仲間と一緒に応募できるところ」「駅ナカ駅チカ」など、従来のエリアや職種、給与といったスペックとは全然違う軸でアルバイトを探しているという仮説が導かれました。

その仮説を商品の分類に当てはめたところ、学生たちがアルバイトを選びやすくなり、実際に応募が3倍ぐらい増えたそうです。もちろん、サイトリニューアルも含めた成果でもありますが、おおむねこの施策が響いたということでした。これは枠組みの捉え方としてうまく行った例で、UXを良くしたというより、UXを考えるアプローチで、先入観なくユーザーを捉え直したら、セグメント分けの所に一番課題があって、そこを解決することが一番響いたという例です。

実現するための方法を考えるのがUXのデザイン

――長谷川さんがユーザー目線で優れていると感じるUXはありますか。

「Tripit」は旅行にかかわる一連の予定を管理できる
Tripit」は旅行にかかわる一連の予定を管理できる

Tripit」という、旅程管理サービスがあります。この画面キャプチャは、パリのサービスデザインカンファレンスに行った時の旅程ですが、7時40分に成田エクスプレスに乗り、成田から全日空205便でパリへ向かい、空港からホテルへ行くという予定を、「Tripit」に統合できます。

飛行機やホテルをオンラインで予約した際の確認メールを「Tripit」へ転送するだけで、空港からホテルまでの行き方や、ホテルの滞在期間が表示される。旅行中にスマホから見れば、たとえば、フライトの遅延があれば教えてくれるなど、自分の旅行ポータルとして使えます。さらに、同行者や自宅にいる家族とも共有できます。

クロスサービスという言い方をしているのですが、個別のサービスを横断して、新しいサービスとして提供しているんですね。事前・最中・事後という旅行体験をどう作っていくかというところで、「Tripit」は上手くやっていると思う。「Tripit」を利用していると、今後ユーザーはこういったサービスを求めるようになっていくだろうなと感じます。

メディアであってもクロスサービスはあって、たとえば個別のメディアを見ずに、グーグルリーダーなどを利用して興味のあるトピックだけ読むみたいな。キンドルのウィスパーシンクみたいに、どこまで読んだかメディアを横断して記録できれば同じニュースを何度も見なくてすむとか、そういうユーザー価値も生まれてくる。どの分野であっても、だんだんとクロスサービスの方向に向かうのが摂理だと思います。

――リアルのサービスで良いUXはありますか。

UXデザインを「おもてなし」と表現することがありますが、それは間違っていて、「おもてなし」を実現する組織デザインとオペレーションをどう行うかが、UXのデザインです。「対応が良い」みたいなレベルのことがUXになってしまうと、対応の良い人をフロントにつけておけばよいのか、という議論になってしまう。スタッフをどう教育するのかといった、実現するための方法を考えるのがUXのデザインです。

UXデザインとは「優れたおもてなし」ではなく、おもてなしを実現するためのスタッフ教育やオペレーションなどを考えること

たとえば、先日プロジェクターが故障した時に、サポートセンターへ電話をしました。何度もやりとりしたのですが、サポートセンターは個別に発行した認証IDでステータスを管理していて、電話した時に僕の認証IDを伝えれば何度も同じことを言わずに済み、すぐに進捗状況がわかる。オペレーションとして、良いUXを実現することにきちんと取り組まれているなと感じました。

UXを評価する時、1つひとつの体験が優れていることよりも、優れた体験を実現する仕組みを意識します。それこそ老舗の旅館じゃないですけど、すでにステータスがある場合、気が利いているというようなことは実現されているけど、予想ができてしまってあまりおもしろくない。思いもしなかったところに新しいUXを提供できる余地があって、それを見つけることがおもしろいと思います。

そのプロジェクトは本当に必要ですか

――たとえば、商品開発のプロジェクトに参加してほしいと長谷川さんに相談した場合、どういったことからスタートしますか。

長谷川敦士氏

まず「やる必要あるんですか?」っていうところからですね(笑)。もちろん状況にもよりますが、すでに提供価値を決めている場合はその検証をすることもありますし、もうやると決めているのであれば利用者の調査を行い、提供予定のサービスと関わる行動をモデル化して、どの部分に提供価値がフィットするかプランニングします。

サービス自体をどうしたらいいかという相談であれば、利用者がどんなことを重視しているか、広範囲に価値観を抽出するための調査を実施して、そこから提供すべき価値観自体を定義していくこともあります。

――具体的にはどのような取り組みがあるのでしょうか。

コンセントでは、「サービスデザイン」「アクティビティデザイン」「インタラクションデザイン」という3つのレイヤーに分けています。

コンセントにおける3つのデザインレイヤー
コンセントにおける3つのデザインレイヤー
  • サービスデザイン

    そもそも何をやったらいいのかという上流のレイヤーで、サービスの開発や方向転換、響かせ所をどう変えるか、ということを考えていきます。

  • アクティビティデザイン

    たとえば、アルバイトのマッチングビジネスの場合であれば、出稿主であるクライアントから広告を集めてカスタマーである大学生に届けますが、我々はカスタマーの大学生にどのような体験を与えるかを定義していきます。大学生の生態を理解して、どのタッチポイントでどのように情報を出していけば、大学生にとって検討しやすく、応募してくれるようになるか、というように進めます。

  • インタラクションデザイン

    提供するシナリオまで決まっていて、個別のタッチポイントをどう最適化するかを考えます。でもタッチポイントには自由度が少ないんですね。

    たとえば、コンセントでは大学の入試案内用の冊子を作っていますが、問い合わせがきたら冊子を送るというようにタッチポイントが決まっています。そのなかで、どういう表現であれば大学のことが一番伝わり、誤解やトラブルを防ぐことができるか、といったことを実現するために編集しUIをデザインします。このように、タッチポイントの最適化だけでなく、タッチポイントのなかを作るということもあります。

――調査手法の使い分けについて教えてください。

先ほどの3つのレイヤーでいうと、サービスデザインの時にはエスノグラフィー調査のような、前提を置かずに顧客に関わる周辺の人も含めた生活者全体の調査が効きます。

アクティビティデザインでは、コンテクスチュアル・インクワイアリー(文脈的調査)と呼ばれる手法があって、2時間位のインタビューで、その人のふるまいから文脈性を抽出します。As-is(アズイズ)と言いますが、抽出した文脈性を提供サービスにどう当てるか、To-be(トゥービー)のシナリオや、カスタマージャーニーマップ(サービス接点ごとの顧客の体験を視覚化したもの)といった手法を使い、ユーザー視点での体験からプランを考えていくのがこのフェーズです。

インタラクションデザインでは、各操作がどう使われているのかを見ます。いわゆるユーザビリティテストなど、観察することで検証を行います。Webサイトのユーザビリティテストは、条件設定や検証のコントロールが難しいので、ログ解析から分析を行っています。

範囲を限定せずに、顧客の気持ちをイメージする

――企業が優れたUXを提供するには、だれが何を意識するべきですか。

企業のなかで顧客の体験を悪くしようと思っている人はいなくて、優れたUXを提供したくても、その人が置かれている状況がそれを許さないとか、その人に課せられた目的設定がそれとリンクしていないとか、そうするのがよいのは百も承知だけど事業の目的が別にあるとか、二枚舌のようになってしまいがちだと思います。

ボトムアップの活動だけでは続きません。もちろんゲリラ的にやって成果を出して、それをもとに組織が変わっていくことはあると思う。成果が出て組織が変われば、ゲリラ的にやった人はふるまいやすくなって楽になると思うけど、組織が変わらないと疲れてしまう。

事業を提供する人みんながUXを意識するのはゴールとして必要だと思いますが、まずは事業や部門を統括する人が意識するべきです。事業部長や部門長といった人が、顧客の体験という目線で自分たちの事業を考え直す必要があり、その課題意識を持っているかどうかに尽きるのかなと思います。すぐに何かできなくても、課題意識を持ってUXを考慮に入れながら事業設計をしていくことが、現実的な動かし方だと思います。

ボトムアップだけで優れたUXを提供するのは難しい。事業を統括する担当者が顧客の体験という目線で考えなくてはならない

――企業側のUXに対する考え方や期待については、どのように感じていますか。

長谷川敦士氏

2010年ごろからUXという言葉がバズワード的になり、「うちでもUXデザインをやりたいと思っているのですが」みたいな依頼がくるようになりました。その前から、Web業界のなかでもサービス事業を行っている企業は、言葉の認知はともかくとして、「そういうことまで考えないとできないよね」という理解があり、UXデザイン手法の導入を始めていました。

Web業界といっても、サービス事業を行っている企業と、コーポレートサイトを公開しているだけの企業では、ギャップが大きい印象がある。サービス事業を行う企業であれば、Webの体験を良くすることが売り上げに直結します。コーポレートサイトだと、問い合わせのコンバージョンレートが変わればよい方で、閲覧者数は実際の事業の売上げから見たら、因果関係として離れてしまっている。つまりコーポレートサイトってUXに関するミッションが緩やかなんですね。

最近はWebメディアが情報収集の主になってきたので、UXに関する情報を得る機会は均等にあると思いますが、そうはいってもWebのチャネルでサービスを運営している企業の方が、リアリティというか緊迫度みたいなものが強くあります。UXの部門があったり、会社横断で研究会を持っていたり、事業部自体がUXを重要視してユーザーの体験についてどう改善していこうか考えていたり。

それと、UXデザインを取り入れる際、教科書どおりの手法だとオーバースペックなところがあると思います。ペルソナを作るとか、そんなところまでやる必要はないんじゃないかと。やってもいいんですけど、たとえば1千万円のバジェットがある時に「500万円かけてペルソナを作りました」となると、もっと他のことに予算を使うべきじゃないかと思います。

――UXデザインのTIPSがあれば、教えていただけますか。

作ったWebサイトやサービスを仕事やプロジェクトに関係ない人、たとえば自分の家族などに使ってもらい観察することです。その人がどうふるまうかを見ると、絶望に打ちひしがれるかもしれませんが(笑)。ですが、伝わらないことを目の当たりにすることで、どうやったら伝わるのか、相手の立場に立って考え、体験をどう組み立てたらよいのかを考え始めるきっかけになると思います。

――Webサイトの経験価値を高めていくために、メッセージをいただけますか。

Webサイトは企業の顔。顧客とのコミュニケーションという観点から、Webサイトの役割を捉え直すといいでしょう

今やWebサイトは企業の顔として、一般の方に触れる面のすべてになりつつあります。Webサイトで何かをするのではなく、その企業が顧客とどういうコミュニケーションをするのかという全体をイメージして、Webサイトを構築していくことが必要です。顧客とのコミュニケーションという観点から、Webサイトで何をするべきか捉え直していくとよいのかなと。

顧客が企業のWebサイトを見る時は、その企業のすべてを期待するわけです。なのに、ここからここまでがUXプロジェクトの対象範囲なんて言っていたら意味がない。範囲を限定せずに、顧客の気持ちをイメージすればよいと思います。

◇◇◇

今回のインタビューでは、さまざまなサービスのUXデザインを手がけてきた長谷川氏だからこその、実践的な話が聞けた。特にご自身の手がけた事例や、UXデザインの3つのレイヤーと調査方法はレアな話ではないだろうか。また、企業のなかでだれがUXを意識するべきかというテーマでは、ビジネスの現場で多く見られるであろう事象を語っていただけたが、ここには長谷川氏の経営者としての視点も含まれており、説得力がある。ぜひとも経営層やマネジメント層の方に読んでいただきたい。

最後にUXデザインのTIPSとして、家族にサービスを使ってもらうという話が出たが、前回のライフネット生命保険株式会社へのインタビューでも「知人やお客さまに協力してもらっての行動観察」という話があった。身近な人に使ってもらうというTIPSは、ぜひとも試していただきたい。

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