やりたいことが明確でないWeb担当者に喝! 「なにを・いくらで・いつまでに」は制作依頼の必須条件
やることを決めないで「いくらですか?」と尋ねてくるWeb担当者に喝!
それに答えるWeb制作会社にも喝!!
「いくらかかりますか?」とWeb担当者は言うけれど
予算とは、何を作るかによって決まるものだ。
「これくらいの成果を得たいから、このくらいの予算を投資しよう」といった議論や検討は、どんな業界でも当たり前にされている。
これだけの予算で、これとこれをやってください!クライアント
たいていは、提示された予算ではできそうもないことを頼まれる。しかし、そんな難しい問い合わせや依頼があるのは日常茶飯事。制作業界ではいつもの光景だ。
そして、ここが制作者の腕の見せ所でもある。
これをこうやってこうすると、ほぼやりたいコトと同じ効果が出せて、しかも予算内で収まりますよ!制作会社
こんな提案がなされるのだ。
私自身、こんな答えをクライアントに提案できる制作会社になりたいと常々思っている。ところが、現実は“それ以前の話”であることも多い。
ホームページを作っていただきたいのですが、いくらでできますか?Web担当者A
(もう少し具体的に……)
何かいい提案をお願いします。予算は内容次第ですね。Web担当者B
(え? 予算決まっていないの?)
とにかく“成果が出る提案”をお願いします。
成果の内容ですか?……それも提案してください!Web担当者C
(あれ? やりたいことないの?)
ちょっと待った!
「成果の出る提案をお願いします」なんて、それは制作会社に聞くべきことなのだろうか?
しかし、これは制作会社にも問題がある。
すべてお任せください。何でもご提案いたします!制作会社A
1ページ1,000円です。
きっとご満足いただけるWebサイトを制作いたします!制作会社B
たしかに、すべてをサポートすることもできる。しかし、自社のサービスや状況を憂いでいないWeb担当者が相手では何を提案すればいいのか不明だし、制作のページ単価ならもっと安くすることも可能だろう。
どちらにしてもそれは、目的次第だ。
どんな業界でも、小さな予算&大きなオーダーに制作者は苦しめられている。「いくらかかりますかね?」などと、のどかなことを聞かれる業界はWeb業界だけだろう。
キノトロープは、上流工程からクライアント企業をサポートしている。だから、プロジェクトの立ち上げをサポートしたり、成果そのものを検討したりする案件は珍しくない。
しかし、そこにはWeb担当者の「こうあるべきなのに!」という熱い想いが常に存在している。
その想いこそが、制作会社を動かす原動力になるのかもしれない。
あらためて問う「Web担当者の仕事」とは?
Webサイトは、企業のビジネスにとって大きなツールに成長している。
そこでどんなビジネスを行い、どんな成果を求めるかは、企業やその企業が置かれている状況によりさまざまである。
だから、Web担当者の仕事も多岐にわたることになる。
しかし、どんな企業のWeb担当者であっても、Webサイトで成し得たいこと(目的・目標)を明確にして、その方向性を決めていく「舵取り役」であることは確かだ。
仮にそうでないとしたら、あなたはWeb担当者ではなくWeb作業担当者なのかもしれない。
- 目的・目標設定: Webサイトで成し得たいことを明確にする
- 戦略策定: Webサイトで、やるべきこと、やらないことを決める
- 戦術策定: やるべきことの、具体的な内容、予算、納期、成果を決める
- 効果測定: 成果を検証し、仮説検証を行う
- ガバナンス: 大規模なサイトであれば、ルールの策定とそれを守れるようにするための仕組みやシステムの構築、資料作成も行う
これがWeb担当者の仕事だ。
制作会社への依頼は「何を・いくらで・いつまでに」を決めてから
多岐にわたるWeb担当者の仕事を、自身や社内だけですべてこなすことは、なかなか難しいはずだ。だからWeb担当者の仕事には、少なからず外部への依頼が発生する。
ここで「RFP」(Request For Proposal:提案依頼書)まで作れるなら、それが一番だ。しかし、日々の業務に追われるなか、RFPを作る時間まで確保するのは難しいことも理解できる。
そこで最低限、以下の3つを書き出してほしい。これだけあれば、依頼は十分可能である。
- 成し得たいこと(目的・目標)
- 予算
- 納期
3つの項目を持って、いくつかの制作会社に打診してみれば、その反応から数社に絞り込めるはずだ。
3~5社くらいに絞り込めたら、できれば担当する予定の人と、その会社で話をしよう。
また、コンペにする場合でも、その会社の様子を知り、担当者の人柄や知識を把握すること。
決して、この作業を惜しんではいけない。
プロジェクトを進める段階になると、あなたと担当者の相性も重要な要素になるからだ。
少なくとも、制作会社に対して「何がやりたいかを考えてください」はあり得ない。もし、「提案内容を見て予算どりをします」などと言うWeb担当者がいたら、「あなたはいったい誰なんだ?」と問い詰めたいくらいだ。
Web担当者は「舵取り役」であるべし
Web担当者の仕事とは「舵取り役」である。
成し得たいこと(目的・目標)を決めて、具体的な内容とその予算、納期を決める。
外部の制作会社に依頼するのであれば、その会社に出向き、担当者と面談する。
それは、Web担当者である“あ・な・たの仕事”だ!
もちろん、制作依頼に入る前段階として、「こんなことをやりたいので、プロジェクトを立ち上げるための手助けをしてほしい!」「そもそもこれで収益が上がるかどうか検討したい!」といった相談をしてみるのは、ありだ。
しかし、できればこれにも、少しでもいいので、予算を付けていただけるとありがたい。
これが制作会社からのお願いだ。
「予算はこれだけしかないけど、俺の言うことをどこまでできるんだ!!!」とか、どんな無茶を言ってもいい。
しかし、やりたいことと予算だけは決めてくれ!あと“10社でコンペ”もやめてくれ!
モチベーション下がりまくるから……。
コンペの前に、できれば3社ぐらいに絞り込んでほしい。
これも制作会社からの切なるお願いだ。
本日のまとめ
- やりたいコト、成し得たいコト、(できれば)求める定量的な成果
- 上記をどれくらいのコストと納期で実現したいのか
これらを要望としてまとめるのがWeb担当者の仕事。
その要望を受けて、実現の手法や具体的な内容を考えて、より多くの成果を、その予算内で出すために知恵を絞るのがWeb制作会社の仕事。
「お客さまのためのサービス」は、それを提供する企業のWeb担当者が考えなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。
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