コロナ禍でのサイトの役割は? 価値あるレビューの獲得は? Googleマイビジネス戦術を業界別に伝授(中編)
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けしている。中編となる今回は、「レビュー」「コロナ禍におけるウェブサイトの役割」について5人の専門家の意見を見ていこう。 →まず前編を読んでおく
この記事では、企業がこの時期に他社の先を行く(そして優位を保つ)ために重点を置くべきローカルSEOのトレンドや戦術に的を絞って、業界ごとのローカルSEO専門家5人に話を聞いた。
この記事は中編で、専門家に意見を聞いたのは、次の2つのトピックだ:
前編と後編では次のようなトピックに触れている:
- マーケ予算削減のなか、最も価値をもたらしているローカル検索マーケティング戦術トップ3(前編)
- ローカルパック表示順位のために注力すべきGoogleマイビジネスの要素トップ3(前編)
- グーグルが品質より距離の近さを優先する傾向があるか? その程度は適切か?(後編)
- ビジネスが最も注力するべき強調スニペットは?(後編)
- ビジネスが現在オフラインでできることは?(後編)
回答してくれたのは、次の各業界の専門家である5人だ(再掲):
- ヘルスおよびウェルネスサービス分野 ―― フィル・ローゼック氏
- 法務サービス分野 ―― ジョイ・ホーキンス氏
- ホームサービス分野 ―― ブレイク・デンマン氏
※顧客の家に訪問して仕事をする非店舗型ビジネスの電気工事・造園・水回りなど - ホスピタリティ分野 ―― ブローディ・クラーク氏
※ホテル・レストランなどのサービス業 - 金融サービス分野 ―― アマンダ・ジョーダン氏
3. レビューの価値を最大限に高めようとしている企業へのアドバイス
トピック3は、次のような問いだ:
調査回答者の90%は、Googleマイビジネスのレビューがローカルパックの表示順位に影響を及ぼすとの見方に同意している。
レビューの価値を最大限に高めようとしている企業に、どのようなアドバイスができるか?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
レビュー依頼の自動メール送信は簡単で手っ取り早いが、それはやめて、レビューで少し詳しく書いてくれそうな患者を探そう。
投げやりなリクエストは、投げやりなレビューにつながる。少なくとも、書き出しが「大切な患者様へ」というメールを送ってはならない。
理想を言えば、控えめな方法で直接依頼する方法を見つけて、フォローアップのメールをするのもいい。僕が2017年に書いた記事「レビューを促すソフトウェアがすべてを台無しにしてしまう理由」を確認してほしい。
患者は最近これまで以上に、次のようなことを知りたがっている:
- どのような安全対策や衛生手順が取られているか
- 待ち時間はどの程度か
- 標準治療に変更はあるか
つきあいの長い患者は、気軽に詳細なレビューを書くのに最適な立場にいるわけだが、すべての患者にできるだけ詳しく書いてもらうよう働きかける必要がある。
どの患者についてもある程度知っていて、数分で個人的な依頼やパーソナライズした依頼をする「レビュー担当者」を指名しよう。そうするのは、レビューに含まれる「キーワード」が欲しいからであり、誰の印象にも残らない5つ星のレビューがあっても仕事にはあまり役立たないからだ。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
すべての顧客にレビューを依頼し、効率的で常に整理しておきやすいプロセスを考え出そう。
私たちは通常、レビューの管理に有料のプラットフォームを利用することを提案している(私たちが利用しているのはGatherUpだ)。というのも、プロセスを自動化できて、まだ反応がない人にリマインダーを送信できるからだ。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
レビューを獲得するのに最適な方法を見つけよう。たとえば、次のような方法などを試してみるのだ:
- メール
- SMS
- チームによる対面での依頼
- bit.lyリンクが記載された物理的なカード
1つずつ数か月試してみてから、別の方法に切り替えよう。顧客に最適な方法が見つかるまで試してみることだ。
それ以外に検討すべきことは、顧客が君の会社を利用したときに使った特定のサービスについて、どうすればレビューを書いてもらえるかを考えることだ。
- 小さなきっかけ
- こちらから連絡したときに答えてくれるかもしれない質問
などがあれば、よりよいレビューを書いてもらうのに役立つだろう。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
Googleマイビジネスでレビューを獲得するのは、決して簡単ではない。手作業での方法は、いつでも試してみることができるが、適切に規模を大きくするのは不可能だ。
ホスピタリティ事業で、総合的な戦略でレビューを効果的に収集する必要のあるリスティングが複数ある場合に僕が利用していて推奨するのは、GatherUpだ。GatherUpを利用するメリットは、当事者のレビューを獲得して、ウェブサイトや内部のフィードバックの仕組みとして使用できることだ。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
私にとって最善のレビュー戦術は常に、カスタマージャーニーの重要なポイントで生身の人間にレビューを依頼させることだ。たとえば、次のような人間だ:
- 当座預金口座の開設を手伝った社員
- 家族に住宅ローンの借り換えについて助言している住宅ローンアドバイザー
4. ローカルビジネスにとって今でもグーグルはトップページか、ウェブサイトの役割は?
トピック4は、次のような問いだ:
「ローカルビジネスにとってグーグルが新たなトップページである」 ―― これは、COVID-19のパンデミック以前、ローカルマーケターの78%が同意していた、マイク・ブルメンタル氏のよく知られているコンセプトだ。
あなたの観察や分析データは、このコンセプトが依然として正しいことを示しているか?
公衆衛生上の緊急事態の結果、現在営業しているビジネスのウェブサイトの役割は大きくなったか、それとも小さくなったか?
また、このことは、それらのウェブサイトにとって何を意味するか?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
僕はこれまで、そのコンセプトに傾倒したことはないし、COVID-19が始まった頃からはさらに興味を失っている。僕が書いた2020年3月26日の記事「COVID-19は『新たなトップページとしてのグーグル』の終わりか?」を見てほしい。
とはいえ、グーグルのSERPがトップページに取って代わるほぼ適切な選択肢になったと言えるかもしれない場合もある。それは、顧客やクライアントがあまり調査や大きな決断をする必要もなく、気軽に立ち寄れるビジネスの場合だ。医療業務でいえば「いま通っている・過去に通っていた患者が、すでによく知っている診療内容について、すぐに情報を必要としている」ような場合が当てはまるかもしれない:
しかし、自分の健康が危機にある場合、人はもう少し詳しく調べる傾向がある。多くの場合、次のようなことをする必要がある:
- 診療で行う処置や行わない処置を把握する
- 医師や他のスタッフについてもっとよく知る
- 保険や請求額に関する詳細な情報を得る
- 検索結果で調べたことが本当かどうかを確認する
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
Googleマイビジネスがますます重要な要因になっていることには同意する。COVID-19により、ユーザーが利用できる選択肢としてグーグルが推し進めているものは膨大にあるからだ。
たとえば、次のようなものだ:
- ナレッジパネルや3パックに目立つように表示されるオンライン予約属性
- 営業時間を追加で設定できるオンラインの営業時間(最近追加された)
重要なのは、Googleマイビジネスの主な目的が次のものである点を理解することだと思う:
- ビジネスの内容を詳しく伝えること
- 顧客から連絡するための方法を知らせること
- 顧客から連絡できる機会を提供すること
Googleマイビジネス内の入力欄のほとんどは、検索順位に影響がない。ビジネスが実際にグーグルの検索結果に表示されるようにするには従来のSEO要因が必要であり、そのうえでGoogleマイビジネスはそれらの顧客が正しい情報を確認できるようにするのに役立つだろう。
加えて、Googleマイビジネスがあるからウェブサイトが不要になったというわけではない。サイトは必要であり、頻繁にチェックして更新する必要のある場所としてGMBが増えたにすぎない。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
Googleマイビジネスは確かに、ウェブサイトを訪問する前の(または訪問する必要のある)人が最初に接するものかもしれない。しかしウェブサイトは依然として非常に重要だ。
その理由は次のとおりだ:
- Googleマイビジネスの順位に影響を及ぼす要因として、従来のオーガニック検索のSEOのシグナルがある
- 従来のオーガニック検索のSEOのシグナルにとって、ウェブサイトは重要である
公衆衛生上の緊急事態が発生して以降、ウェブサイトへのトラフィックは増加している。確かに、Googleマイビジネスのリスティングに特定の属性を追加することで公衆衛生上の懸念に対処することはできるが、人々はより多くの情報を必要としている。それはたとえば、次のような情報だ:
- ビジネス側でどのような対策を講じているか
- どれほど先まで予約が埋まっているか
これらの情報はウェブサイトで提供することになる。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
ビジネスの種類によるところが大きいのだが、現時点で、多くのローカルビジネス(特にホスピタリティ分野)は多くのプレッシャーにさらされている。
それは具体的には、ウェブサイトを常に最新の情報で更新したり、Googleマイビジネスのリスティングを管理したりする余裕がないといったことだ。そのため、Uber Eatsなどのフードデリバリーサービスを利用するしかない状態になっている(Uber Eatsは近年はるかに有名になっており、2020年に成長したのではないかと思う)。
ホテルについては、少なくとも僕がいるメルボルンでは、営業できない期間がしばらく続いているが、最新情報を提供するのにGoogleマイビジネスのリスティングを使うことはないだろう。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
金融業界のクライアントにとってウェブサイトの役割が高まったのは間違いない。ウェブサイトは有益な情報のハブとなっている。次のような情報の場合は特にそうだ:
- 何か問題が発生した場合のための情報
- 暮らしで大きな役割を担っている製品やサービスの情報
多くのビジネスカテゴリでは、Googleマイビジネスのリスティングで見つかる情報は、コンバージョンを獲得するのに十分だ。しかし金融商品を選ぶ際には、消費者は大がかりな調査をする。レート、料金、条件に基づき、十分な情報を集めたうえで決定を下すために、得られる限りの情報を必要とする。
3回に分けてお届けしているこの記事も、次回で最後となる。後編では「ユーザーとビジネスの距離の近さ」「強調スニペット」「オフライン戦略」について専門家らの話を聞く。→後編を読む
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