効果のあるローカルSEO戦術は? 重要なGMB要素は? Googleマイビジネス戦術を業界別に伝授(前編)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)は、SEO業界とローカルビジネスの関係を一変させた。デリバリーを頼む機会が多くなり、オンラインショッピングに費やす金額が増え、あらゆる種類のオンライン企業リスティングで安全な方法をチェックするようになった。
しかし、これらの新たなトレンドは、企業のオンラインマーケティングにとってどのような意味があるのだろうか?
この記事では、企業がこの時期に他社の先を行く(そして優位を保つ)ために重点を置くべきローカルSEOのトレンドや戦術に的を絞って、業界ごとのローカルSEO専門家5人に話を聞いた。
この記事は前編で、専門家に意見を聞いたのは、次の2つのトピックだ:
中編と後編では次のようなトピックに触れている:
- レビューの価値を最大限に高めようとしている企業へのアドバイス(中編)
- ローカルビジネスにとって今でもグーグルはトップページか、ウェブサイトの役割は?(中編)
- グーグルが品質より距離の近さを優先する傾向があるか? その程度は適切か?(後編)
- ビジネスが最も注力するべき強調スニペットは?(後編)
- ビジネスが現在オフラインでできることは?(後編)
回答してくれたのは、次の各業界の専門家である5人だ:
- ヘルスおよびウェルネスサービス分野 ―― フィル・ローゼック氏
- 法務サービス分野 ―― ジョイ・ホーキンス氏
- ホームサービス分野 ―― ブレイク・デンマン氏
※顧客の家に訪問して仕事をする非店舗型ビジネスの電気工事・造園・水回りなど - ホスピタリティ分野 ―― ブローディ・クラーク氏
※ホテル・レストランなどのサービス業 - 金融サービス分野 ―― アマンダ・ジョーダン氏
ローカル関連の知見に関する詳細は、MozのState of Local SEO Industry Report(ローカルSEOの現状:業界レポート)をダウンロードしてほしい(英語のみ)。
1. マーケ予算削減のなか、最も価値をもたらしているローカル検索マーケティング戦術トップ3
トピック1は、次のような問いだ:
ローカルマーケターの70%は、COVID-19のためにマーケティング予算が削減されたと報告しており、そのためマーケターは最も効果的なローカルSEOのキャンペーン要素にさらに注力するようになっている。
現在、企業にとって最も価値をもたらしているローカル検索マーケティング戦術を3つ挙げるとしたら、それは何か? その理由は?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
詳細で日付の新しいレビュー。特にGoogleマップのレビューが重要だが、他のサイトにもあるといい。
医師やウェルネスの専門家がリモートで対応できる具体的な問題の内容について詳細に記載した「テレヘルス」(遠隔診療)型のページ(該当する場合)。
サービス、処置、体調ごとの詳細ページ。各ページには、テレヘルスまたは類似の「オンライン版サービス」の選択肢が利用可能かどうかを明示したセクションを設ける。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
リンクビルディング。
多くの企業は高品質のリンクを自力で獲得することに苦戦しているため、SEO会社側で機能するリンクビルディング戦術を用意できれば、大きな付加価値となる。
企業サイトにおけるサイト内リンク構造の最適化。
小規模事業主のウェブサイトのほとんどは適切に構造化されていないため、サイト内リンクを少し調整すれば、検索結果でかなり大きな変化が見込める。また、リンクビルディングのように、ローカル検索とオーガニック検索の両方の検索結果に効果がある。
ウェブサイトのコンテンツのローカライズ。
企業サイトの既存のページを「都市名」「郡名」「州名」を含むクエリに合わせて最適化すれば、ローカル検索とオーガニック検索の両方の検索結果に大きな効果を及ぼせる。検索クエリに「近くの(near me)」と入っている場合のための最適化からも大きな成果が表れている。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
最も効果があるのは、ホームサービスの場合はGoogleマイビジネスのスパムや違反を見つけて報告することだ。
その理由は、たとえば次のような場合をイメージしてほしい:
正確な検索順位追跡機能を利用して、ターゲット市場で人気のキーワードに対し自分が5位に表示されることを確認した。
しかし、自分より上位のリスティングのうち3つがGoogleマイビジネスのガイドラインに違反しているのを発見した
それらのリスティングが(違反内容によって)更新または削除されると、自分が3ランク上昇することになるからだ。
Googleマイビジネスのガイドラインを把握しておくことは、違反を見つける方法を知ることと併せて非常に重要となる。
2番目に効果の大きなマーケティング「戦術」は、レビュービルディング戦略を実施して維持することだ。
評判が悪いのに検索上位を取ることはできない。
3番目に重要なマーケティング戦術は、次のことを理解することだ:
- 顧客は誰か
- どこに住んでいるか
- どうすれば関わりを持てるか
- 顧客は何を気にかけているか
戦略的観点から、ターゲットとする顧客について持っている情報が多いほど、顧客が属する地域コミュニティに関与できる。
ローカル検索の場合、グーグルは、オフラインの世界で人気の高い企業をオンラインの世界で大きく取り上げたがっていると思う。よりよい「ローカル」ブランドを構築することに重点を置こう。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
特にレストランやホテルのリスティングでは、他のリスティングより目立たせるためにできることは当然ながらたくさんある。コロナ禍では、どちらのカテゴリも大きな影響を受けている。多くのリスティングは「閉業」マークを付けるか、あるいは新たに作成された「臨時休業」マークを付ける必要があった。
現在活用すべき重要な3つの戦術は、以下の通りだ:
効果的な属性の使用。
Googleマイビジネスでは、「健康、安全」と「サービスオプション」という属性が追加された。どちらの属性も、特に顧客に多くの安心感を与えられるマスク関連の属性は、この時期には極めて重要だ。
これはホスピタリティ事業者の対応にも言えることで、店内でのサービスか、ピックアップかの選択肢があるかどうかが重要だ。
Googleマイビジネスの投稿による告知。
投稿機能を利用すると、営業上の重要な変更を効果的に伝えられる。期限はないため、COVID-19に関する更新記事には最適だ。
ただし、COVID-19の記事を目立たせると、他の投稿記事が埋もれてしまうという欠点がある(注:ホテルは投稿機能を使用できない)。
先を見越した更新。
ホテルのリスティングの場合、予約サイトがUIに深く組み込まれているGoogleマイビジネスは複雑な空間になることがある。
COVID-19の規制は場所によって変わるため、顧客にリーチして否定的な体験を避けるには、これらのサイトの詳細は常にすばやく更新する必要がある。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
GoogleマイビジネスのリスティングでCOVID-19の投稿記事を利用して、クライアントの安全をどのように確保しているかに関する情報を公開しよう。
当社の金融業界のクライアントは、個人と企業の両方の顧客向けにCOVID-19のランディングページを作成した。このクライアントは、2月から3月にかけてオーガニック検索の目標到達率が95%増加した。前年同期比でも97%増加した。
COVID-19に関するサービスや製品に重点を置いたグーグルの投稿記事も効果的だった。
2. ローカルパック表示順位のために注力すべきGoogleマイビジネスの要素トップ3
トピック2は、次のような問いだ:
マーケターの75%は、Googleマイビジネスのプロフィール(カテゴリ、レビュー、写真など)の要素がローカル検索の検索順位決定要因であるとの見方に同意している。
ローカルパックの表示順位に影響を及ぼすために、企業に現在注力するよう推奨するGoogleマイビジネスの要素を3つ挙げるとしたら、それは何か? その理由は?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
第1に、レビューだ。
第2に、カテゴリ、特に「メイン」カテゴリだ。
第3に、「開業者」としてのGoogleマイビジネスページを適切に設定することだ。つまり、Googleマイビジネスのランディングページになる詳細な「紹介」ページを作成し、開業者の専門分野を反映したメインカテゴリを設定して、開業者ごとに患者からのグーグルレビューを用意しよう。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
検索順位に大きな影響を及ぼす要素はGoogleマイビジネス内に4つしかない。
最初の要素はビジネス名なので、他の3つの要素に注力することをおすすめする。
他の3つは次のとおりだ:
たとえば、私はこの記事で、「弁護士(家族法)カテゴリ」と「弁護士(離婚)カテゴリ」の違いや、これらのカテゴリと相関するキーワードについて詳しく説明している。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
ホームサービス業界では、季節によってGoogleマイビジネスのメインカテゴリを調整することが重要だ。
HVAC(暖房、換気、冷房)会社の場合、夏のメインカテゴリはエアコン販売店かもしれないが、冬のメインカテゴリは、関連性の高い暖房カテゴリに変更する必要がある。
Googleマイビジネスのメインカテゴリは、サブカテゴリより検索順位に対する影響が大きい。
同じ言葉を繰り返していると思われたくないが、競合相手のリスティングがGoogleマイビジネスに違反していないか、すべて見てみよう。
レビューはリスティングの成否を左右する。まだレビュービルディング戦略を実施していない人は、できる限り早く策定する必要がある。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
まず、次の2点は、ローカルパックの表示順位に大きな影響を及ぼす。そもそも表示されるためのカギを握っているものだ:
- 営業時間
- 「閉業」「臨時休業」マークを付けるかどうか
徐々に順位を上げていくためには、次の2点がポイントだ:
- 肯定的なレビューをたくさん獲得すること
- メインカテゴリとサブカテゴリの両方を適切に設定すること
カテゴリでまずやるべきことは、Chrome拡張機能のGMBspyで競合分析を完了させることだ。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
レビューは最も重要な検索順位決定要因の1つであり、コンバージョンを高めるためにも重要だ。
第2に、検索ユーザーとの距離の近さだ。
Googleマイビジネスのリスティングに現在掲載されていないATMや支店はあるだろうか? リスティングを追加すれば、Googleマップでの露出向上に役立つ。
ローカルリンクを構築しよう。
今こそ、リンクビルディングに取り組むのに絶好の機会だ。自分の地理的場所に特化したディレクトリや組織を見つけて参加しよう。
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。中編となる次回は、「レビュー」「コロナ禍におけるウェブサイトの役割」について5人の専門家の意見を紹介する。→中編を読む
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