NPO(非営利団体)のSEOをボランティアで行うことのオススメ
この記事は、非営利団体(NPO)の検索エンジン・マーケティングをボランティアで行うための入門ガイドだ。基本的に、僕の経験をもとにしてまとめたNPO向けの情報だが、もっと多くの企業が慈善事業に時間とリソースを寄贈するよう勧めたいという思いも込めている。実際にやってみれば、以下に述べるように、企業は自社サイトにとって大きなSEOの効果があることに気づくだろう。
僕はここ数年、危険な地域から罪のない難民を受け入れ、世界各地に移転先を探し、新生活を支援するという素晴らしい慈善事業にボランティアで関わる機会を何度か得た。寄付された備品を集める仕事は充実したものだったが、何かもっと役に立つことができないものかと考えていた。
だいたいの非営利団体はそうだが、慈善事業もリソースと資金の不足によって制約を受けているのが分かってきた。これは慈善事業にとっては諸刃の剣だ。資金調達に金をかけなければ、分配すべき資金が手に入らない。だが資金調達に金をかけすぎれば、掲げている目的につぎこめる資金の(金額は増えたとしても)割合が減ってしまい、事業自体の評価が悪くなってしまう。
資金調達や宣伝にあまり金をかけずに慈善事業の知名度を長期的に高める方法があるとしたらどうだろう? 僕がSEOを勉強しようと思ったのは、これが動機だ。みんなにも手を貸してもらいたい。それでは、その方法と理由をこれから説明しよう。
NPOのサイトを検索結果ページの上位に表示させる
僕が非営利団体のSEOをする場合、検索結果ページの上位にいる2つか3つのサイトから気兼ねなくトラフィックを奪えるキーワードをターゲットにする。NPO事業によっては、他のサイトよりも上位を獲得するに値するものもあるし、チャリティ関係のサイトの中にも、上位から引きずり下ろして構わないスパム的なブログやアドセンス・ファーム、アフィリエイトサイトのような、関連性の低いサイトがたくさんある。
ページ内SEO
現時点でのNPO団体のサイトのつくりは、SEO担当者にとって悲惨なものであるはずだ。それは覚悟しておこう。ページランク(PR)が6以下で「ホーム」なんていうtitle要素を持ったページを目にしたら、泣きたくなるかもしれない。
でも、逆にこれは非常に良いチャンスだと考えて、ページ内SEOについての提案をしてみよう。誰も感謝してくれなかったとしても、またなぜ人のサイトに手を突っ込もうとするのかを誰も理解してくれなかったとしても、気を悪くしないことだ。たぶん、変更によってどんなメリットが得られるのかをたっぷりと説明して理解してもらう必要ことが重要になる。営利と縁のない世界は、インターネット・マーケティングの最先端には疎いものだ。
掲げている目的を活用する
リンクを依頼された場合、リンク先が慈善団体である場合は、営利サイトに対するリンクを依頼された場合よりもずっと寛大な対応をしてくれる人も多いだろう。ビジネスの世界なら部分的に、あるいは真っ向から競合していると見なされるような組織からリンクがもらえることも少なくない。
電子メールを送ってもうまくいかない? よく行われている売り込み戦略を考えてみよう。こういった戦略は何かを「売る」場合でないほうが、かえって効果的になる。僕のとったやり方はこうだ。
まず僕は、支援しているNPOが大昔のコンピュータを使っているのを見て、何軒かの地元の商店に「古くなったコンピュータを寄付してくれないか」と申し入れた。何台かは新しいパソコンを手に入れられたが十分な数ではなく、総じて成功したとは言えなかった。
だが、これは予想していた通りだった。まず大きな支援を求めてプレッシャーをかけたから、僕が次の依頼をしたとき、店主たちはほっとしていた。というのも、次に僕は、店の主人たちに、店のサイトに慈善団体へのリンクを置いてもらえないかと頼んだんだ。店には何も負担がないうえに、店の印象もよくなる。
最終的には、「(○○店)は(団体の目的)における(サイト)の取り組みに協力しています」といったテキストリンクを獲得できた。団体の目的は、ターゲットとするアンカーテキストを伴うディープリンクになった。店主たちは売上の一部を提供することはしなかったが、リンクでも十分支援になった。検索クエリはさておき、質の高いトラフィックがたくさん得られた。
関係を築く
ブログのネットワークに大量の電子メールを送ったところで、確かな長期的信頼を築くことはできない。これはどんなマーケティングやSEOキャンペーンにも当てはまることだが、非営利団体のためにSEOを手がける場合には特にそうだ。誰かにボランティアを何人か派遣するよう頼んで、おまけにリンクまで張ってもらえると期待できるようなところが他にあるだろうか? 人はよいことをしたら知ってもらいたいし、よいことをした人のことを聞くのも普通は嫌いじゃない。検索順位は上がり、慈善事業の露出は増え、みんなハッピーだ!
けして自分の儲けを考えてるわけじゃない(はずだ)という立場を有利に使おう。それだけでも、事業主や大企業からすぐに信用してもらえる。何かイベントを主催するときは、大学の学部やクラブと連携して魅力たっぷりの「.edu」ドメインからリンクをもらおう。
NPOとしての認定とアドワーズを無料で利用できるGoogle Grants
ボランティアとしての君の役割にもよるけれど、多くの慈善団体監視組織や監督団体から認定や評価を受けるよう、提案したり勧めたりしてもいい。そうしたページは通常、グーグルの目から見てもユーザーの目から見ても、信頼性と関連性が高い。
認定や承認といったものを受けていると、別種の支援を申し込むときにも効果がある。無料でアドワーズに出稿できるという形で提供されるGoogle Grants(グーグル・グランツ)を、グーグルがどのぐらいの頻度で認めているのを知ったら驚くだろう。Google Grantsは、申し込みに時間を費やす価値があることは間違いない。それから、グーグルから支援をもらえたら、グーグルのリンクも貰えるってことは言ったっけ?
人々を組織的に動かす
慈善のための大規模なイベントやボランティア活動を企画する場合は、ブログから熱い支援が受けられる。地元企業や新聞店に話を持っていけば広報範囲が広がる。すでに報じてくれているなら、アンカーテキストを的確なページにターゲティングするよう頼もう。活動を話題にしてくれる人は、たいていの場合手助けしたいと思ってくれているから、どういうことが助けになるか、遠慮なく具体的に伝えよう。
僕は疑い深い人間かもしれないけれど、なぜ支援すべきかをきちんと納得させることができれば、ほとんどの人が広い心で共感を示してくれることは間違いないと確信している。
ボランティアで協力する側のメリット
ふむ、「何となく温かな気持ち」だけでは十分ではないと言うのかな? しかし、正直に言わせてもらえば、そういった気持ちが士気の高揚にもたらす影響を見くびってはいけない。特に、従業員が信じている理想にとって望ましい結果が出せればなおさらだ。
サイトへのリンクを依頼する
この記事を読んでいるみなさんは経験豊かなSEO関係者だから、認知度の高い慈善団体からリンクを貰えるということがまず頭に浮かぶだろう。これはそのとおりだが、しかしリンクを依頼するときはよく考えてほしい。自由意志でもたらされたリンクの方がよい結果を得られるはずだし、SEO業界の名が汚されることもない。
「リンクしてくれたらSEOをやってあげよう」と聞こえるような言い方で慈善団体に近付くことだけはやらないようにしてほしい。これは、実態は有料リンクだし、僕が好きにできるなら、Better Business Bureau(BBB、商事改善協会)やグーグル、それに思いつく限りの消費者監視団体に通報したいって気を起こさせる行為だ。それだけでなく、そもそも社会的行動としてよろしくない。
よいPRになる
非営利団体のサイトから感謝されるだけでなく、メディアからよい評価を得ることも可能だ。優れたPRは優れたSEOの一部であり、メディアから恩恵を受けるのに会社の大小は関係ない。君が非営利団体のためにすでに行った活動や、これからしようとしている活動について知らせるプレスリリースを出そう。もちろん、その団体の許可を得ることは忘れないように。
このPRのいいところは、これが君自身にメリットがあるのと同時に、非営利団体のSEOキャンペーンや市場における認知度向上に役立つという満足感がある点だ。適切に進めれば、プレスリリースをきっかけにして、新たなメディアの関心を引き付けることもできる。
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