商品数が多い場合は「鶴翼の陣」で集客する | 売れるネットショップの法則11
豊富な商品数を生かした、待ち受け型「鶴翼の陣」
法則10とは逆に、商品数が多い場合の集客には「鶴翼の陣」で挑もう。左右に広く翼を広げ、相手を包み込むような陣形で、主に人数が多い場合に用いられた。上から見ると、幅の広いU字の形をしている。狙った相手を追いかける魚鱗の陣と違い、いろいろな角度からやってくる相手を待ち受けて、柔軟に対応する「守り」の陣形と言える。
ネットショップにおいては「潜在客の幅広いニーズを、大きく広げた両翼(豊富な商品数)でカバーする」イメージだ。有名ブランドタイプ(有名ブランド商品や型番商品を扱う店)を中心に、商品数の多い店舗はほぼこの陣形になる。
商品が大量にあれば、置いておくだけで集客になる。特に型番商品が大量にあれば、指名買い検索による来店が増えて、店舗全体としては何もしなくても集客力が上がる。さらに、ネットでは売り場面積の制限がなく、手元に在庫がなくても販売が可能なので、実店舗以上に取扱商品数を増やしやすい。結果、鶴の両翼はどんどんと広がっていく。これは商品数の多い店ならではの強力な武器である。
この武器を生かすために最優先すべき集客施策は、その翼(商品数)を生かすための「SEO(検索対策)」と「リスティング広告(検索連動型広告)」だ。
なお、ニッチタイプの店も、鶴翼の陣を使うことが多い。その特性上、誰でも購入が容易な「入口商品」を作りづらく、待ち受け型になりやすいからだ。
総合タイプの店は、魚鱗・鶴翼を組み合わせて使う
魚鱗・鶴翼の陣形に例えた解説は、商品特性に応じた集客を分かりやすく説明するための「例え」だ。しかし、現実はパターン通りとは限らない。基本原則を頭に入れつつ、現場では臨機応変にアレンジしてほしい。
総合タイプの店は魚鱗・鶴翼の両方の長所を持っている。ただ、この2つの陣形は方向性がまったく逆なので、両方をいっぺんにやると手がかかる。法則8で説明したように、大量の商品登録やナビゲーションの整理だけでも大変なのに、入口商品の商品ページも力を入れて作り込まなければならないからだ。だから、入口商品の作り込みと露出を重視する(魚鱗)か、商品数の多さを生かして検索対策を重視する(鶴翼)か、優先順位を決めて、まずどちらかに取り組む必要があるだろう。
筆者の経験では、後者の方がかかるコストも安いし、売上ベースを作りやすいと感じている。開店当初など規模が小さいうちは、あまり派手な広告は使わないように、地道に「検索対策(SEO)」や「リスティング広告(検索連動型広告)」に取り組む方がいいだろう。
ある程度運営が安定したら、両方の長所を組み合わせて生かしていく。「品揃えの多さ」でユーザーの幅広いニーズをカバーしながら、入口商品などをオススメ商品としてアピールするようなイメージだ。
例えばユニクロは豊富な商品ラインナップがウリだが、シーズンごとに広告に載せるための目玉商品も用意している。目玉商品を主役としつつ、来店客にはまんべんなく見て回ってもらうという流れだ。この方法は、魚鱗・鶴翼の「いいとこ取り」なので、とても売上を作りやすい。
なお、広告を出す際のリンク先ページは、前の法則でも述べた通り、さまざまな商品を掲載した「特集ページ」や「セールページ」を使うのが定番だ。ただし、単品でも圧倒的に売れる商品があるなら、それで広告を出しても構わない。
具体的な考え方は、法則26「リンク先ページを使い分ける」を参照してほしい。
ちなみに、魚鱗・鶴翼の理論は、集客だけでなく店舗ページ上の接客においても非常に役立つ。詳しくは法則39で紹介する。
- 売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
- 坂本悟史 (@CommerceDesign)
川村トモエ (@cd_kawamura) 著 - ISBN: 978-4-8443-2837-7
- 発行: インプレスジャパン
- 電子書籍版はBookGateアプリでダウンロード購入可能。iPad/iPhoneにBookGateアプリをインストールしたら、アプリを起動して、「ストア」の「本一覧」→「出版社」→「インプレスジャパン」から。
- 筆者の所属するコマースデザイン株式会社のページ
※この記事は、書籍『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです(序章もご覧ください)。
ネットショップでモノが売れない、なぜ?
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本書では、取扱商品を4タイプに分類し、各タイプの強みを生かした集客・ページ接客・リピート促進手法を紹介します。
【自分の店の強み】を知れば、混乱していた頭もすっきりし、優先順位が明確になり、それまで空回りだった歯車も噛み合います。
事実、多くのネットショップ店長からそんなコメントを頂いています。
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