リンクビルディング戦略最新調査:2014年
リンクビルディングに関する調査結果の最新版をお届けする。1か月にかけるリンクビルディング費用はいくらか? その予算は増えているのか減っているのか。その理由は? SEO予算全体のなかでリンク構築に割り当てる比率は? よくつかう手法は? 効果的な手法は? 効かない手法は? ヤバい手法は? 記事の最後には調査結果をまとめて表示している。
2013年のこの時期にMozで紹介された、Skyrocket SEOによるリンクビルディングに関する調査結果の記事を覚えている人も多いのではないだろうか。それがかなり好評だったので、この企画を毎年のシリーズにして、時間の経過とともに業界がどのように発展、進化しているかを見ていくことにした。
まずは、なぜ「リンクビルディング」なのかだ……。
そうなんだ、僕らは「コンテンツマーケティング調査」とか「インバウンドリンク獲得調査」といった名称への変更はしていない。リンクビルディングは今なお、SEOにおける戦術としては重要な武器だから、これだけを取り上げて調べる価値はあると思う。
企業として僕らは、クライアントのために以前と変わりなくリンクビルディングに(状況に合わせた変化は加えているとしても)注力している。オーガニック検索でそこそこの露出を獲得して成果を上げたいのなら、リンクが必要だという事実は変わっていない。
少々話がそれてしまった。本題に戻って、調査結果を詳しくみていくことにしよう。
調査の参加者は?
調査に協力してくれた315人ほどの人々に心から感謝する。2013年より少し数が減っているが、これは、リンクビルディングが日常業務の一部だと思っている人が以前より少なくなったことに一因があるような気がする。それは貴重な機会を逃していることだと僕は言いたい。
2014年は、調査対象の重複がいくつかあり、多少整理をして、最終参加者数は315人ということになった。
予想どおり、回答者の内訳は2013年とだいたい同じだった。ただ、初回調査のときのユーザーフィードバックを基に、回答者の職種分類にカテゴリをいくつか追加した関係で、一つひとつのカテゴリについて比較するのは難しい。
2013年の調査では、1か月あたり5万ドル以上をリンクビルディングに費やすという企業が全体の10%だった。
リンクビルディングにかける費用の上限が業界全体で少し下がっているようだ。
そうは言っても、1か月あたり1万~5万ドルと回答している企業の数が、2013年は11%だったのに対し、2014年は37%へと大幅に増えてもいる。
1年でこうした変化が起こった理由として、2つの要因が考えられる。
「リンクビルディング」という用語の分類が変化 ―― 多くの企業が、かつてリンクビルディングの予算として分類していた予算を、ほぼ間違いなくコンテンツプロジェクト(リンクビルディングの取り組みに影響を及ぼす)へと移していった。
チャンスの認識 ―― 僕ら自身の経験に基づいて言うなら、多くのウェブサイト所有者や企業が、競合相手が怖じ気づいているときが投資のチャンスと認識して、コンテンツプロモーションとリンクビルディングをさらに強力に推し進めているのが見られる。
米国の著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏はかつて、「他者が貪欲になっているときは慎重になり、他者が慎重になっているときは貪欲になれ」と言った。
僕がさまざまな企業と交わしてきた会話だけをとってみても、リンクビルディングに関して、今は慎重になっているところが多い。
実際、もう少し後で紹介する調査データからも明らかなように、どのリンクが有益でどれが有害なのかがわからないということが、目下のところ最大の課題だ。グーグルがウェブサイトに対してとっている広範囲な行動(僕はあえて、これをウェブマスター・プロパガンダと呼ぶが)は、一部の人々にとっては身動きできなくなるほど大きな衝撃を与えた。
現在の市場には、健全な戦略があれば捉えることのできる明確なチャンスがある。
マイクロサイトやセカンドレベルドメイン資産を対象に1999年にやっていたような方法でリンクを獲得するのもいいし、潔癖なまでのクリーンさを維持してグーグルなど無関係に価値あるリンク機会を見極めるのもいいし、この両極端の中間策をとるのもいい。
要するに、リンクは現在も、インターネットやグーグルのアルゴリズムの基幹を形成していて、こうした状況はこの先も長く変わりそうにない。
SEO予算全体の中で、リンク構築に割り当てられる割合は?
これに関してはジョン=ヘンリー・シュレック氏に感謝したい。2013年の調査の後、パーセンテージに関するデータを保有しておくことはとても興味深いだろうと気づかせてくれた。
今は比較できる過去のデータがないが、将来的にデータが集まれば、オンラインマーケティング予算が全体として増加している(リンクビルディングに割り当てられる割合は同じだとしても、予算全体がより大きくなっている)のか、あるいは、リンクビルディングに価値を見いだす人が増えた結果、予算全体の大きさは同じでも、リンクビルディングに割り当てられる割合がより大きくなったのか、明確にわかるだろう。
リンクビルディングへの支出は過去1年間で増加したか、あるいは減少したか?
この質問への回答は、2014年は「1か月あたり1万~5万ドル」とした回答が増えたというデータと一致している。
では、支出の増減の理由は?
過去12か月にリンクビルディングにかける費用の増減を決めた理由を尋ねてみた。
回答は次のように分類できる。
- 増加した主な理由:
旧式の、そして多くの場合「安価な」リンクビルディングから脱却するための関連費用が増加したため
作業やクリエイティブ作成にかかる費用が増加したため
良質なリンクを獲得することはいつだって重要だ ―― 検索エンジンでの露出やパフォーマンスという点では、依然として顕著な変化をもたらすものなので、この分野への投資を増やすことは理にかなっている。
- 減少した主な理由:
リンクビルディング予算をコンテンツマーケティングのプロジェクトに移したため ―― 本当のところ、リンク獲得はコンテンツキャンペーンの主目的ではないとしても、この予算はおそらく、間接的にリンク獲得にある程度資するものとなるだろう。
いったん縮小して、グーグルの手動操作などといったものがウェブサイトに及ぼす影響を評価したいため
今後1年間で、リンクビルディングへの支出を増やす計画があるか? あるいは減らす予定か?
増やす、あるいは減らす予定とする理由は?
リンクビルディングにかかる費用がさらに高額になると予想されるため
これまでの取り組みをさらに強化し、より洗練されたコンテンツ資産で競争相手に打ち勝つため
何に投資するべきか、どのリンクが有用なのかがわからないので、ほかの活動に予算を集中させたいから
よく使うリンクビルディング手法は?
この結果を2013年の調査と比べてみると、明らかにコンテンツ主導の戦略へと移行し、一部の戦略が減少していることがわかる。たとえば、ゲストによるブログ記事が主要な戦術だという回答は、2013年は50%だったが、2014年はそれが15%以下にまで減少している。
もう1つ興味深いデータがある。それは、有料リンクの人気がいくぶん盛り返していることだ。おそらく自分たちがより大きな支配力を維持できる戦術をとりたいという企業の思惑があるのだろう。
2013年は、リンクビルディングの主要戦術として有料リンクを挙げたのがわずか5%だったのに対し、2014年には13%以上が有料リンクとブログネットワークを挙げている。
リンクビルディングにおける最も大きな課題は?
特にリンクする価値が見出だせないページ(マネーページ)へのリンク獲得
スケーラビリティの欠如(時間、プロセス、トレーニング、クライアントごとの時間配分)
グーグルのペナルティの回避
これらは2013年の調査で上がってきた課題とほぼ同じだ。オーガニック検索におけるパフォーマンスに関して、どのリンクが有用で、どれが有害なのかという問題や、プロセスやスケーラビリティ欠如に関する難題は、相変わらず懸念事項となっている。
興味深いのは、SEOには課題が山のようにあり、1つを克服しても、すぐに次が現れるという点だ。
2013年は回答者の28%が「有望なリンク先を探すこと」が主要な課題だと答えていたのに対し、今回は、有望なリンク先を問題とする回答がなかった。ここから分かるのは、2013年は業界全体として「新しい世界」に適応しようとしていた時期であったが、この件に関する僕らの能力が今はさらに前進し、日々の作業の中でもはや主要な課題ではなくなっているということだろう。
今の課題は、リンクを張ることではなくて、ビジネスを続けていくために検索順位を上げなければならないページ、つまりマネーページにリンクを獲得することのようだ。
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