Webコンテンツの大半は価値を生んでない。だからこそ数ページの改善でも劇的な成果につながる
たった数ページのWebコンテンツに手を入れるだけで、サイト全体のビジネス成果に大きな影響を及ぼすことがある
これは、ある見込み客の考え方と明白に食い違った、僕の提案内容だ。
僕は先方に上記のように言い、その主張を裏付ける具体的な数字を提示した。しかしそれでも相手はまだ納得しなかった。僕の自尊心が傷つき始めた。そもそも、画家が数学者に三角法の使い方を教えるだろうか?
芸術と異なり、コンテンツマーケティングやSEOは主観的なものではない。作成したコンテンツの質は定量化でき、ビジネスに利益をもたらすことができる。
コンテンツのほとんどは何の役にも立っていない
今回のテーマについて話すには、何としても「コンテンツのほとんどは何の役にも立っていない」という事実に対処する必要がある。
作成したほとんどのコンテンツは、グーグル検索結果の7ページ目という奥深くに埋もれており、自分のブランドとはまったく関係のない、漠然としたキーワードでしか表示されない。
その原因は科学(客観的数学)的プロセスが欠けているせいなのだが、これについては後で詳しく説明する。
典型的な例として、コンテンツマーケティングエージェンシーのBraftonでは、コンテンツ戦略として「ボリューム勝負」を採用していた。これは運を天に任せて打ちまくる戦術だが、それでも成果はあった。
しかし、そうして作成した古い記事の現在のパフォーマンスを見直すと、次のような状況であることがわかった。
サイトの上位100ページ(インデックス化されたページ全体の1.2%)が、オーガニックトラフィック全体の68%を引き寄せている。
さらに、インデックス化されたページ全体の94.5%は、検索結果でクリックされる回数が3か月に5回以下。
これはどういうことか?
何が変わったかと言えば、「コンテンツを労せず作るというのは、もう過去のもの」ということだ。
「さくっとコンテンツを作って、そこにキーワードをうまく入れ込む」やり方では、検索結果の7ページ目で孤独死に至ることになる。コンテンツを作成するプロセスは厳密なものにして、豊富なデータで裏付ける必要がある。
では、どうすればいいのか? まずキーワード調査から始め、そのデータをもとにSEOコンテンツを作ることだ。
1. キーワード調査:
定期的に検索されているキーワードからコンテンツのトピックを選択する。
「検索ボリュームが多い」ということは、ユーザーの関心が高いことを示している。そして、「ユーザーの関心が高い」ということは、作成している内容が対象オーディエンスにとって興味深いものであることを保証してくれる。
どのキーワードを選ぶかも、理にかなったものにする必要がある。どれだけ検索ボリュームがあっても、太刀打ちできない強力なコンテンツを作っている競合がいれば、そこに工数をかけても価値を得られる可能性は低い。MozやSEMrushのオーガニック難易度指標を利用すると、ある程度意味のある検索順位の可能性が現実的かどうかを判断するのに役立つ。
2. SEOコンテンツの作成:
目標は、「作成しているページが、ターゲットにしたキーワードで表示される」ようにすることだ。
ブログ記事の中でキーワードを使ったり、製品のランディングページにリンクしたりするような時代は終わった。1ページに盛り込むキーワードは1つにしよう。
そして、選んだキーワードで検索上位を獲得したければ、そのページは、そのキーワードに関してウェブ上で最高のコンテンツでなければならない。
そのためには、コンテンツが
- 深く掘り下げていて
- 関連トピックを幅広く網羅している
必要がある。
コンテンツ成果に反映される調査の進め方
キーワードターゲットの初期リストを作成する。そのリストから、次のような要素のバランスが良いキーワードを選び出す。
- 検索ボリューム
- オーガニックの難易度
- SERPの混み具合
- 検索意図の適合度
参考までにこのテンプレートを利用するのもいいだろう。Googleスプレッドシートが開くので、[ファイル]>[コピーを作成]するだけで準備完了だ。
特に有力な候補にまでリストを絞り込んだら、次は、見込めそうな総検索ボリュームを計算する。
これは、ターゲットとしたすべてのキーワードに対する1か月あたりの総検索数だ。この総検索数がすべて君のものになるわけではない。表示順位と総検索数のうちどれぐらいを獲得できるかの推定クリック率(CTR)は、確かな経験則として、どんなキーワードでも平均して次のようなものだ:
- 検索結果の1ページ目の下部から2ページ目の上部に表示されたら、最大2%
- 検索結果の1ページ目の中央から下部では、約4%
- 1ページ目の上部から中央まででは、約6%
上の例では、検索の上位を獲得できず平均でCTRが2%になったすると、ターゲットにした商用目的の訪問者は1か月あたり42~89人増えることになる。
問題のウェブサイトは、グーグルにインデックスされている7850ページからランダムな組み合わせのキーワードを通じて、オーガニック検索による訪問者を1か月あたり平均343人獲得している。
このプロジェクトでは、上記のキーワードを狙って20ページのコンテンツを作成しようとしている。
となると、少なくとも20ページ(サイト全体の0.3%)で全トラフィックの10.9%を生み出すことになる。うまくいけば(クライアントが上記のステップに完全に従った場合)、全体の0.3%のページだけでサイト全トラフィックの43.7%を生み出すことになるのだ!
なんということだろう。
これはつまり、サイトのインデックス化されたページの0.3%によって、毎月トラフィックが77.6%も増えるということだ。
数ページでいかに違いを生み出せるか
ここまで見てきたことはすべて、仮説に基づくキーワードの可能性だ。しかし幸いなことに、僕たちはこの方法をサイト上のランディングページでテストできた。
そこで上記の方法を取り入れたところ、1ページ目に表示されるターゲットキーワードのうち24件で、検索意図の明確だと思われる訪問者を1か月あたり716人も獲得できた。
僕たちが手を入れたのは37のコアランディングページだったのだが、これは全コンテンツ中0.5%に相当する。全体の0.5%のページが、サイト全体のトラフィックの7.7%を獲得したわけだ。
この効果を金額換算してみよう。
キーワード1件あたりの平均CPC(クリック単価)が1300円と仮定すると、同様のトラフィックをPPCから獲得するには月額93万円の広告費が必要になる。この1回の投資で、年額1117万円相当の価値を生み出したと推計される。
数ページでウェブサイトの出来が左右するだろうか? もちろんだ!
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