【実例あり】サイト貸しは検索トラフィック減でレベニューシェア帳消しになる可能性【SEO情報まとめ】
新聞社やクリニックの「サイト貸し」「サブディレクトリ貸し」は、コアアップデートの影響で本体サイトの検索トラフィックが激減するなど、小銭稼ぎどころではない損害になる可能性がある ―― SEOの専門家が実例をグラフで示しながら解説。
ほかにも、「初期非表示コンテンツの順位影響」「商品の構造化データがさらに付加価値」「ウェブマスターガイドライン改定」などなど、あなたのSEO力に役立つ情報を、まとめてお届けする。
- グーグルはウソを言っている!? 初期非表示コンテンツはやっぱりSEOにマイナスだった
- グーグル、ショッピング関連の表示に商品構造化データを利用開始、Merchant CenterのアカウントなしでもOKに
- HTTPSの配信状況がわかるレポートがSearch Consoleに追加される
- 2022年9月のオフィスアワー: 商品構造化データの送料の記述、動画ページのインデックス登録、リダイレクトエラーほか
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【実例あり】サイト貸しは検索トラフィック減でレベニューシェア帳消しになる可能性
取り返しのつかないダメージを受ける危険あり (サイバーエージェントSEO情報ブログ) 国内情報
「サイト貸し」「サブディレクトリ貸し」をしていたサイトはトラフィックが大幅に下落している可能性があるというレポートとともに、「サブディレクトリ貸しは、貸す側のリスクが高く、非常に危険」という強いメッセージを、サイバーエージェントの木村氏がブログ記事で投稿している。
木村氏は、「サブディレクトリ貸し」をしていたサイトにおいて、2022年9月のコアアップデート以降に検索トラフィックが減っているのではないかという様子を、いくつかのグラフで示している。
たしかに、貸していたディレクトリ以外の部分(つまり本来のメディアや事業のサイト)の検索トラフィックがコアアップデートで大きく減っているように見える。
実データではなくあくまでも想定トラフィックではあるし、サブディレクトリ貸し以外の要因によるアップデートでの変動の可能性もある。とはいえ、サブディレクトリを貸すことのリスクを改めて感じる恐ろしいレポートだ。
木村氏は、検索結果における表示に起因するブランド毀損なども解説しながら、次のように結論づけている:
現時点でホスト貸しにおいて
- サブディレクトリ配下を貸している側が落ちる可能性が出てきた
- サブディレクトリ配下が検索されても貸し手のサイト名が出ることでブランド毀損する可能性が出てきた
ということが言えます。
さらっと書きましたが、これは非常に危険なことだと思います。
「手間なくレベニューシェアで収益が得られます」
のような謳い文句で営業してくる仲介業者がたくさんあるはずです。
手間なく収益が得られることにリスクがないと思いますか?
そんなリスクまで犯してホスト・サブディレクトリを貸しますか?
「サイト貸し」「サブディレクトリ貸し」と呼ばれる手法は、SEO業界でここ1~2年横行している手法だ。グーグルのガイドラインに明確には違反していないのだが、問題もありグレーゾーンに位置する。「寄生サイト」と否定的な呼び方をする人もいる。
SEO業界で名の通っている木村氏とso.laの辻氏はともに、この手法に警鐘を鳴らしてきた:
「サイト貸しはグーグルのガイドラインに違反していない」と前述したが、この手法をグーグルが推奨していないことも事実だ。長期的にみた場合のリスクとして、貸した手側サイトの検索順位に悪影響が出る危険があることや貸した側のブランド毀損につながる可能性を木村氏は示している。それ以外にも、検索結果の汚染にもつながる場合がある。
実際に、グーグルの金谷氏はかつて次のようにコメントしていた。
オフィスアワーでも何度か取り上げていると思いますが、このような施策は全くお勧めできないですね。いくつもご報告頂きますが長く続いているようなケースはほとんどないと思います。仮に上位に表示されてもそれが不当に上位であれば何らかの改善の対象になり、適切な対応が行われますので。 https://t.co/uIB3zOaU8f
— Takeaki Kanaya ★ 金谷 武明 (@jumpingknee) January 5, 2022
ホスト貸し自体はガイドライン違反ではないとしても、ランキングを不正に操作していれば手動対策の対象となる。
年商数十億円のスタートアップの企業が実はサイト貸しを活用したアフィリエイター集団なのではないかという指摘の記事も話題になっていた。つまり推奨されない手法で大稼ぎしているというのだ。
木村氏の記事は、こうした状況をふまえ、改めて警鐘を鳴らすものだ。元記事のまとめにもあったが、木村氏は「サイトやサブディレクトリを貸す側がリスクを正しく理解することが重要」だと指摘している。
サブディレクトリを「借りるな」ってメッセージをいくら発したって、ブラックハットSEO屋はやり続けるだろうから、むしろ発するべきは「貸すな、危険」なんだろうな。
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) October 14, 2022
寄生サイト・ホスト貸しって借りてる側だけじゃなくて貸してる側も大幅に落ちることがあるという点でリンクスパムより怖いと思うけどね。ま、借りてる側は落ちたら別のところに移るとかやりそうだけど。小金のためにサブディレクトリ貸すとかほんとやめたほうが良いよ。
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) October 14, 2022
「ホスト貸しやサブディレクトリ貸しには順位下落の危険がある」ことを知らずに貸し出してしまうビジネスが少なくないと思われる。サイトの一部を提供することによって得られる報酬、いわば賃料が労せず入ってくるので気楽に契約してしまうからだろう。
しかし、ホスト貸しには、本業ビジネスのサイトに取り返しがつかないダメージを与える副作用の可能性があると認識しておこう。あなたの周りの人にも危険性を広めてほしい。
もし相手に理由を理解させるのに必要ならば、木村氏の記事を参考情報として渡し、「日本有数のSEO専門家による指摘」であることを添えておくといいのではないだろうか。
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グーグル検索SEO情報
グーグルはウソを言っている!? 初期非表示コンテンツはやっぱりSEOにマイナスだった
実験で検証 (アユダンテ株式会社) 国内情報
初期状態でコンテンツが隠れている展開型デザインであっても、検索で評価が下がることはない
detail要素やタブ型インターフェイスのような初期状態で非表示になっているコンテンツの扱いに関して、グーグルはこのように説明していた ―― このコーナーの7月の記事で紹介したものだ。
クリックやタップで展開して表示されるコンテンツは、無視されたり重要度を下げられたりすることがたしかにあったのだが、それは過去の話だとグーグルの社員は言っていた。
しかし、本当にそうなのかどうかを確かめるべく、アユダンテの岩井氏が実験した。実験から判明した結論を岩井氏は次のようにまとめている:
- 検索クエリに対応したコンテンツがあっても、検索スニペットに表示されない。
- 初期表示コンテンツよりも検索順位が下がる可能性がある。
クリックなどで表示できるが初期非表示のコンテンツ(テキスト)は、検索結果のスニペットに出てこないことがあるそうだ。また、最初から表示していた場合と比較すると、初期非表示の場合、同じページでも順位が下がる傾向が見られたとのことだ。
非表示コンテンツの扱いについてグーグルの発言と現実が異なっている状況はこのコラムでも取り上げたことがある。このとき、グーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントしていた:
この手の体験談に関して、私は納得しない。状況によって異なってくるからだ。
個人的な意見を言わせてもらえば、最初からコンテンツが見えるようにするほうが、良いユーザー体験になることが多い。
筋が通った実験をSEOに取り組む人たちがするのを見るのが私は好きだし、(グーグルが言うのとは)別の結果になるのを見るのも好きだ。今回のケースは、「グーグルがこう言ったからこうしなければならない」というものではないと思う。
グーグルの言うことが正しいのか正しくないのかはわからない。誤解を恐れずに言えば、どちらでもよくて(※筆者注: 岩井氏の実験とその結論を否定するものではもちろんない)、「目当ての情報の見つけやすさ」「読みやすさ」などユーザー体験の観点から検討して自分のサイトにとって適切だと判断したほうを選べばいいのではないかと筆者は考える。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル、ショッピング関連の表示に商品構造化データを利用開始、Merchant CenterのアカウントなしでもOKに
販売者のリスティングにも掲載チャンスあり (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報
グーグルは、検索結果における[ショッピング]タブなどに表示する商品情報のデータとして、各Webサイト上でマークアップしている商品の構造化データを利用するようにした。
9月13日付けのGoogle検索セントラル ブログでの投稿によると、商品の構造化データを利用するようになったのは、次の場所だ(まとめて「販売者のリスティング」とグーグルは呼んでいる):
- [ショッピング]タブ
- ショッピング ナレッジパネル
- 人気商品
- 画像検索
- グーグル レンズ
これまでは、こうした販売者のリスティングに商品情報を掲載するには、
- マーチャントセンター(Google Merchant Center)に登録し
- 商品情報を記載した商品フィード(Google Merchant Centerフィード)をグーグルに提出する
必要があった。しかし現在は、Webサイト上のページに構造化データでマークアップしていれば、販売者のリスティングの掲載対象になる。マーチャントセンター登録は必須ではなくなったのだ。
これまで商品の構造化データは検索結果でのリッチリザルト表示の対象だったが、適用範囲が広がった形だ(検索結果での構造化データ利用には変わりはない)。
対象範囲拡大にともない、商品構造化データの技術要件も変更された。マーチャントセンターを利用していないが販売者のリスティングにも掲載されることを期待するなら、現状の構造化データを更新する必要があるかもしれない。最新の要件は技術ドキュメントを参照してほしい。
また、Search Consoleのレポートも変わった。ショッピングに関する2つのレポートを利用できる。
「商品スニペット」は、リッチリザルトに関わる構造化データのレポートだ(名前は変わったが従来からあるレポートだ)。
「販売者のリスティング」は、[ショッピング]タブやショッピング ナレッジパネルなどの販売者のリスティングに関わる構造化データのレポートだ(新たに追加された)。
となると、ショッピング関連のデータとして、次のような疑問がわくかもしれない:
構造化データとマーチャントセンターのどちらを使えばいいのか
グーグルの人に確認したところ、両方の利用を推奨とのことだった。
とはいえ両方が難しいなら、運用環境に合わせて構わない。すでに構造化データを実装しているのであれば、構造化データの更新のほうが手間がかからないし、運用しやすいかもしれない。一方、システム上の制約で構造化データをマークアップできない場合があるかもしれない。そうした環境では、マーチャントセンターを使うことになるだろう。
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HTTPSの配信状況がわかるレポートがSearch Consoleに追加される
HTTPSエラーがないかどうかを確認 (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報
グーグルは、HTTPSの状況を確認できるレポートをSearch Consoleに追加した。HTTPSで正常に配信できているページと配信できていないページの総数がわかる。HTTPSで配信できていないページに関しては、その原因とサンプルURLの情報を提供する。
サイト全体でHTTPSのエラーが発生していればすぐに気づけるが、一部で発生している場合は気づきにくい。サイト内のすべてのページが正常にHTTPS配信できているかレポートで確認しよう。
このレポートは、Search Consoleで左側のメニュー[エクスペリエンス]>[HTTPS]から確認できる。
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2022年9月のオフィスアワー: 商品構造化データの送料の記述、動画ページのインデックス登録、リダイレクトエラーほか
9月開催の3回目 (グーグル ポリシー オフィスアワー on YouTube) 国内情報
2022年9月の3回目のグーグル ポリシー オフィスアワーが開催された(1回目と2回目の紹介はこちら)。金谷氏と小川氏が取り上げた質問は次のとおりだ。
気になる質問の回答をすぐに確認できるように、再生箇所へのリンクをそれぞれのタイムスタンプに貼ってある。
グーグル検索やアドセンスポリシーに関して疑問がある場合はこちらのフォームから投稿しておくと、オフィスアワーで回答してもらえる。現在は、オフィスアワーは月に2〜3回実施される。比較的早いタイミングで投稿した質問を取り上げてもらえるだろう。
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