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「それいいね、ぜひやろう!」とSEOプロジェクトのステークホルダーに言わせる4つのステップ

プロジェクトを推進するためには他チームの協力が必要になることもある。そこで今回は「SEOプロジェクトへの支持を得る方法」について解説する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

今回のホワイトボード・フライデーは「SEOプロジェクトへの支持を得る方法」について解説する。

要は、あなたの提案するSEO方針やSEO施策について、

いいね、ぜひやろう!

喜んで工数を割きますよ!

と言ってもらえるようにするための方法だ。

言い方を変えると、SEOプロジェクトに取りかかる君と、協力を求める他のチームとのスケジュールや目的を一致させる方法のことである。

これまでのホワイトボード・フライデーを振り返ると、SEOの投資利益率(ROI)についてカーヴィ・カルドス氏が素晴らしい説明をしていた。

この記事は、これに続くステップであり、担当するのはショーン・フーバーだ。現在はTrellis ResearchでSEO担当ディレクターを務めているが、以前T-MobileでSEOのシニアマネージャーをしていた。今回はT-Mobile時代の経験について話してもらう。

それでは、始めよう。

SEOプロジェクトへの支持を得る方法
課題!
・SEOは他のチームに依存している
・SEOの目的とスケジュールを関係者やパートナーに合わせる
→どうすれば優先してもらえるか
→どうすれば自分の取り組みを相手の目的と結び付けられるか
①動機と目的を明らかにする
a) 相手によってプルーフポイントは異なる
b) 全体像を示すにはどのようなデータが必要か
 ・追加の情報は必要か
 ・不完全なパフォーマンスデータは避ける
 →他にどういうデータポイントがあるか; 顧客生涯価値(CLV)やクリック単価(CPC)などの指標が有効
c) 自分のSEOデータは相手の目的や関心事とどのように合致しているか
SEO担当者「協力して!」
ステークホルダー「僕にどんなメリットがあるの?」
②データに基づいてビジネスケースを構築する
a) プロジェクトの情報を見てほしい人たちに関連するすべてのデータやプルーフポイントを活用する
b) ビジネスケースを2つ用意する必要がある場合も
③アピールして宣伝する
・エグゼクティブサマリー
・求めるもの
・求める理由
・From/To
・テストの結果/データポイント
・ロードマップ
・次のステップ
→必須
 ・相手に合わせてカスタマイズする
 ・簡潔なものにする
 ・明確な次のステップを示す
 ・可能な場合は「見える化」する
 
④フォロースルーとフォローアップ
a) フォロースルーとフォローアップは必ず設定してやり遂げる
→価値実証(PoV)が実施しやすくなる(次回は支持が得やすくなる)
→信頼が醸成される
大多数の組織では、SEOチームは目的やを達成するために他部署との協力が必要
目標――プログラムを成功させる鍵となるのは、関係者/パートナーの支持

SEOプロジェクトへの支持を得るためには?

SEOの世界では、みんなも知っているように、さまざまな課題がある。その1つが、他のチームに強く依存している状況だ。

僕もT-Mobileでエンジニアリングチームの仲間たちに強く依存していたため、どんなプロジェクトでも優先してもらうのは必ずしも簡単ではなかった。特に大きな理由として、彼らも

  • 他のチーム
  • 上司
  • 組織の各部門

に対応を求められていて、僕の目的やスケジュールに合わせられるとは限らなかったからだ。

この経験をもとに、今日は次の2つを説明しよう:

  • 君のプロジェクトを優先してもらう方法
  • 君の取り組みを、相手のスケジュールや目的と結び付ける方法

ステップ1動機と目的を明らかにする

最初のステップとして、相手の「動機」と「目的」を明らかにしよう。

ニーズはチームによって異なることを忘れないでほしい。それぞれのチームにとって何が重要かを把握する必要がある。時として、君のSEOプロジェクトは“それほど大変な作業ではない”ことを伝えるだけでも、役に立つ場合がある。

君が全体像を示していないこともある。たとえば、一部のデータポイントが欠けているといった場合だ。そうした問題があるとわかったら、

  • 支援を求めたい相手に関連するかもしれない他のデータポイント

を探してみよう。そして最後に、

  • 君のデータが相手の関心事とどのように合致しているか

を明らかにしよう。

ところで僕は、T-Mobileがコストを数百万ドル節約できるようなプロジェクトに取り組んでいた。しかしそれも“SEOの限界”、つまりプロジェクトを優先してもらえない壁にぶち当たった。このプロジェクトを推進するために僕が心から必要としていたエンジニアリングチームにとって、ぼくたちの仕事はそれほど重要ではなかったのだ。

ここでポイントとなったのは、次のことだ:

  • 会社がコストを節約できたとしても、それは相手の目的と一致していない場合がある。

そこで僕は、どうすれば彼らに助けてもらえるかを「会社のコスト削減」とは別の観点で考えなければならなかった。結局どうなったかというと、僕たちは「エンジニアリングチームはリソースが不足していることで困っている」と仮説をたて、次のようにお願いすることにした:

すみませんが、少しだけ時間とリソースをもらえたら、今後このようなプロジェクトでSEOチームから依頼に伺うことはありません

そのおかげで、プロジェクトを前に進められた。

ステップ2データに基づいてビジネスケースを構築する

次は、データに基づくビジネスケースを構築していこう。あらゆる情報を集約したら、見てほしい個々の担当者に合わせて情報をカスタマイズ、調整をしよう。

その過程において、いくつかプレゼン資料を作成する必要は出てくるが、最終的には報われることになるだろう。なぜなら、相手にとって適切なものにすることで、相手の視点からみて支援するべき理由をアピールできるからだ。

ステップ3アピールして宣伝する

次に、君のプロジェクトを他のプロジェクトより優先するべき理由をアピールして宣伝する。

プロジェクトを売り込むために、以下の要素をプレゼン資料に盛り込むべきだ:

  • 何が得られるかを簡潔に示した素晴らしいエグゼクティブサマリ
  • 相手に対して何を求めているか
  • なぜ求めているか
  • 現在どのような問題を抱えていて、プロジェクト実装後はどうなるか
  • プロジェクトの重要性を示すために君がこれまでに収集してきたあらゆるもの:
    • テスト結果
    • ホワイトペーパー
    • ケーススタディ
    • などなど
  • スケジュールとこのプロジェクトに想定される期間を示した素晴らしいロードマップ
  • その先に見てくる非常に優れた次のステップ

相手に合わせてカスタマイズすることに力を入れたい。くり返すが、僕がT-Mobile時代に学んだように、特に重要なのは部門によってニーズが異なることだ。

また、プレゼン資料は次の点に気をつけよう:

  • ごく簡潔なものにしておく ―― 徐々に広まって上級幹部らの目に留まっても、大量のスライドに目を通してもらえる時間はあまりないからだ。
  • 次のステップを明確にする ―― 幹部らは、ステップごとに何が期待できるかを知りたがっている。
  • できる限り多くのビジュアルを盛り込む ―― ブランドカラーを使うのもいい。時間を割いて工夫すれば、こちらの意気込みが見えて幹部らにも喜ばれるし、熱意も伝わるだろう。

ステップ4フォロースルーとフォローアップ

最後に、フォロースルーとフォローアップだ。「報告」「スケジュール」「ステータス」といった性質のものは必ず設定して、やり遂げよう。そうすることで、SEOがもたらす価値実証(PoV)が実施しやすくなって信頼が醸成されるので、次のようなシーンでも、承諾をもらえるだろう。

すみません、この次のプロジェクトの開発を手伝ってもらいたいのですが?

そういえば、SEOチームは必ず成果を出して、ちゃんと報告してくれるね。おかげでこちらの印象も良くなるよ。君の依頼なら、何でもOKだ

結局のところ、プロジェクトを成功させる鍵となるのは、次のことだ:

  • あらゆる部門と協力し、
  • 相手にとって価値のあることや重要なことを見極め、
  • それをSEOにおける君の目的や、君にとって重要なことと一致させる

今回は、このホワイトボード・フライデーを見てくれてありがとう。よい一日を。

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