UXライティングはじめの一歩、国内外のWEBサイトの『マイクロコピー』を勝手に分析してみた。
- 編集部の見解や意向と異なる内容の場合があります
- 編集部は内容について正確性を保証できません
- 画像が表示されない場合、編集部では対応できません
- 内容の追加・修正も編集部では対応できません
あなたは今日、ネットで買い物をしましたか?
ゲームをダウンロードしたり、新しいウェブサービスに登録したでしょうか。
もしそうなら、(あなたは気がついていないかもしれませんが)
「マイクロコピー」を目にしていたはずです。
マイクロコピーとは何か・・・?
こんな風に、インターフェースに書かれるコピーのことです。
マイクロコピーはWEBサイトやアプリのあらゆる箇所で見つかります。例えば、
・ボタンの文言
・メニューやナビゲーション
・入力フォームのラベル
・サインアップ画面
・ログイン画面
・パスワード復元ページ
・プレースホルダーのテキスト
・プログレスバー
・アプリのプッシュ通知
・404ページ
・エラーメッセージ
などです。
マイクロコピーは、ユーザーを助けるコピーのことを言います。指示、説明、通知、警告を通じてユーザーの行動をガイドします。その点、セールスコピーや、マーケティングメッセージとは明確に区別されるものです。
ではなぜマイクロコピーが重要なのか?
答えは簡単です。もし、インターフェースにコピーが書かれていなかったら、誰もが操作を投げ出してしまうでしょう。アプリを利用したり、ウェブサイトを見ているとき、私たちはインターフェースに書かれるマイクロコピーを頼りに操作しているのです。
優れたマイクロコピーはユーザー体験を向上させ、結果的に企業の利益に直結します。今日の記事では、国内外のWEBサイトから見つけたマイクロコピーのベストプラクティスをご紹介します。
ユーザーの気持ちを汲み取り、心理障壁をなくすマイクロコピー
1)Intercomの無料トライアル
顧客管理サービスを提供するインターコム。無料トライアルには「わずらわしい手続きがつきもの」と考えるユーザーが多く存在します。そのためインターコムでは、次のようなマイクロコピーを添えて、無料トライアルのお手軽さ、メリット、そしてリスクがないことを伝えています。
2)Notionの無料サインアップ
Notionは情報を一元管理できるオンラインツールです。このサービスに興味を持つ個人・企業にとっては「自分たちのPC環境に対応しているか」が、最初の懸念点です。そこでNotionは、登録フォームのすぐ下に「オンライン、マックでもウィンドウズでも動作します」のマイクロコピーを添えて、ほとんどの環境で使えることを伝えています。
Notionには様々な機能がありますが、初めての人でも理解できるように、設定画面にはマイクロコピーが添えられています。
・会社のメールアドレスを持っている人を自動でアクセス許可する機能では「このドメインのEメールアドレスを持っている人は、自動的にあなたのチームに参加することができます」と説明を添えます。
・チームアカウントから離脱するボタン、アカウント削除ボタンの近くには、誤操作を防ぐために「Danger Zone」のマイクロコピーが添えられているのもユニークです。(UXの観点から見れば、ちょっぴり大胆なマイクロコピーかもしれませんが...)
3)Googleアカウントの性別回答
Googleアカウントの性別回答プルダウンメニューがこちら。プライバシー情報をできるだけ残したくないユーザー向けには「回答しない」、また、様々なジェンダーを持つ人たちに対応するため「その他」を用意しています。
(補足:とある女性用下着を取り扱うECサイトでは、全体の購入者のうち、一定数は男性であることがわかっています。性的マイノリティに向けた回答枠の用意することは、登録への抵抗感を下げることに繋がります)
4)Facebook・ヴィクトリアズシークレットの「理由」を使ったマイクロコピー
顧客から個人情報を預かるとき、きちんとその理由を説明していますか?Facebookでは、マイクロコピーを使って、生年月日が必要な理由を説明しています。大半のユーザーは自分のプライバシーがどのように扱われるのかを心配しているからです。
米国のアパレルブランド、ヴィクトリアズシークレットでは「なぜこれがいるの?」のマイクロコピーと共に、電話番号が必要な理由、Eメールアドレスがどのように使われるのかを詳しく説明します。
オンラインストアを利用する顧客は、セールスの電話や、大量のセールスメールが送られてくることを懸念しているので、丁寧にケアする必要があります。
5)タイムトラッキングサービスTimelyのソーシャルログインボタン
SNSアカウントを使った会員登録も一般的になりました。タイムトラッキングサービスのTimelyは「私たちは自動投稿したり、スパムを送ったり、自動でフォローすることはありません」と言います。ユーザーが何に不安を感じているか知っているからです。
6)Asanaの動画が再生できないシチュエーション向けマイクロコピー
音を出せない場所にいる時は、テキストで読みたいですよね。プロジェクト管理ツールAsanaでは、「ヘッドホンをお持ちではないですか? テキスト版をお読みください」と言います。ユーザーのいる状況を想定して書かれたマイクロコピーです。
7)クリックトリガーを利用したvwo.comのサインアップボタン
ABテストツールを提供するvwo.comでは、ボタン下に「クレジットカードは必要ありません」のマイクロコピーを添えています。
これは、無料登録の際にユーザーが感じる「本当に無料なの?」「あとで課金されるんじゃないの?」といった不安を解消するためです。copyhackersのJoanna wiebeは」このようなボタン周りのコピーをクリックトリガーと名付けました。クリックトリガーは、ユーザーの不安や懸念、疑問をクリアにするコピーでのことで、ユーザーがボタンをクリックする後押しをします。
まとめ
この記事では国内外のWEBサイトのマイクロコピーを7つご紹介しました。今回、お伝えした内容をまとめると次の3点です。
・マイクロコピーはユーザーを助けるコピー
・ユーザーが心理的障壁を乗り越える手助けをする。
・セールスやマーケティングを目的とするものではない
サイトやアプリを利用するときに、どんなマイクロコピーが書かれているか?注目しながら操作してみると面白いですよ。
自由参加のFacebookコミュニティ、Microcopy & UX Writing Japanでは、このようなマイクロコピーの事例、UXライティングのコンテンツをシェアしています。お気軽にご参加ください。
ソーシャルもやってます!