検索マーケティング担当者の採用――面接で聞くべき5つの質問
従業員の採用とは、骨の折れる仕事だ。
一般的な面接プロセスを見てみよう。電話聞き取りによるふるい分けが1回か2回、専門技術に関する面接が複数回、そして業務や社風に合うか調べる面接がある。自分の時間はもちろん、面接官を務める同僚の時間、あるいは応募者の時間を無駄にしたくはないだろう。
大変な心労から逃れたいなら、面接で聞く質問を有効に使うことがきわめて重要だ。特に最初の電話面接においてはね。あいにくにも、ウェブでいろいろ調べてみれば、典型的な同じ電話面接の質問がいくつも見つかる。
現在の職を離れる理由は?
今から5年後に、自分はどの位置にいると思いますか?
仕事において、あなたの現在の上司との関係はどうでしたか? 彼もしくは彼女の長所と短所は何でしょうか?
もちろん、こうした仕事の姿勢に関する質問は、今後の能力について最高の判断材料になる。しかし、検索マーケティングの職を求める人に聞くうえで、適切な質問とはどのようなものなんだろうか?
僕の経験からわかったことは、検索に関係する最も役立つ質問は、一石二鳥だということだ。そのことをきちんと説明していこう。
求職者の過去の行動からめぼしい事柄を引き出すだけでなく、同時に適性と能力を確かめることが重要なんだ。これは各応募者に対し、電話面接の時間が30分から60分くらいしかないときや、多数の応募者をふるい分けるときに大切なことだ。
電話面接で、PPCアナリスト候補に尋ねる質問5選
PPCアナリスト候補に対する、僕のお気に入りの質問5つを以下に挙げていこう。
①Googleの品質スコア(Quality Score)とは何ですか? それはランキングでどのような役割を果たすものですか?
この質問は、最初の対面面接で僕がよく使っていた専門的な質問なんだけど、品質スコアが何かを知らない、あるいは僕がPageRankについて話していると思った応募者がいたことに、愕然としたことがある。
僕が期待しているのは、Googleの模範回答などでなく、品質スコアの背景にある基本的な概念(クリックスルー率などの要素)や、品質スコアが以下に示すAd Rank算定式の一部だと理解していてほしいんだ。
僕は現在この質問を、電話面接で専門知識に関する話に入る際に使っている。PPCアナリストとしての主な役割は、検索に不慣れな人たちに検索とは何か説くことになる。僕に対して、平易な言葉で品質スコアとAd Rankについて説明する能力こそ、僕が非常に注目するところだ。
②当社のブランドは「赤いウィジェット」といいます。ただし当社は、「赤いウィジェット」のアルゴリズム検索結果において、最上位に表示されます。その際、同じキーワードでPPC戦略を提案するとしたら、それはどのようなものですか? またその理由は?
この質問は、応募者のブランドキーワードに関するロジックと経験を調べるためのものだ。これまでに僕が聞いたすばらしい回答には、以下のようなものがあった。
アルゴリズム検索とPPCキャンペーンの両方における、総体的なROAS(広告費用対効果)に依ります。アドワーズ広告を利用しているときに、全般的に良い結果が出ているなら、やってみるべきでしょう。
私なら、おそらくPPCキャンペーンを実施します。なぜならこの場合はブランドキーワードだからです。これまでに学んできたことによると、ブランドのためにPPCキャンペーンを実施することは、そのブランドを2倍に強化する働きがあるということが示されています。
この質問に関しては、業界や状況を問わずすべてに当てはまる「正しい」回答は存在しない。しかし、もし興味があればブランドキーワードの購入に関するジョン・メンデス氏のケーススタディを読んでみると良い。
③当社は500万種のキーワードを運用しています。この規模のアカウントをどのように管理しますか?
これは、制約のない能力についての質問だ。日常業務の自動化と生産性の増大は、僕の会社の重要な目標なんだ。僕ら検索マーケティング担当者は、誰もが新しいツールの調達と試用を繰り返し、より時間効率の良い方法を探すことに尽力している。
多くの場合、面談相手の応募者は管理ツールの利用を挙げるが、僕がここで注目していることは、PPCツールセット(キーワードツール、ウェブ分析ツール、キーワード目録管理ツールなど)に対する彼らの経験と意見なんだ。僕は、自分の意見を持っている人、明確に意見を述べる人が好きだ。なぜ500万ものキーワードがばかげた規模なのか、あるいはそれらキーワードを、最大の効果を持つもの、可能性あり、役立たずという段階に分けて、どのように管理するのか聞きたいんだ。
もう1つ例を挙げると、ある応募者は、Google APIを使った自社開発ツールと、AdWords Editorを使用することの違いを挙げていたが、それは、キーワード目録の規模が非常に大きなアカウント管理の経験を、彼女が持っていることを示唆している。
④私は「赤いウィジェット」の広告活動をしています。しかし、コストの増加が心配です。どうしたら良いでしょうか?
驚くべきことに、応募者の中には詳しく聞き直したりせず、非常に長くて複雑な解決策の提示を一足飛びに始める人たちもいる。もし自分の上司が、ほんのわずかしか情報をくれなかったらどうするのか? それはCPC(クリック単価)やCPA(顧客獲得単価)の増加なのか? 競合相手がキーワードの入札合戦を始めていないか? キーワードの部分一致、フレーズ一致、完全一致の設定はどうなっているのか? 除外キーワードはあるのか?
もし質問が若干あいまいで大まかだと感じたら、面接官にもっと質問して、はっきりしない部分を明らかにしよう!
僕が好きな対応は、ある生意気な応募者のこんな発言だった。
もし八方手を手を尽くして駄目なら、予算を40万ドル削減して、3名の開発者とSEO専門の従業員を1人雇うこと。
⑤私は競合相手企業の人物で、あなたの部門が所有している商標キーワードに入札しようとしています。丁寧な電子メールを受け取ったにもかかわらず、私は商標キーワードの入札中止を拒みました。さて、あなたはどのような措置を取りますか?
僕らの組織において、商標権の侵害はときどき浮上してくる嫌らしい問題だ。
この質問は、Googleの商標権侵害に関するポリシーと、競合相手によるキーワード入札への最良の対処法に関する知識だけでなく、揉め事の解決能力を試すものだ。僕は基本的に、引き下がることを拒む意固地で厄介な競合相手を演じることにしている。
この最後のロールプレイ形式の質問は、白熱したり奇妙な感じになりがちだけど、本当の狙いは、応募者の揉め事解決能力を単に試すことなんだ。
独自の質問を作成する
上記に挙げた5つの例は、僕が電話面接において好んで使う専門的な質問だ。
電話面接用に一連の質問を独自に作成する際は、自分の部門や会社の方針に合わせてカスタマイズしよう。ただし質問の意図は同じだ。応募者たちをくつろがせるために専門的な質問を用いて、より率直な、日ごろの行動に基づく回答を引き出そう。一石二鳥の質問を上手に作って、時間を節約するんだ。
それと、僕のGoogle偏重について弁解するつもりはない。オーストラリアでは、Googleが完全に検索市場を独占しているんだ。僕たちの予算のうち、オーバーチュア(Yahoo! Search Marketing)に充てる割合はごくわずかだし、MSNはオーストラリア版のadCenterを提供していないんだよ。
あっそうだ! オーストラリア人の検索マーケティング担当候補者のために、いくつか新しい質問を考えなきゃいけないことを、たった今思い出しちゃった! おそらく電話面接の代わりに、VoIPとアバターを使った面接を受けてもらうことになるだろうな。Randがピューマの仮想キャラクタで、従業員候補と面接している様を見ることになるだろうね。応募者たちは仮想空間を上手く通り抜けて、疑似SEOmoz社屋にたどり着かなければならないって寸法だ。これは確かに、どれほどオンライン慣れしているか試すための良いテストになるだろう?
従業員の採用に関しては比較的新参者の僕に、みんなの組織の人たちや社内新人採用担当が、PPCアナリスト応募者に尋ねる質問をぜひ教えてほしい。
今度SEOmozで、検索マーケティング担当者採用シリーズのパート2をやるよ!
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