事業資産+サイトの変更履歴=大きな価値(後編)
この記事は、3回に分けてお届けしている。前編ではオフラインの事業資産について、中編ではサイトの変更履歴について解説した。最終回となる今回は、事業資産とサイトの変更履歴を組み合わせたSWOT分析についてお伝えしよう。
事業資産とサイトの変更履歴を組み合わせ、SEOとWebサイトのSWOT分析を実施する
ビジネススクールで教わる戦略計画ツールの定番に、SWOT分析がある。これは、事業やプロジェクトを4つのポイントで評価するものだ。
プラス要素 | マイナス要素 | |
---|---|---|
内部要素 | 強み (Strengths) 目標達成に役立つ内的要因 | 弱み (Weaknesses) 目標達成を阻害する内的要因 |
外部要素 | 機会 (Opportunities) 目標達成に役立つ外的要因 | 脅威 (Threats) 目標達成を阻害する外的要因 |
事業資産の評価データと変更履歴の記録データ(および訪問者の解析)を組み合わせることにより、ビジネスの世界で重要なこれら4項目について、非常に説得力ある分析を実行できるようになる。
強み(S)
強みを特定することは、SWOT分析の目標の中では比較的簡単な部類に入ることが多い。
- トラフィックをもたらす参照元のうち、自分のサイトや事業に役立っているのはどれか?
- トラフィックや収益における目標達成を目指すうえで、好ましい方向への牽引力となっているのはどのプロジェクト/資産/提携関係か?
- 高いトラフィックとROIを生み出しているのは、どのセクション/タイプのコンテンツか?
- 過去に行ったどの変更のうち、重要な価値をもたらしたのはどれか?
弱み(W)
弱みを突き止めることは、少し難しいかもしれない(と同時に、さらなる知的誠実さと勇気を要する)。
- 現時点でわずかな検索やトラフィックしかもたらしていないコンテンツはどれか?
- 望ましい結果をもたらそうとして加えた変更のうち、ほとんど/まったく見返りが得られなかったものはどれか?
- トラフィックソースのうち、未成熟なものや誘導力の弱いものはどれか?
- 十分に活用されていないプロジェクト/資産/提携関係はどれか?
機会(O)
機会を理解するには、強みと弱みの分析を組み合わせる必要がある。良好な実績を上げている部分を把握することは大切だが、未開拓な部分にも発展の余地はある。
- アイデアとして出されたものの、まだ開発やテストが行われていない、重大かつ好ましい効果をもたらし得るプロジェクトやアイデアはどれか?
- 現時点で良質のトラフィックを送ってくるトラフィックソースのうち、拡大することでさらなる価値をもたらし得るものはどれか?
- 弱さに属する要素のうち、克服の方法がはっきりしているのはどれか?
- Webサイトの変更のうち、ポジティブな結果をもたらしたのはどれか? その変更を他の部分に応用したり、さらに徹底的な変更を加えたりすることで成果を高めることができるか?
- 新しい市場や新しいコンテンツ分野のうち、拡大の実現性や有効性が見込めるのはどれか?
- 新しいコンテンツや新しいリンクを引き出せそうなソースのうち、まだ活用できていないのはどれか?
脅威(T)
脅威の特定は、4つのうち最も困難になる場合がある。ここで必要なのは、創造的な思考に、自分の弱みとライバルの強みに対する公正な評価を組み合わせて、自分のWebサイトや企業の将来を決定し得るマクロな出来事の可能性を検討することだ。
- 同業者(または近い業種の企業)のうち、自社が弱みとしている部分を強みにしているのはどこか? ライバルはどうやってそれを成し遂げたか?
- 人の行動、ウェブの使用、市場の状態における変化のうち、自分の事業やサイトに劇的な影響をもたらし得るものはどれか?
SEOmozならば、「もし人々が検索を止めて、異なる方法でウェブを見て回るとしたら」という観点から、この項目を検討するかもしれない。これは少々「絵空事」のような話だが、たとえば、Expediaが旅行代理店のビジネスに破壊的な打撃を与えたり、Craigslistが案内広告を時代遅れのものにしたりする状況では、大きな違いを生む可能性はある。 - 自分と同じ業界のライバルのうち、最も大きな成功を収めているのはどこか? そのライバルはどのような方法でそれを成し遂げたのか? また、その方法は、自分の事業や顧客とどの部分で関連してくるか?
- 自社と近い業種の新興企業のうち、特定の分野ですでに大きな成功を収めており、もし自社の属する市場や垂直市場で同じような企業が現れたら、自社の事業にとって脅威となりそうだというところはあるか?
ネットマーケティングおよびSEOの観点からSWOT分析を行うことは、組織がリソースを投じようとするその第一歩として、間違いなく価値が高い。時間をかけてこうした俯瞰的な観点から分析を行わなければ、優秀なランナーが正しいコースを外れたような結果に終わってしまうかもしれない。確かに早々とゴールにはたどり着くだろうが、それが何になるというのだろう。
今回は、僕が書いたものの中では取っつきにくい記事だったけど、こういった事業とSEOを結びつけたレベル高めのアドバイスが、単にキーワード最適化とリンク獲得にとどまらず、みんなの組織において良い変化をもたらしますように。いつものようにみんなからのフィードバックを期待しているよ。僕の考えが十分でない分野もたくさんあると思うからね。
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