グーグルが明かすYouTube動画広告制作12のポイント、スマートデバイス時代の動画視聴世代「Generation C」とは
スマートフォンやタブレット端末の普及によって、動画視聴が急速に拡大しているというYouTube。Web広告研究会の7月月例セミナー第二部では、グーグルの柳井亮氏が登壇し、世界でも有数の動画プラットフォームである「YouTube」における動画活用手法について解説を行った。
スマートデバイス時代の動画視聴世代「Generation C」
「デバイスやLTEの普及で一般的にも動画が見やすい環境が整ってきている。年齢を問わず簡単に操作でき、SNSなどとの親和性も高い
」と話す柳井氏は、YouTubeはGoogle検索でヒットしやすく、動画でだれでも収益を生み出せ、収益を出す人が増えるほど動画の数も増え、よりYouTube自体に盛り上がりが生まれるエコシステムであることを強調した。また、宿泊するホテルの内装やチュートリアルなど、文章や画像だけでは伝わりにくいことをわかりやすく伝えられることも動画のポイントだ。
YouTubeのもう1つの特徴は、1つの動画であらゆるデバイスのプロモーションに活用できることだ。デスクトップ、タブレット、スマートフォン、スマートテレビ、ゲーム機などでの再生が可能で、広告主は1つの動画をYouTubeにアップロードするだけでよい。
注目すべきは、モバイルの利用者が急激に増えている点で、2012年と比較して前年比200%となり、スマートフォン/タブレット向けのYouTubeアプリの利用者は約1,800万人に達している。現在、デスクトップでは約3,000万人の利用者がいるYouTubeだが、将来的にはモバイルがデスクトップを抜くことも考えられる。
また、YouTubeでは「Generation C」と呼ばれる新しい世代が台頭してきていると柳井氏は話す。Generation Cとは、ありとあらゆる時間帯と場所でコンテンツを消費する世代で、以下の4つのCが特徴だ。
- クリエイション(Creation)
テクノロジーを活用し、より多くのよりよいコンテンツを作成
- コネクション(Connection)
PCやモバイルなどでいつでもつながる
- キュレーション(Curation)
話題になるものやおもしろいものの発見や収集を行う
- コミュニティ(Community)
ネットワークを活用し、共有して仲間を構築
Generation Cは、デバイスに制限されず、YouTubeにアップロードされたありとあらゆるムービーを時間・場所を問わずに見て、自分たちでも新しい動画を作ってはアップロードし、それを家族や仲間たちと共有して盛り上がり、特に重要なものや面白いものを見つけ出してくる人々。彼らにとって動画は最もスケーラブルにエンゲージメントを起こしやすい手段であり、YouTubeはその最適なプラットフォームである(柳井氏)
柳井氏はGeneration Cの特徴をこのように説明する。また、YouTubeは世界規模の動画共有プラットフォームであり、リーチや動画の数に優れ、多彩なターゲティングや分析ツールを備え、マルチデバイスに対応するなど、ソーシャルメディア時代に適したリーチメディアであると語った。
広告主が押さえるべきYouTube動画広告の目的
では広告主として、どのような場合にYouTubeを使うべきか、柳井氏はいくつかの例を示した。
- テレビCMとともに利用して届けきれなかったGeneration Cなどのユーザーへリーチさせたい場合
- テキスト広告やバナー広告などのこれまでの広告では取りきれなかった新規顧客を創出したい場合
- 動画広告を利用した自然検索の増加を狙う場合
- 地域限定などのテレビCMを出すほどの予算がない場合
- テレビCMのクリエイティブのA/Bテストを行う場合
また、柳井氏は「動画広告としてテレビCMがベストプラクティクスではない。ユーザーに届けたい動画はCM以外にも、店頭販促ビデオ、営業ツール、社員教材、通信教材、IRなど、さまざまなものがあるので、TrueView動画広告において、必ずテレビCMが支持されるわけではない
」とも説明している。
動画広告に欠かせない3つの指標
YouTubeに広告を出すと、違法動画に広告が掲載されるのではないかと心配する広告主もいるだろう。しかし、柳井氏によれば、Googleとパートナー契約している動画は法律上問題がなく、ファンが投稿した動画についても広告収入がそのファンではなく、動画の権利を持っているパートナーに支払われるようになっているという。
具体的には、ファンがアーティストの動画をアップロードすると、動画はCMSによって自動認識され、そのアーティストの管理会社に知らせが入る。管理会社がマネタイズを選択するとその動画に広告が表示され、広告収入が管理会社に支払われるという仕組みだ。
YouTubeのTrueView動画広告には、「インストリーム」「インサーチ」「インディスプレイ」の3つがある。インストリームは、動画再生の最初に動画広告が再生され、5秒後にスキップするかどうかをユーザーが選択できるもので、モバイルにも対応し、視聴課金方式となっている。インサーチは検索連動型広告のようなもので、YouTubeの検索結果画面で広告をクリックすると課金される。インディスプレイは、関連動画やトップページ、Googleディスプレイネットワーク上などで4種類のフォーマットで提供されている動画広告だ。
これらのTrueView動画広告はすべて、動画広告向けAdWordsでの一元管理ができ、ターゲティングを自由に設定して視聴数に応じた課金モデルでインサイトを把握できる、と柳井氏は説明する。また、広告掲載からチャンネル登録まで一貫したプロモーションが可能だ。さらに柳井氏は、TrueView動画広告では動画視聴数以外に、インプレッション、リマーケティングリスト、チャンネル登録数など、さまざまなものを無料で追加獲得できると話す。
YouTubeアナリティクスだけでなく、Google アナリティクスを利用した分析を行えることもYouTubeの魅力だ。これらの分析ツールを使った指標にはさまざまなものがあるが、柳井氏は動画視聴で重要な3つの指標を示す。
- 視聴率:総表示回数のうち、実際に視聴された比率(View Trough Rate/VTR)
- 平均広告視聴単価:1視聴を獲得するためにかかった費用(Cost Per View/CPV)
- 動画が再生された長さ:動画がどこまで再生されたかを25%、50%、75%、100%で示す
特に視聴率が重要だとする柳井氏は、「ユーザーに支持をされる動画を作ることが重要。途中まで視聴されてもあまり意味はなく、最後まで視聴してもらえれば、メッセージをしっかり伝えることができる。視聴再生回数にカウントされ、リマーケティングのデータとしても活用できるようになるので、VTRは非常に重要
」と話す。また、YouTubeと、Google Display NetworkやGoogle Adwordsと連携させたエンゲージメント広告を実現するプラットフォームも紹介された。
独自の制作ノウハウをもった専門会社も登場
TrueViewの活用事例としては、まず、YouTubeクリエイター(YouTubeで多くの支持を集めるパートナークリエーター)が世界でコラボレーションを行っていることや、複数のYouTubeチャンネルと提携し、より効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのさまざまなサービスを提供するマルチチャンネルネットワークを紹介。東京六本木ヒルズに撮影スタジオのYouTube Space Tokyoが開設されたことも紹介された。
その他、動画に商品購入バナーを組み込み商品購入ページヘ誘導するアノテーションや、TrueViewインストリームで5秒後のスキップをさせないようなクリエイティブの例も示された。国内では、TrueView動画広告を中心に制作する、独自のノウハウやセオリーを持った会社が登場してきていると柳井氏は説明する。
TrueView動画広告制作12のポイント
最後に柳井氏は、「TrueView動画広告を制作する際に気をつけたいこと」を12のポイントとしてまとめている。まず、当たり前の話だが「KPIを最初に決める」ことだと柳井氏は話す。最初に決めたKPIからどんどん話が変わっていくことも多く、コンセプトが変わってしまうとよい結果とはならないと説明する。また、前述のようにView Trough Rate(完視聴率)が重要であることも再度強調し、ユーザーの視点に立って、ユーザーが何を求めているかを考えることが重要だとした。
さらに、TrueViewインストリームでは最初の5秒の強制視聴が重要で、5秒間でいかにメッセージを伝えるかが大きなポイントだ。それ以外には、ネット広告に限らずブランドを振り切ってどこまで挑戦できるか、お金をかければ成功するわけではないこと、嘘くさくないものを作り、嘘をつくならクリエイティブにこだわり徹底的に作ること、アノテーションなどのYouTubeの機能を活用することなども紹介された。
最後に柳井氏は、「これらの詳しい制作のTipsについては、クリエイターハンドブックを参照してほしい
」と話し、YouTubeの活用方法の解説を締めくくった。
オリジナル記事はこちら:「グーグルが明かすYouTube動画広告制作12のポイント、スマートデバイス時代の動画視聴世代「Generation C」とは」2013年7月22日開催 月例セミナーレポート(2)
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参考になります
YouTube向けの動画制作をしていますMCKの河合といいます。
弊社でも単に動画を作るのではなく、検索に強い動画や、ユーザーが潜在的に求めている動画テーマを、アクセス解析やデータからはじき出してクライアントへ提案しています。この記事はとても参考になりました。