たった3つの改善で売上が200%UP! リフォームマッチングサイトの分析・改善手法を大公開
ウェブ担当者が1人で集客からSEO施策・サイト改善まで行う場合、分析の大切さは理解しているけど、そこまで手が回らない! ということよくありませんか。そんな多忙な方に、たった3つの当たり前のウェブ解析で売上が前年比200%UPしたリフォームマッチングサイトの分析・改善手法の事例をご紹介します。
サイトへの集客はあるけどコンバージョン数が伸び悩む……
今回、紹介するWeb改善の事例は、大手建材・住宅設備メーカーLIXILが運営する「リフォームコンタクト」という、リフォームをしたい人とリフォーム会社をつなぐマッチングサイトです。
リフォームをしたい人がこのサイトを使って申し込むと、LIXILの条件を満たした加盟店、最大5社から提案を受けることができます。その後、提案を受けたリフォーム会社の中で比較検討を行って、ユーザー(申込者)が自分のニーズと合致する会社を見つけることができるというサイトです。
このサイトを使うユーザーのメリットとして以下のようなことがあります。
- 匿名で申し込みできるので素性を明かさず、リフォーム会社とやりとりができる
- 最大5社とやりとりができ、見積比較や会社比較ができる
- 匿名なので断りやすい
- マイページを使ってのやりとりなので、しつこい営業電話がない
そして、このサイトの役割は以下の2点に集約されます。
- リフォームしようと考えている見込み客をサイトに集客すること
- 来訪したお客様に「このサイトは便利だ」と理解してもらいリフォームを申し込んでもらうこと
リニューアルする前の課題は、申込数(コンバージョン数)の伸び悩みでした。サイトへの集客は広告やSEOの効果もあり、着実に伸びていたのですが、それに連動して、申込数も増えるべきところが思うように伸びないという課題を抱えていました。
なぜ、コンバージョン数が伸びないのか?
一般的にコンバージョン数が伸びない理由は大きく分けると2つです。
- 流入数が少ない
- 離脱数が多い
当たり前じゃん! と思われるかもしれませんが、この当たり前を意識する必要があります。なぜなら、このどちらが問題かで課題と対策が変わるからです。
「流入数が少ない」場合の課題は「集客」
対策は広告やSEOやPRなど人を呼びこむ施策を行うことです。「離脱数が多い」場合の課題は「接客」
対策はサイト内改善となりゴールまで導く導線施策を行うことです。
今回のケースでは、集客数は順調に伸びているため流入数が問題ではなく、「離脱数が多い」ことが課題です。
では、改善すべき課題が「離脱数」だとわかったところで、次に離脱の原因を分解していきましょう。離脱数は大きく以下の3つに分かれます。
直帰数(直帰率)
流入(ランディング)した1ページ目のみを閲覧して、そのサイトから離れてしまう数(割合)回遊離脱数(回遊離脱率)
サイト内の複数のページを閲覧した後に、何もアクションをせずにサイトから離れてしまう数(割合)フォーム離脱数(フォーム離脱率)
申込フォームを閲覧、もしくは申込フォームの入力を開始した後に、申し込みを完了させずにそのサイトから離れてしまう数(割合)
このとき、右図のようなファネル図を作成すると、ユーザーがサイトに流入してからコンバージョン(CV)をするまでの導線の中で、「どこの離脱数が大きいのか」を把握でき、「どこの離脱率を改善すればコンバージョン数がどのくらい増えるのか」を計算できるのでとても便利です。
たとえば、3つの遷移率(次のページへ移動する率)を10ポイントずつ改善することができれば、コンバージョン数は倍以上になります。
どこの離脱箇所から改善すべきなのか?
一般的に改善を行う場合は、改善効果の高い箇所から改善していくことが鉄則です。つまり、上記で掲載したサイトならば、ファネル図を下から上へ改善していくと良いでしょう。
フォーム離脱 → 回遊離脱 → 直帰数(流入ページ)
この順番で改善した方が良い理由は、フォーム遷移率を10ポイント改善したときのコンバージョン数と直帰率を10ポイント改善したときでは、フォーム遷移率を10ポイント改善したときの方がコンバージョン数が多いからです。
リフォームコンタクトも、まさにこの順で改善を実行していきました。サイトの改善を行った順番は次のとおりです。
申込ページの改善 → サイトの内で回遊されるページ → サイトのトップページ
改善ステップ①フォーム改善7つのポイントで“おもてなしの心”を実現しよう
では、リフォームコンタクトの申込フォームをどのように改善していったのか具体的に解説していきます。フォームで改善したポイントは次の7つです。
- 入力項目を最小限にする
- 必要ない会員登録はさせない
- 送信ボタン以外の余計なボタンを置かない
- 文字・入力項目・送信ボタンは大きくわかりやすくする
- 入力エラーはリアルタイムに教えてあげる
- 入力項目には「必須」と「任意」を必ず明記する
- 入力欄には半角・全角は指定しない
自社サイトの問い合わせフォームや申込フォームでこれら7つ全てをクリアしていますか? フォームではユーザーを”おもてなし”することを意識しましょう。
特に1の「入力項目を最小限にする」ができていないところが多いと感じています。せっかくの機会だからとあれもこれもと設問項目を追加したり、アンケートを取ったりしていませんか。結局、その取ったデータを活用できていないのではないでしょうか。
今欲しい情報、後でよい情報をよく見極めて設問項目を設計することが重要です。フォーム改善ポイント7つを参考にしながら、自社サイト用のフォーム改善ポイントを作っていただきたいです。申込フォームでは、お客様は簡単に入力を諦めてしまうということを念頭に置きながら、改善に取り組んでいただきたいです。
改善ステップ②フォームへの誘導ボタンを見直そう
次に、「回遊離脱」の改善について解説していきます。リフォームの申込数(コンバージョン数)を最大化するためには、ユーザーに申込フォームに行っていただかないと始まりません。ですので、ユーザーが知りたい情報や欲しい情報などをさまざまなページを閲覧して情報収集した後に、申込フォームへ行ってもらうために、申込フォームへしっかりと誘導してあげることが重要です。
そこで、回遊ページで行った改善がわかりやすい「申込フォームへの誘導ボタン」の設置です。とても当たり前なのですが、この誘導ボタンがとても大切なのです。
ボタンには、申し込みをすると得られるメリットをわかりやすい短い言葉で書いてあげることです。また、ユーザーに親しみを感じてもらえる色、大きさ、デザインにすべきです。
ボタンを押した先で何が起こるのかがわからなければ、ユーザーは不安を感じてしまいます。その不安を解消してあげるためにはどうすればよいか、フォームへ行くとどんな良いことがあるのかといったことに注意しながら誘導ボタンを作ると良いでしょう。
突然! 「どれが一番良いボタン」クイズ
ここで突然ですがクイズです。リフォームコンタクトの事例ではないのですが、次の4個の誘導ボタンの中から一番良いと思うボタンを選んでください。この中のボタンに変更することで、クリック率が3倍近い差がでました。
正解はDです。申込者にとって「申し込みをすることでお金がかかるのではないか」といった不安要素があったと想定されるため、Dのクリック率が一番良かったのではないかと思います。サイトが変われば、必ずしもDが一番になるとは限りません。とはいえ、誘導ボタンに必要な要素は次の4つです。
- 色
- 大きさ
- キャッチコピー(ラベル)
- デザイン(フラット/立体)
これらの組み合わせによってクリック率に3倍も差がでるのであれば、複数のパターンを試さない手はありません。残念ながら勝ちパターンはサイトによって異なるため、必ずコレ! というものはありません。しかし、サイトの来てくれるユーザーには、どんなニーズ、不安、願望があるのかといった仮説を立てて、複数のボタンを作成してA/Bテストを行ってみてください。
改善ステップ③トップページはランディングページの持つストーリー性を入れる
回遊するページ → 申込フォームの改善を解説してきました。最後に、サイトのトップページの改善について解説していきます。
商品やサービスが単品の場合は、トップページをランディングページ型にすることをオススメします。ランディングページ型にするとはいっても「ランディングページ」にするということではありません。ランディングページは、フォーム以外へのボタンは徹底的に削除しますが、トップページで同じことをやってしまうとSEOの評価が下がってしまいます。
ですので、トップページをランディングページ型にするときは他ページへのボタンを残しながら、ランディングページの持つストーリーを取り入れます。トップページにストーリー性を取り入れることによって、フォームへの移動率が向上し、コンバージョン数が伸びる傾向にあります。
リフォームコンタクトも、ランディングページ型に改善を行った結果コンバージョン数が増えました。
リフォームコンタクトの場合、流入の多くがトップページでした。これは各社のサイトによって状況が異なりますので、Google アナリティクスなどのツールを使って流入数が多くかつ、直帰数が多い箇所から改善していくとよいと思います。
pasona(パソナ)の法則に従ってストーリーを作る
では、ストーリーをどう作るかというと、pasona(パソナ)の法則に従って、ストーリーを作っていきます。
pasonaの法則はダイレクトレスポンスマーケティングの第一人者といわれる「神田昌典氏」も提唱している、効果的に消費者を購買行動まで促すことができる法則の頭文字をとったものです。
【P】(Problem):問題点を提起する
【A】(Agitation):問題点を煽り立てる
【S】(Solution):解決策を示す・証拠の提示
【N】(Narrow down):顧客や期間を限定する
【A】(Action):行動を呼びかける
pasonaの法則をページにすると右図のような構造になります。
申込率が200%UP! この成果に満足せずに改善サイクルを回し続ける
これら3つの改善ステップを行った結果、リフォームの申込数(コンバージョン数)が200%もUPしました。ただ、この改善をして「終わった」と満足してはいけません。最も重要なことはここからです。これから先も改善のサイクルを回し続けて行くことが大事です。
改善のサイクルを回すときに見るべき指標は、次の4つです。
- 訪問数
- 直帰数(直帰率)
- 回遊離脱数(離脱率)
- フォーム離脱数(離脱率)
この指標をみて、どこに問題があるか監視していきましょう。問題がある箇所はすぐに改善です。分析する場合は無料のGoogle アナリティクスだけでも十分なのですが、筆者が所属するオプトで利用している便利な有料ツールをいくつかご紹介します。
エントリーフォーム最適化(EFO)ツール
EFO(エントリーフォーム最適化)ツールには、たとえばEFO CUBEやADPLAN EFOなどがあります。これらのツールは、フォームの入力中にユーザーがどの項目で離脱したのかや、入力エラーをリアルタイムに教えてくれる入力支援機能などが付いています。
- 離脱する項目はどれか?
- 入力に時間がかかっている項目はどれか?
- 未入力の項目はどれか?
など、フォームの問題点をデータ化して可視化してくれます。フォームの改修前にツールを導入して、どこが問題かを調べてから、改修することで効果の高いフォーム改修が可能になります。さまざまなツールがあるので、自社のフォームの問題点や目的、Webサイトの仕様に応じて適切なもの選択しましょう。
ヒートマップツール
クリックテールのヒートマップツールです。これはページごとのマウスの動きを可視化してくれるツールです。
- どのボタンが押されやすいのか?
- どのテキストがよく見られているのか?
- ボタンと間違って押している画像
など、お客様のページ上での心理を見ることができます。たとえば、あまり見られないと思ってページの下の方に置いたコンテンツが良く見られていたというのは、よくあることです。
LPO・A/Bテストツール
LPO・A/Bテストツールです。代表的なものにDLPOやOptimizelyというツールがあります。単純なA/Bテストの他、複数のA/Bテストを同時して勝ちパターンを見つける多変量テストや、流入経路(Yahoo!、Google)や流入ワード、時間や曜日、エリアでのページの出し分けなどが可能です。
分析をして導き出した仮説に対して高速で改善を繰り返していくのに最適です。ツールは導入や運用にコストが掛かりますが、上手に使えばその分効果も上がります。費用対効果を考えて導入を検討してみてはいかがでしょうか?
最後に:分析に時間をかけるな! 改善を繰り返せ
私が重要だと考えるのは、分析や制作に時間を掛けすぎないということです。分析はボトルネックを見つけるための最低限を行えばよいし、制作においても、AパターンかBパターンかで悩んで決められないのであれば、A/Bテストを回してしまうなど、とにかく数字を見ながら改善を繰り返していく方が重要だと考えます。
分析をやり始めると、分析自体が目的となり分厚い分析レポートがあることで満足してしまうケースも多いのではないかと思います。ウェブ解析の目的は「事業の成果を上げること」です。事業の成果が上がる分析ができているのであれば分厚いレポートである必要はありません。
今回のリフォームコンタクトで実施したことは、当たり前のことと思われる方もいるかもしれません。でも実際はその当たり前のことができているところの方が少ないと私は思っています。
ぜひ、当たり前のことを1つ1つ見直していただき、成果につながる分析と改善を繰り返し実行してみてください。必ず大きな成果につながると思います。
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