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マルチデバイス時代のコンテンツ戦略――ユーザーの利用習慣から考える

スマートフォン対応は必須だし、PC向けサイトも比すよう。ルチデバイス時代にはコンテンツ戦略をどう作ればいいのだろうか。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

コンテンツ利用の方法やスタイルは、かつてない速さで変化しつつある。

まず、印刷からデジタルへのシフトが、構造という点から見て大きな変化をもたらした。その変動は、その後も収まる気配はない。

さらにモバイルの成長があり、そして今ではタブレットの利用も増えたというように、僕たちを取り巻く環境はまたしても変化しつつある。

こうした変化は、消費者とコミュニケーションしようと考える企業にとっては、これまで経験したことのない複雑さが加わる状態を生んでいる。

マーケターたちはかなり前から「モバイルファースト」という未来図を話題にしており、僕自身はそれを誤った見方だと思っているが、統計に表れる数値に対しては反論の余地がほとんどない。

2014年に入ってFacebookが明らかにしたとんでもない広告売上の数値には、どんなに熱烈な愛用者でさえも驚かされた。1~3月の四半期の売り上げ25億ドルのうち、初めて、モバイルベースの広告売上が半数を大きく上回ったのだ。これは、メディアの利用方法が変化しつつあることを明確に示している。

また、優れたコンテンツ戦略を生み出す仕事も、はるかに複雑化している。

こうした困難を打ち破るには、ユーザーが日々さまざまなデバイスをどのように使っているかを理解することから始め、体系的なアプローチをすることが必要だ。

顧客はすでにマルチデバイス・マルチスクリーンで行動していることを前提に戦略を構築する

戦略構築プロセスでは、どんなコンテンツを、いつ、どこに配置すべきかを把握することがきわめて重要だ。

これに最も役立つ情報源の1つとして、グーグルによる2012年の調査があり、内容はすべてここから確認できる(2013年版のグーグル「マルチスクリーン ワールド」の日本語サイトはこちら)。この調査では、デバイスによって、また時間帯によって、明確なユーザージャーニーが存在することが明らかになっている。

ただし、真にデータに基づいたイメージを描き出すには、以下のような要因に関する情報が必要だ。

  • 1日のうち「どの時間帯に」「どのデバイスが」使われているか
  • 一般的な購入ファネルにおけるデバイスの順位
  • キーとなるコンテンツプラットフォームへのアクセスに使用されているデバイス
  • 各デバイスの利用時間と閲覧内容

これらの情報を把握しておけば、適切なコンテンツ計画を立てる作業は、はるかに進めやすくなる。

デスクトップ/ノートPCの利用目的や利用場所
スマートフォンの利用目的や利用場所
グーグルの2013年版「マルチスクリーン ワールド」より

バリエーションを生み出す

人々がこれらのさまざまなデバイスを使って何を見ているかを理解すると、異なるチャネルをまたいでコンテンツを作成してまとめ、配信するのに役立つ。

なによりも、どんなコンテンツ戦略においても重要な要素であるバリエーションが確保できる。

コンテンツの作成にさまざまなアプローチがあれば、マルチデバイスのそれぞれに最適の方法でオーディエンスを楽しませ、情報を伝えるだけでなく、既存のオーディエンスを保持して、さらに頻繁に戻ってきてもらう確率を高めることにもなる。

デバイスの利用:タイミング

僕たちが利用しているコンテンツとやり取りする方法は、1日を通して変化する。

グーグルの調査から引用した以下の図は、これを簡単に表したもので、僕たちが日常的に、朝一番に始まり、昼休み、そして仕事帰りにモバイルコンテンツを利用していることがわかる。

帰宅後は、タブレットをブラウズしたり、2つの画面を「同時に」(これについては後で詳しく説明する)操作したりしながら夜を過ごす。自宅の居間でゆったりとリサーチをして買い物をするのだ。

この調査ではさらに、Eコマースブランドから見た場合、コンバージョンに関してはタブレットが第1位のデバイスに躍進しつつあることも明らかになっており、タブレットのような画面で使いやすい、優れたレスポンシブサイトデザインとコンテンツの必要性を如実に示している。

これを見事に実践している企業の例を挙げると、クールなスノーボードを販売しているBurton.comや、すばらしいアニメーションとマルチデバイスで使いやすいユーザー体験を組み合わせたUnited Pixelworkersなどがある。

重視すべきは人であって、デバイスではない

各デバイスに合わせて体験を最適化するのはもちろん重要だが、実のところ最も重要な要素はデバイスではない。大切なのは、この種の戦略によって生み出される制約を取り除き、改めて顧客を中心に置くことだ。

モバイルインターネットは、主導権を再び読者、つまり顧客の手に戻した。コンテンツをどう使おうと彼らの自由だ。

この力が販売する側ではなく購入する側の手に戻った今、あなたのコンテンツが効果を発揮するためには、必要なときに、必要な場所で、必要なコンテンツを、顧客が入手できるるようにしなければならない。

そのときそのデバイスで適切なコンテンツにアクセスできなければ、顧客はすぐにどこか別の場所を見つけて行ってしまうだろうし、その別の場所が競合相手のところである可能性はきわめて高い。

ユーザーから始める:ペルソナ

戦略に正しく焦点を合わせるには、クライアントまたは顧客と彼らの手段に目を向けて、まず、コンテンツのペルソナを明確に定義する必要がある。

これは、より広範なマーケティング計画にとって優れたやり方であり、既存顧客のデータの分析と分類から出発する。

これとは別に、ソーシャルデータに目を向けることから始めることもできる(このためのステップバイステップガイドは、この電子書籍に書かれている)。

僕は最近、コンテンツ作成におけるペルソナの重要性について講演もしたし、この記事を読んでもらえば、そのプロセスのさらに詳しい背景をつかめる。また、マイク・キング氏が数か月前にMoz Blogに投稿した、オーディエンスを理解して分類するための必読ガイドは、このプロセスの一部として外せないものだ。

このガイドには、このプロセスを通じて達成すべきものが例示されている。顧客をデータに基いて、1~4の異なるグループに分けて見るのだ。

※Web担でもペルソナとは何かの解説や、ペルソナ作成の手順の説明などの記事があるので参考にしてほしい。

コンテンツのターゲットにしたいユーザーの主な特徴を明確にすることによって、考え出したアイデアをターゲットオーディエンスのニーズに合致させ、ひいては、その人々をプロセスのまさに中心に置くことができる。どういうことなのか、例を挙げよう。

計画は、テクノロジーではなく行動に基いて立てる

誰をターゲットにしているかを明確にしたら、パズルの次のピースは、彼らが日々の生活の中で、どのデバイスを、いつ、どこで使っているかを理解することだ。このデータは、ペルソナごとに描く構想の中に含めることができるし、含めなければならない。

ここで一般的な市場データが役に立つのは言うまでもない。この問題に関する主な調査から分かっているのは、僕たちが通常、1日の始めと終わりにモバイルデバイスを使うということだ。

モバイルデバイスが使われている時間帯に僕たちが何をしているかと言うと、Salesforce.comがモバイル利用について最近行った調査によれば、そうした時間の多くはソーシャルメディアの利用に費やされていることがわかる。

では次に、具体的なデバイスごとに有効なコンテンツの種類について少し詳しく見ていこう。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、デバイスごとの特徴と有効なコンテンツを紹介し、それに基づいたコンテンツ戦略の立て方を考えていく。→後編を読む

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