「炎上したらどうするんだ!」Twitterに反対する上司、どうすればいい?
ソーシャルメディア投稿における“2つの悩み”
こんにちは。田村です。来月誕生日です。よろしくお願いします(何が)。
本題いきますね。今回は、
企業(上司)が炎上や誹謗中傷などのリスクを過剰に恐れ、自分がやりたいことをできない
というソーシャルメディア担当者のために、企業(上司)を説得する材料を提供しようと思います。
担当者自身は楽しみながらソーシャルメディアに投稿してユーザーとの交流を図りたいのに、企業のスタンスとしてそれができないケースがあります。その場合、企業側の言い分は、大きく分けて、次の2つでしょう。
- そんな投稿をしてもビジネスに直結しない
- 炎上や誹謗中傷が怖い
前者については「はい、おっしゃるとおりです」というしかありません。ユーザーと「おはよう」を投げかけあっても、企業の慈善活動を写真付きで投稿しても、それ自体はビジネスに直結などしません。あくまでも、認知度や親密度の向上といった「売上の一歩手前」に位置する役割を担うものだと考えてください。
ソーシャルメディアをすぐにビジネスに直結させ、成果として見えるようにしたいのなら、
- Twitter=2200万人
- Facebook=2400万人
- Instagram=800万人
といわれる国内ユーザーに向け、直接成果が明確な「広告」を出しましょう。
ソーシャルメディアを雑誌やテレビのような「メディア」と考え、コンバージョン目的に広告展開すれば、その企業の目的は達せられるはずです。ソーシャルメディアに対して、即時的な効果を求めるのであれば、がんばって担当者を付けて投稿案を考えて運用するのはムダです。
ところで、一方の後者はどうでしょう? “担当者はユーザーとのコミュニケーションをとりたいのに、それができない”といった状況です。担当者に対して、「万が一炎上したらどうするんだ。誰が責任をとるんだ」と内部から言われるパターンです。
せっかくソーシャルメディアを始めても、誰も反応しない会社指定の宣伝投稿を繰り返すのでは意味がないですが、企業によっては、そもそものアカウント開設が認められないこともあります。
過剰な規制こそ、本当の障害であり、“敵は社内”だったりするのです。
ソーシャルメディアをやってもやらなくても、「炎上」は起こる
先日、とある企業のソーシャル担当者と、こんな会話を交わしたことがあります。
「強引な勧誘をしている」と、ウチのことをTwitter上でボロクソに書かれてるんです。なんとかならないでしょうか……。
なるほど。勧誘は、けっこう強引なんですか?
ええ。ノルマもキツめに設定していますので、そういうケースもあるとは思います。
それは、Twitterの運用でどうこうなるものではありません。まず強引な勧誘をやめてください!
実際に強引な勧誘をしているのに、ソーシャルメディアで「強引だなんて根も葉もない!」なんてやったら、それこそ炎上します。
そもそも、その企業が行っていることに関してTwitterで批判が起きるかどうかは、その企業がTwitterをやってるとかどうかとは関係ありません。
たとえば、マスメディアで報道されるような事故が、企業関連で起こったとしましょう。原因があきらかに企業の怠慢であったり、事故後の対応が悪かったりすれば、リアルだけでなくソーシャルメディアでも炎上します。
当たり前ですよね。
昨年「インスタント焼きそばに虫が入っていた」として、リアル/ソーシャルで爆発的に話題になりました。あのケースをイメージしていただければわかりやすいでしょう。
あの場合、企業がTwitterもFacebookもやっていなかったとしても、ソーシャルメディア上で騒ぎになっただろうことは明らかですし、炎上の原因が企業のTwitterアカウントでないことも明らかです。
「ソーシャルメディアを運用したことによって発生する炎上」とは
実際に、ほとんどの企業さんで開設当初は過敏に炎上を恐れられますが、数か月経過すると、炎上など話題にもならなくなります。
普通にソーシャルメディアを運用しているだけなら、滅多に「炎上」など起こることはないのです。
しかし、数は少ないながらも「ソーシャルメディアを運用していなければ、この炎上はなかったのに……」というケースもあります。2つほど事例を紹介しましょう。どちらも実際の出来事をもとにしたフィクションですが、似たような事例は、頻発していると思います。
事例A:地震直後に災害グッズ販売ツイートを投稿
東日本大震災からまだそんなに時間が経過していないころのことでした。大きめの地震が起こった数十分後に、ある企業がこうツイートしました。
地震には弊社の防災グッズを。購入はこちら→リンク
さあ、コレを見たTwitter民が大騒ぎ。あらゆる攻撃的なツイートが発信されたのです。要は「まだ被害状況もあきらかになっていない状況なのに、自社の製品を販売するとはケシカラン」ということでした。
この企業アカウント。この炎上をキッカケに数か月後に閉鎖という事態となりました。
事例B:キャンペーンの運営ミス
某企業アカウントが、Twitterでキャンペーンを行いました。その手法は、Twitterで自社商品についてのツイートを検索し、ヒットしたツイートすべてに、売り込みツイートを返信するというものでした。
通常こうしたキャンペーンでは、自社の商品名が入ったツイートを対象にするのですが、この企業は、一般的に利用されている単語を含んだツイートも対象としてしました。
たとえば、自動車メーカーがキャンペーンをしたとして、自社の車種名でなく「クルマ」「ドライブ」というワードを含んだすべてのユーザーに返信するというイメージです(この事例は自動車メーカーではありません、あくまでも例です)。
そのため、企業からレスポンスを受けたユーザーは、「不快」「気持ち悪い」といった反応をしました。当然ですよね。
さらに、この事態が明るみに出ると、直接レスポンスされていないユーザーまで反応しはじめ、爆発的に炎上してしまいました。
このケースでは、炎上に気付いた時点で即キャンペーンを中止し謝罪するなど、迅速な対応を取ったことで、沈静化できました。
この2つのケースは、起こるべくして起こったと、結果論ではありますが私は考えます。
事例Aの場合、災害時に、ソーシャルメディアでプロモーションするのはご法度であることを理解していなかったためです。
東日本大震災の際、ツールを使って決まった時間にプロモーションツイートをしているアカウントは「いまそんなこと言ってる場合か!」と軒並み叩かれていました。その流れを知っていれば地震直後というタイミングで自社商品の宣伝ツイートなどしなかったはずです。
事例Bの場合は、無差別に企業アカウントから話しかけることからくる不快感を、理解していなかったのでしょう。
ソーシャルメディアで企業アカウントから特定のユーザーに話しかけることは悪いことではありません。自社に対しての感想などを発信しているユーザーに対しては、むしろ話しかけることを企業アカウントコンサルの場ではお勧めしています。
しかし、この事例でマズかったのは「その企業に興味があることを表明していないユーザー」に「ユーザーのツイートの内容にかかわらず」企業から絡みに行ったことに問題があります。
このような炎上を回避する方法は、以下の2つです。
- 担当者がいちユーザーとしてソーシャルメディアを利用する
- 専門家に任せる
まず、担当者がユーザーの気持ちがわかっていれば、事例のような動きはしないはずです。匿名でもいいですから、企業アカウントを運用しながらでも自分のアカウントで発信や交流をしてみると、「災害時に、ソーシャルメディアでプロモーションするのはご法度」という感覚がわかるはずです。
また、投稿代行やコンサルティングを行っている専門家は、このような事態に慣れっこです。企業内にリソースがない場合は専門家に任せ、無用なトラブルを避けましょう。
「専門家」の定義については分かれるところですが、「その人物が一定の影響力を持ったアカウントを運用している」というポイントをチェックするようにしてください。机上の空論ではトラブルは回避できません。
それでも不安だと言うなら
ソーシャルメディアで企業がユーザーと交流することは当たり前という状況になりつつあります。この流れはもう止めようがありません。少しでも早くコミュニケーションのノウハウを貯め、ファンを作っておくことが重要です。
炎上が心配で自由な投稿ができないなら、今回の記事を参考に上司を説得してみてください。
さらに、
- 炎上などが発生したときにどう対応するか
- ふだんの投稿はどのような口調にするのか
- 一般ユーザーからの問いかけにはどのように対応するのか
など、すべて文書にまとめて提示しておきましょう。ソーシャルメディアを活用するメリットを説明しながら、「不測の事態のためにも、ここまで考えていますので大丈夫ですよ」と示しましょう。
ちなみに、このような文書は一般的に「ソーシャルメディア・ポリシー」や「ソーシャルメディア・ガイドライン」と呼ばれています。こうしたドキュメントを作成しておくと、担当者自身も安心ですし、上司も不安が減るでしょう。
もしまだあなたの企業にソーシャルメディア・ポリシーがないなら、早めに作成しておきましょう。
「炎上が怖いならソーシャルメディアをやりましょう」なのです。
田村でした。
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