Web文章実践講座(第3回)店舗紹介をブラッシュアップ
「Web文章実践講座」では、主に文章の観点からウェブサイトのコンテンツをよりよくするコツを解説します。第3回は、実店舗を紹介するコンテンツのブラッシュアップ方法です。利用者がそのお店で体験する一連のシーンをこまかく考えながら、コンテンツを充実させましょう。
店舗紹介は「疑似体験」が勝負
店舗紹介や店舗案内は、店舗内や周辺情報を説明するコンテンツです。営業時間や定休日などの概要は「第1回:会社概要や店舗情報をブラッシュアップ※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました」をご覧いただくとして、今回は「店舗そのもの」の魅力を伝える方法を解説します(交通アクセスは第5回で解説予定です)。
まず、店舗内、周辺情報ともに、わかりやすい説明とあわせて、写真が必須。お客さんが目にするシーンをこまかくとらえ、文章と写真で表現することが大切です。
あるホテルを例に考えてみましょう。
デモページ(改善前)
このように、外観写真と短い説明だけでは、そのホテルの魅力が伝わってきません。宿泊客が足を運んだとき、客室で過ごす時間、入浴、夕食、朝食など、一連のシーンを「疑似体験」してもらえるように工夫するとどうでしょうか。
デモページ(改善後)
眺望、自分でミルでコーヒー豆が挽けること、露天風呂、食事など、一連の体験の中で琴線に触れるポイントは、利用者によってさまざまです。また、だれでも、知らないお店に対しては心の壁があります。大切なのは、さまざまなシーンをこまかく、ていねいに伝えることで「疑似体験」をしてもらい、「心の壁を取り除いてもらうこと」です。
ふだん使いの飲食店などは、お客さんの体験はシンプルであり、それほど伝えるべきことがないかもしれません。しかし、扉を開けたときの様子、カウンター席、テーブル席、座敷席の様子、卓上の箸入れや調味料の種類など、お客さんが目にするシーンをこまかく切り取ることができます。
また、どのような店舗でも、お客さんを迎える姿、料理を作っている姿、配膳している姿などを伝えると、利用者に親近感をもってもらえるでしょう。写真の撮り方については、「写真撮影入門 第8回:いい顔でお客様を迎えよう※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました」を参考にしてください。
店舗紹介の充実の「副次的な効果」
店舗紹介を充実させることは、実店舗にもよい効果を生み出します。ホームページで伝えている内容と齟齬(そご)がないように、次のように心がけるからです。
- 店内を清潔に保つ
- 笑顔で接客をする
また、店舗に関する情報をていねいに伝えることで、次のようなメリットも生まれます。
- 問い合わせへの回答をスムーズにする
- 問い合わせそのものを減らす
たとえばメールやフォームでの問い合わせに対して、言葉を重ねてていねいに回答しようとすると、20~30分かかってしまうことがよくあります。ホームページで公開している情報であれば、ひとこと「こちらのページに掲載していますので、ご覧ください」と書き、アドレスを貼り付けるだけで済みます。
また、利用者の疑問に先回りで答えるべくコンテンツを作ることで、問い合わせそのものが減らせます。ただでさえ多忙な店舗経営の合間に、じっくりとパソコンに向かう時間を捻出するのはなかなかむずかしいものです。また、キーボードの入力に慣れていない方は特に、メールやフォームでの問い合わせへの回答はかなり骨が折れる作業です。
はじめのうちは店舗紹介を充実させること自体がたいへんかもしれませんが、上記のような長期的な効果を考えて、ぜひ取り組むことをおすすめします。家族や友人から率直な意見やアイデアをもらうのもよい方法です。
周辺情報やカジュアルな情報を提供する
店舗そのものではなく、周辺環境の情報や、作り込まれてない日常の情報を提供することも大切です。たとえば、その地域全体に関する情報、近隣のお店の紹介、ブログでのスタッフからのおすすめ情報などです。
カジュアルな情報は特に、ブログでの発信が適しています。フェイスブックやツイッターと連携させるなど(ブログ記事へのリンクを掲載して)、たくさんの人に読んでもらえるように工夫するのもよい方法です。
みんビズで制作されているホームページの中から、おすすめのところをふたつ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
保育園の日常を「保育の紹介」で写真つきで説明。商店街の中にあり、商店街のホームページへのリンクを設置していたり、アクセス情報をていねいに説明しているのもよい点です。
小豆島のゴルフ場のホームページ。ゴルフのプレーや宿泊に関する情報だけでなく、小豆島へのアクセスや観光情報を公開。カジュアルな情報をブログで提供しています。
まとめ
利用者が体験するシーンをこまかく切り取り、店舗紹介に掲載することが大切。実店舗のよりよい運営にも、きっと効果を発揮します。
さらに、店舗の周辺環境、スタッフの日常に関する情報を発信することで、いっそうその店舗の魅力を高めることができるでしょう。
次回は、飲食店の「メニュー」や「お品書き」のブラッシュアップ方法を解説します。
(第4回につづく)
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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