サイト内検索キーワード分析でユーザーの不満を見つけるポイントは定性的&定量的2つの視点[第45回]
今回と次回に分けて、サイト内検索のレポートを活用してユーザーのニーズや満足度を分析する方法を紹介する。サイト内検索キーワードを取得するための準備については、前回の記事を参照してほしい。
今回は、サイト内検索の全体を見る方法と、サイト内検索で「量」と「質」を見るためのそれぞれの指標について解説する。
- サイト内検索キーワードからユーザーのニーズを定性的に読み解く
- サイト内検索の「量」「質」を定量的に測る6つの指標がわかる
まず見るのは全体でどれくらいサイト内検索されているのか?
サイト内検索分析を始めるにあたり、まずは、サイト内検索がどの程度利用されているのかを確認しておこう。そのためには[行動]>[サイト内検索]>[利用状況]レポート(図1)を見る。
サイト内検索のステータスの項目は、次の2つがある(図1赤枠部分)。
- Visits Without Site Search: サイト内検索が一度も行われなかったセッション
- Visits With Site Search: サイト内検索を一度でも行ったセッション
図1の例では、サイト内検索のあったセッションが全体の8%程度を占めている(図1青枠部分)。また「ページ/セッション」「平均セッション時間」「収益」「eコマースのコンバージョン率」といった指標(図1緑枠部分)を確認すると、サイト内検索のあったセッションの方がサイト内を多く移動し、利用時間も長く、売上により貢献し、買ってくれる比率も高いことがわかる。
これは多くのサイトで見られる傾向だ。サイト内検索するくらい熱心なユーザーは、探したいものもある程度明確になっているものだ。そのためサイト内における行動も多く、コンバージョンや売上に貢献する確率も高いということが一般的にいえるだろう。
それでは、サイトにより多くの貢献をしてくれる「サイト内検索したユーザー」が求めていることは何なのか? 彼らの満足度を上げるにはどうしたらよいのだろうか? それをサイト内検索キーワードから探っていくことにしよう。
自分たちとユーザーの言葉にギャップはないか? 定性的なアプローチ
次に見るべき情報は、実際にサイト内検索でユーザーが入力したキーワードそのものだ。サイト内検索キーワードは、サイトに訪れたユーザーが「この情報はどこにあるんだ?」と直接問いかけてきた言葉なので、ユーザーのニーズそのものが反映されているといえる。[行動]>[サイト内検索]>[サイト内検索キーワード]レポートで、サイト内検索キーワード(図2赤枠部分)を確認しよう。
上位にあるキーワードを眺めてみて、意外な言葉はないだろうか? サイトのタイプによって、サイト内検索キーワードはさまざまだだが、キーワードに、取り扱ってない商品やサービスがないだろうか。またコンテンツ分類軸のヒントになるキーワードはないだろうか。自分たちが普段使っている業界用語を実際ユーザーはもっと平易な言葉で語っていないだろうか。つまり、次のような視点だ。
- 足りないコンテンツはないか?
- サイトで提示している分類軸は適切なのか?
- 使っている言葉はユーザーに適切なのか?
よく検索されているキーワードから得られるヒントがないか、アンテナの感度を高くして注意深く眺めてみよう。まずは、このような定性的なアプローチから始めるとよい。
「量」と「質」の2つの軸で6つの指標の数値を見ていく
次は指標、つまり定量的なアプローチに進もう。指標は、「量」と「質」と「成果」の分類軸で見ようという話をいつもしているが、この3点セットで見ることができるのは[行動]>[サイト内検索]>[利用状況]レポート(図1)の方だ。
実際の検索キーワードを見られる[行動]>[サイト内検索]>[サイト内検索キーワード]レポート(図3)では、成果軸の指標がなく、「量」と「質」の2つの指標軸で構成されている。量の指標は「検索回数の合計」(図3赤枠部分)が該当し、それ以外の5つ(図3青枠部分)がすべて「質」(サイト内検索キーワードの使われ方の特徴や質を示す)の指標ということだ。
では、これら6つの指標それぞれの意味合いと、それらをどのように活用していくのかを説明していこう。一番上の行の数値(図3緑枠部分)がサイト全体のデータなので、サイト全体についての傾向を確認したいときはここを確認し、その下の行は、各サイト内検索キーワードについての各指標を見ていくという流れになる。
「検索数の合計」は上位のキーワードを定性的な視点で見る
「検索回数の合計」(図4赤枠部分)はサイト内検索があった回数なので、検索キーワードのニーズの多さを測る指標だ(ちなみにこの指標では、同一セッション内で同じキーワードによる検索が複数回あっても重複カウントはしていない)。
そのシンプルな活用法は前述したとおりだ。上位の検索キーワードを眺めながら定性的なアプローチを行うとよい。
「結果のページビュー数/検索」はどれだけ行きつ戻りつしたかを表す
その右隣の「結果のページビュー数/検索」(図5赤枠部分)は、計算式で表現すると「検索結果表示ページのページビュー数÷検索回数」となる。つまり「どれだけ検索結果表示ページに行きつ戻りつしたのか」を示している指標だ。なお検索結果の2ページ目、3ページ目を見たページビュー数も分子に含まれる。
この指標が高い検索キーワードは検索結果に満足できずに何度も行きつ戻りつしたり、次のページで候補を探したりしたことになるので、問題のキーワードということになるだろう。自分でも検索して、問題がなさそうか確認しよう。
「検索による離脱数の割合」が高いのは不満か、満足か?
「検索による離脱数の割合」(図6赤枠部分)は、検索結果表示ページで離脱したセッションの割合のことだ。何度か検索して見つけたいページに行けた場合でも、最後に検索結果表示ページで離脱すればここに含まれるので、必ずしも「検索結果画面の内容に不満が残るまま断念して終了したセッションの割合」とは断定できない。
ただ、この指標が高く、かつ後述の「平均検索深度」も0だと、「その検索キーワード結果表示ページのリンク先ページを見ていない」ということなので、検索結果表示ページの内容に不満が残るまま断念して終了したセッションと判断することができる。
「再検索数の割合」が高いキーワードは実際に検索してみる
「再検索数の割合」(図7赤枠部分)は、計算式で表現すると「再検索した回数÷検索結果表示ページのページビュー数」となる。つまり検索結果表示ページで提示されたリンクのリストを見てすぐにあきらめたか、何件かリンクを確かめたうえで、別の検索キーワードを入力した割合だ。
この指標の高いサイト内検索キーワードで、同種のキーワードを別に試している場合は、必ず自分でも実際にこのキーワードでサイト内検索を行い、検索結果表示ページの内容を確認すべきだろう。これに関係する再検索キーワードの活用法については次回詳しく解説する。
「検索後の時間」が長ければ満足してくれている証拠
「検索後の時間」(図8赤枠部分)は検索結果表示ページ以降のサイト内での滞在時間を表すので、「サイト内検索を利用した後もしっかりサイト内に滞在してくれたかどうか」を見る目安になる。
サポートサイトなのかコンテンツサイトなのかによって、必ずしも「長い滞在時間が満足度が高い」と単純に判断できないので、良し悪しの判断には注意が必要だろう。
「平均検索深度」はゼロでも高くても問題キーワードの可能性あり
「平均検索深度」(図9赤枠部分)は、計算式で表現すると「該当検索キーワードの検索深度合計÷該当キーワードの検索回数」となる。そして検索深度とは、「検索結果表示ページ以降に見たページビュー数」のことだ。別のキーワードで再検索しなければ、離脱するまでのページビュー数になり、別のキーワードで検索し直した場合は、その再検索前までに見たページビュー数が前のキーワードの検索深度になる。
※記事公開時の説明に誤りがありました。2017年6月12日に上記の解説に変更しました。
この指標がゼロだと、「検索結果表示ページのリンクが一切利用されなかった(サイト内検索が役に立たなかった)」ということなので、問題のキーワードということになる。必ず自分で検索結果表示ページの内容を確認すべきだろう。一方でこの数字が高すぎるのも問題だ。「サイト内検索をして何度ページを見ても、なかなかお目当てのページが探せていない」という解釈になるからだ。
サイト内検索は、そのサイトの特性により解釈も変わってくる。たとえばサポートサイトなど、スピーディーに問題解決してほしいサイトであれば、「再検索の回数が多い」「検索後の滞在時間が長い」「平均検索深度が高い」といったキーワードは問題があるということになる。
その他のメディアやeコマース系のサイトなど、ユーザーがさまざまな情報探索をする可能性があるサイトでは、一度に多くの調べ物をするといったケースも考えられる。その場合は、検索回数が多かったり滞在時間が長いことは決して悪いことではない。このように、サイトの特性に合わせて判断すべき指標もあることに注意しつつ活用していただきたい。
次回は、別のレポートも使ってサイト内検索をより深く分析する方法を紹介する。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
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