約8,000KW調査で判明! SEOスキルが上がらない3つの新発見【中小規模ECサイト担当者必見】
Web担当者Forumより「SEOの役に立たない話をしてください」というオーダーを受けて、登壇することになった株式会社Bake 代表取締役社長の篠原誠氏。むしろ難しい「役に立たない」という要件に対して、何を返すのか!? 「Web担当者Forumミーティング 2021 秋」の“箸休め”講演でありながら、大勢の聴衆を爆笑に巻き込んだ講演の要点をお伝えする。
「都道府県」×「通販」のキーワード調査で何がわかるのか!?
篠原氏は、2007年に未経験でSEOの会社に入り、個人的な勉強を兼ねて2008年より「バカに毛が生えたブログ」(通称バカ毛)を開設。SEOコンサルティングやメディア運営を行っている傍ら、日々SEOに関してあまり役に立たない最新情報を収集し、発信している。
篠原氏は今回の講演にあたって、「47都道府県」と「通販」というキーワードのかけあわせで、8,414のサジェストキーワードを人力で調べてみたという。その調査結果から、いくつか発見したことを今回は発表する。
調査結果では、このキーワードの組み合わせでは、やはり某大手通販サイトのSEOが強く、8,414キーワードのうち47%で1位を獲得。さらに80%が10位以内に入っていたという。改めてそのサイトパワーを感じたと篠原氏。
さて、この調査でわかったことは次の3つだ。
それぞれ説明しますが、以降の専門用語は覚えていただかなくて大丈夫です。むしろ覚えないでください(篠原氏)
発見① SMO(指名と名産品が多い)
以下のキーワードを見て、これは何か想像してみてほしい。
これらのキーワードには共通点がある
赤文字は店名など指名検索されているワード、青文字は珍しい名産品のワードです。8,414のうち、1,824がどちらかに該当しました。『指名』(Shimei)と『名産品』(Meisanhin)が多い(Oi)のでSMOです(篠原氏)
つまり「地域 通販 指名/名産品」で検索されているケースが多いことがわかる。
公式サイトではなくトレンドブログが上位であることも
ただ、残念な例もあった。店名や名産品を指名して検索する人は多いが、必ずしも公式サイトが上位表示されているわけではなく、1~3位がトレンドブログで埋まってしまっている事例もあった。
トレンドブログとは「SNSでXXXが話題です。通販はやっているのでしょうか? 調べてみたたけれどわかりませんでした!」というような構文のサイトのことを指す。4位にようやく公式サイトがあり、通販もやっていたという事例も多かったという。
公式サイトのSEOができていないと、トレンドブログなど他のサイトに負けてしまい、検索結果の上位に表示されないこともあるので、最低限の施策はやっておきたい。
特定のキーワードを最適化するには?
WebサイトのSEOとしてさまざまな方法があるが、基本はGoogleが公開している検索エンジン最適化スターターガイドを読んで対策してください。各ページに固有の正確なタイトルを付ける、メタディスクリプションとタグを設定する、構造化データのマークアップを追加する、コンテンツを最適化する、といった基本がまとめられています(篠原氏)
なかでも、ページに正確なタイトルをつけるのは基本中の基本。通販サイトなら、サイト名、地名、商品名などを入れておきたいところだ。
発見② GSG(Google すごい)
続いては、GSG。これは「Google SuGoi(Google すごい)」の略こと。
SEO施策の基本の大切さを前述したが、キーワードが含まれないタイトルのサイトが検索結果のトップや1ページ目に表示されることもあるという。下記は「大阪 大福 通販」の検索結果だが、赤い枠を囲んだサイトには、どのキーワードも書かれていない。
地域内の特定のジャンルなどの狭いキーワードであれば、Webサイトのタイトルが最適化されていなくても、検索に表示されるケースが多い。
個人の感覚ではありますが、近年Googleが概念をつかむ能力が上がっていると感じます(篠原氏)
「イメージが浮かぶけど、その正確な単語がわからない」といった曖昧な検索に対しての精度が高くなっている。サイト内の情報以外でも、一般的に言われている情報を評価して、広く検出できるように改善されていると予測できる(まさにGoogle すごい)。
だからといって最適化しなくてもいいというわけではありません。最適化したほうが、ユーザーにもGoogleロボットにも親切なサイトになります(篠原氏)
発見③ FMO(不動明王のようなサイト)
FMOは、GSGの中でもさらに強いサイトを指す。
GSGは、地域・お店・名物などの狭い範囲のキーワードで、ページが最適化されていなくても検索結果に出ることを指すと説明しましたが、FMOは広めなキーワードでも最適化されていないサイトが検索上位に出現することを指します。いわば、FudouMyouO(不動明王)のようなサイトです(篠原氏)
たとえば、「カヌレ 通販」「もつ煮 通販」というようなワードでも、特定のお店のサイトが上位に表示される。タイトルにその商品名が入っていなくても表示されるのだ。
FMOのすごさは、「SEOなんて知らん!」というようなサイトなのに、検索結果に上位表示されることであり、SEOに携わっている篠原氏から見るとそんなサイトは「潔すぎてかっこいい」という。
FMOはなぜ強いのか?
篠原氏はGSG同様に検索エンジンの精度向上によるものだと考えている。地域で有名な商品が全国区になって、良い商品として評判になれば、ショップの知名度が上がり指名検索が増える。Googleはそのデータを捉えて、店の名前が含まれていないキーワードで検索されたときに、サイトのタイトルにも関連用語が入っていないのにも関わらず、検索結果に表示するようになっているのではないかと推測する。
最後に、少し役に立つ話を
大手通販サイトはSEOが強いですが、中小サイトの指名検索需要は多く存在します。残念な事例として指名検索なのに1位をとれていないパターンを紹介しましたが、これは最適なページが作れていないことが原因のこともあります。まずは指名検索で自社のサイトが表示されるか確認して、最低限の対策を行ってください(篠原氏)
ユーザーの検索量が多く評判がよければ、Googleがその傾向を捉えて、狭い検索用語で表示されるGSGの事例もあるが、まずは「◯◯といえばこのショップ」とユーザーに認識される状態を作ってほしいと篠原氏は話す。
基本的な検索エンジン最適化をすることで、何のサイトであるか、ユーザーにも検索エンジンにもわかるようになり、指名検索でアクセスされやすくなる。その中で評判があがれば、大きな渦になって検索エンジンで評価されるようになる(篠原氏)
このあと、篠原氏が自前で用意しておいた「ありそうな質問」に対して、回答して講演は終了した。
Q:自社のSMOの実態はどうやって調べればいいのか?
A:Serach Consoleの検索パフォーマンスを使って、どんなキーワードで表示されているのか、検索の順位はどのくらいなのか把握してください。それが需要の掘り起こしにもなります。
Q:GSGはSEOしなくていいの?
A:基本はやっておきましょう。日々SEOの最新情報を集めるほどではなくて、GoogleのSEOスターターガイドに対応する程度で十分です(特に小さいサイトの場合)。
Q:FMOを見てどう思う?
A:小技のSEOテクニックの重要性が減少していくのではないでしょうか。
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