問い合わせと受注を増やしたい! MA導入を成功させる6つの秘訣とは?
セールスの拡大や効率化のために、マーケティングオートメーション(MA)を採用している企業は多い。しかし、「MAツールを導入したものの、うまく活用できていない」という声をよく聞くことも事実だ。
「Web担当者Forum ミーティング 2023 春」にMAツール「SATORI」を提供するSATORI株式会社の高久和紀氏が登壇。マーケティングオートメーション導入を成功させる6つの秘訣や、営業課題を解決する「効率化」、また、改めてMAとは何か? を理解する5つのポイントについて解説した。
MA導入成功のために実施すべき6つの秘訣
MAツールを導入する目的は「売り上げの向上」であることはもちろんのことだが、導入すれば売り上げがアップする魔法の杖ではない。売り上げを拡大するステップの中で、MAツールが特に効果を発揮する部分は以下の2点だ。
- 数は多いが成約確度の低いリードを、成約確度の高いリードに「育成」すること
- 育成した成約確度の高いリードから、セールス担当が商談する相手を「選別」すること
つまり、見込み顧客を営業担当者が営業しやすい状態に育て、その上で引き渡すことができるのがMAツールの特徴といえる。
MAツール導入の目的が売り上げアップというのはもちろんのことですが、具体的には、従来は営業担当者が担っていた、新規顧客獲得などの初期の開拓部分を担うことで、マーケティング活動や営業活動を効率化することといえます(高久氏)
また、MAツール導入後にやるべきことを知っておくと、検討段階で活用のイメージがしやすいし、導入後の課題解決もスムーズになる。それをまとめた「MA導入成功の秘訣」が次の6項目となる。
MA導入成功の秘訣① 目的・課題の明確化
企業にとって最大の目的は「売り上げ拡大」だが、それに到るプロセスを分解して、どのような課題があるか整理し、どのように改善すればいいかを明確にする。
たとえば、「既存の取引先とはよい関係が築けているが、売り上げが伸び悩んでいる」のが課題であれば、「新たな売り上げ獲得のために、新規顧客を開拓する」という改善方法が考えられる。この場合は、導入の目的は「新規顧客開拓業務をMAで取り組む」となる。
あるいは、「新規顧客獲得はできているが、営業担当者や時期によって偏りがある」という課題なら、「属人化を解消するために、MAを使って営業プロセスの仕組み化を行う」のが導入目的になる。
MA導入成功の秘訣② ターゲット設定
どのような経路を辿った見込み顧客が受注へ進むのかを分析し、ターゲットを設定する。
このとき、顧客の視点に立って、どのような課題を持っているのか、自社はどのような解決策を提案できるか、どのような行動や感情の変化によって発注してくれるのかを、カスタマージャーニーとして作っておくことが重要。これによって、検討段階のどこでどのような施策を打つべきか、施策実施のボトルネックは何かが明らかになる。
カスタマージャーニーはMAを運用するにあたっての設計書で、マーケティング施策や営業施策を改善することにも役に立ちます。初めて作る場合には、完璧に作ることにこだわらず、適宜改修していくつもりで進めるのが成功の鍵といえるでしょう(高久氏)
MA導入成功の秘訣③ セグメント設計
ターゲットの属性や行動傾向を分析し、グループ化してセグメント設計する。
たとえば、アポイントを獲得した顧客のWebサイト訪問履歴をチェックして、直近1か月間に5回以上Webサイトを訪問していたという傾向が判明したなら、「1か月間に5回以上Webサイトを訪れる見込み顧客は、アポイントの確度が高い」という仮説が立てられる。
綿密にターゲティングしても必ず反応があるとは限らないが、最初は社内の知見をもとに仮説を立てて検証を繰り返す。活用が進むと実際の施策に関するデータが蓄積されるので、そこからよいセグメントが見つかる可能性が出てくる。
MA導入成功の秘訣④ シナリオ設計
設定したセグメントに対する、効果的なアプローチ方法や流れを分析・設計する。
たとえば、「電話をかけてみる」や「メールでアポイントの打診をする」他に、「まずはカタログを案内するメールを送る」「Webサイト訪問時にポップアップを出してセミナーに誘導する」など、いくつものシナリオが考えられる。実施した結果を分析すれば、効果的なアプローチ方法を確立することができる。
MA導入成功の秘訣⑤ コンテンツ作成
アプローチに利用するコンテンツを作成する。目的に応じて媒体を選ぶ必要があるが、以下のように使い分けると効果が高い。
- 成約確度の高い顧客:製品やサービスの紹介資料
- 成約確度の低い顧客:ホワイトペーパーやセミナー
- まだ自社を見つけていない顧客:課題解決コンテンツのブログからメルマガ登録を促す
MA導入成功の秘訣⑥ 運用体制の整備
初めてMAを導入する場合、専任であれ兼務であれ、少なくとも1人は担当者を決める必要がある。このときに、「自社の営業プロセスを熟知している人を起用することが、成功の鍵」だと高久氏は語る。また、見込み顧客のリストの扱いや商談フェーズへ移行する際のルールを、営業部門と整理することも必要だ。
これらは、導入後に試行錯誤しながら考える部分もあるので、検討段階ですべてを固める必要はない。しかし、「これらの要素をあらかじめ把握しておくことで、成功に近づくことができる」と高久氏は説明する。
MA導入の成功事例
MA導入で成果を出した企業が、前述の6項目でどのようなことを実践したのか、事例が2つ紹介された。
MA導入の成功事例① メーカーA社
ゼロからのスタートで数千万円規模の案件獲得
①目的・課題の明確化
営業の属人化解消と、Webサイト経由で新しい見込み顧客を獲得すること。
②ターゲット設定
既存の取引で強みを持つ業界以外にフォーカス。
③セグメント設計
1か月に2回以上Webサイトに訪問した人をホットユーザーとして抽出し、確度の高い顧客としてグループ化する。
④シナリオ設計
ホットユーザーのリストを事業部と連携し、優先度の高い見込み顧客を把握。問い合わせがあった場合は自動的に社内にメール通知。
⑤コンテンツ作成
営業からの直接アプローチだけではなく、新たな接触機会を作成するためメルマガ施策をスタート。
⑥運用体制の整備
新プロジェクトを立ち上げ、社内のリードを一元管理する。
これらの取り組みにより、ゼロからスタートして、Webサイト経由で数千万円規模の案件を獲得した。
MA導入の成功事例② メーカーB社
担当マーケター1人で新規問い合わせ件数を3.5倍に
①目的・課題の明確化
Webマーケティングからの新規顧客の獲得。
②ターゲット設定
B社の製品・サービスで課題を解決できることに気づいていない方。
③セグメント設計
オウンドメディアの訪問者。
④シナリオ設計
オウンドメディア記事から、関連するホワイトペーパーへ誘導。
⑤コンテンツ作成
関連コンテンツへ誘導するポップアップとホワイトペーパー。
⑥運用体制の整備
社長直下のマーケティング課を新設。
この企業では、担当マーケター1人からスタートし、新規問い合わせ件数は年間約100件から350件超に増加した。
事例で見ると、コンテンツはさまざまだが、シンプルな設計になっている。
それぞれの項目について考えているときは、さまざまなアイデアが出て難しく考えがちですが、まずはシンプルに、要点を押さえてやっていくのが成果を獲得する近道です(高久氏)
MAとは「顧客開拓を仕組み化すること」
改めて、MAとは何かについてもおさらいしておこう。
高久氏は、マーケティングオートメーションを「顧客開拓を仕組み化すること」と定義する。そのためのツール自体もMAと呼ばれるが、導入すれば顧客が自動的に増えるものではなく、「獲得した見込み顧客を管理し、育成・グループ化して、育った見込み顧客を営業に渡す一連の流れを効率化・仕組み化するツール」と捉えるのが正しい。
MAツールの主な機能は、以下の5つだ。
①リードジェネレーション(リード獲得)
Webサイトへ訪れた見込み顧客を獲得するための機能。
ブログやホワイトペーパーなどのコンテンツを作成し、Webサイトに来てもらうだけでは、電話やメールで直接アプローチすることはできない。このため、問い合わせや資料請求、セミナー申込などのフォームで情報を入力してもらう必要がある。ポップアップやチャット、バナー表示などさまざまなアプローチ方法があるが、MAによってこれを適切に出し分け、見込み顧客の獲得を効率化する。
②リードナーチャリング(リード育成)
獲得した見込み顧客に対して、購買意欲を高めて、次のステップへと育てる機能。
営業担当者によるメール・電話以外にも、顧客接点や接触機会を増やすために、MAからメールやプッシュ通知を送ることができる。
たとえば、展示会に来場した見込み顧客に、来場のお礼と製品の案内などを送付し、そのリアクションによって、次のステップに繋がるセミナー案内や記事コンテンツを紹介する。このように、接点ごとのグループ化などで適切にアプローチし、見込み顧客を次のステップへ育成する。
③リードクオリフィケーション(リードの選別)
成約確度が高いと思われる見込み顧客を選び出す機能。
獲得したリードすべてに営業がアプローチするのは効率が悪いので、資料ダウンロードやページ閲覧などで点数をつけ、そのスコアで成約確度が高いかどうかを判断する。オフラインの行動をスコアリングに加えたり、スコアに応じたアラートで営業に引き継ぐ見込み顧客を通知したりする機能などもある。
④リード管理
個々の営業担当者や複数の部門で管理されている見込み顧客の情報を、MAツールで一元管理できる。
「企業名、所属、役職、氏名などの属性情報」の他、「これまでのコンタクト履歴」や「Webサイト閲覧履歴」「送信メールの開封履歴」など、オンライン/オフラインを問わず、収集可能なあらゆる情報を管理可能。
⑤オートメーション
あらかじめ決められたルールに従って、リードへのアプローチやマーケティング業務を自動化する機能。
「特定の行動をとったリードに、自動でメール配信する」や、「送信したメール内のリンクがクリックされたら、1日後にセミナー案内のメールを送信する」などのルールを設定しておけば、個々のリードに行う施策が効率化できる。
営業担当者しかできない業務に集中してもらう「効率化」
売り上げを拡大するためには、アプローチできるリードの数を増やす必要がある。マーケティングの仕事は主にそちら側だ。一方で、売り上げ目標を達成しなければならない営業担当者にとっては成約確度の高そうな有望顧客への対応が優先で、まだ確度の低いリードへの対応は後回しになるのは仕方ない。ただ、その結果、せっかく自社に興味を持ってくれた見込み顧客が、他社に流れてしまうこともある。
理想的なのは、営業プロセスの一部をWebに任せて、営業担当者しかできない業務に集中すること。これを高久氏は「効率化」と呼ぶ。そのための手段がMAだ。
マーケティングやオートメーションという言葉から、難しく感じてしまうかもしれないが、事例で紹介したように、ゼロからのスタートや1人担当者でも効果は出せる。そのための秘訣である6つの項目を活用し、営業課題を解決してほしい。
MAツール「SATORI」は顧客獲得に強みを持ち、Webからの問い合わせを増やしたい場合に最適な機能が備わっている。また、導入や操作のシンプルさ、手厚いサポートも売りだ。高久氏は、「機能面でもサポート面でも、SATORIが伴走するので、ぜひご相談ください」と締めくくった。
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