ロングテールを利用し、ロングテールのなかで検索を捉えることが、検索マーケティング担当者にとって注力すべき重要な課題となってきた。たしかに、これはかなり魅力的だ。ロングテール検索においては、競合があったとしてもごくわずかで、またロングテール検索を行う人たちは、購買分布の広大な裾野にあたることも多い。だとすれば、一挙両得ではないか。
もちろん問題は、実際にそうした検索を識別することにある。単に優秀で質の高いコンテンツのページを用意するだけでも、ある程度までなら、ほとんど余分の労力なしでこの種のトラフィックの一部を捉えられるかもしれない。ここで言うコンテンツとは、誰かが検索する可能性のある重要な特徴やメリットなど、詳細な内容を含むものを指す。ただ、このロングテールに対して、もっと積極的なアプローチを取りたい場合には、どうすればいいのだろう?
Hamlet氏が書いた「Uncovering the Invisible Tail」(見えないテールを見つける方法)という記事は、ロングテールを捉える難しさをよく表している。キーワード調査ツールだけでは、ほとんどのロングテールを見つけられないだろう。基本的にロングテールの検索キーワードは、大半のキーワード調査ツールの網をすり抜け、目に見えてこない。ツールが捉えるのは、山形の例の分布図で言えば天辺と山の中腹あたりまでだ。
ロングテール検索には、根本的な大問題が2つある。第1に、ロングテール検索は何年かに1度くらいしか見ることのできない彗星のようなものだということ。今日それを見つけたからといって、いつだかわからない将来のある時まで、その価値を必ずしも持ち越せない可能性がある。僕らが十分長く生きて、再びそれが見られるとしての話だが。第2に、ロングテール検索の総合的な価値は、全体として見出せるもので、個々の検索にある訳ではないということだ。
では、どうすれば最小限の努力で、ロングテール検索により高い頻度で出会うチャンスを増やせるのだろうか? それはもちろん、ロングテールのパターンを掴むことだ。再び彗星になぞらえると、僕らは彗星の軌道にあまり関心を持っていない。だが、彗星はその軌道を辿っているんだ。言い換えると、彗星がどこからやってきたか調べれば、どこに向かうのかが見えてくる。
そこで、自分たちのキーワードについて、まずできるだけテールの先(分布グラフで言えば裾野の先っぽ)まで検索を調査する。キーワード調査ツールを使ってもいいし、HitTailみたいなサービスや、Hamlet氏が詳しく紹介しているような戦略を利用してもいい。全体的な目標は、自分たちの努力を形にできる、鍵となるパターンを見つけ出すことだ。できることなら、その取り組みをある程度まで自動化できれば言うことない。人生色々、検索も色々だ。すべての検索を捉えることはできないにしても、主要なパターンを見出せば、ロングテール検索でヒットするチャンスが大幅に増える可能性がある。
では一例として、常に人気のあるデジタルカメラを使って説明してみたいと思う。ここに、2つのブランドのデジタルカメラについて検索した、40件のクエリを挙げてみた。これらの検索クエリは、KeywordDiscoveryのデータベースから引き出したもので、すべて1度しか検索されていないものだ。
- 消費者 コメント Nikon 5.1メガピクセル クールピクス L3 デジタルカメラ
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さて、僕らが目指していたのは、消費者が使う検索クエリに、何か普遍的なパターンのようなものがないか見極めることだ。上の例を見る限り、顕著なパターンがいくつもある。
全体の48%がブランド名で始まり、「デジタルカメラ(digital camera)」で終わっている。
全体の35%が、ブランド名、機種名、型番、メガピクセル、「デジタルカメラ(digital camera)」という並びになっている。
全体の22.5%が、ブランド名、メガピクセル、機種名、「デジタルカメラ(digital camera)」という並びになっている。
そしてなんと60%もの検索が、ブランド名、機種名、「デジタルカメラ(digital camera)」というパターンにあてはまる。
みんな気づいているかもしれないが、少なくともこの例においては、「新」とか特定の店の名前とか、消費者コメントの参照といった修飾語句は、検索フレーズの前に記述する傾向がある。これに対して、機能や製品に関する修飾語句は、検索フレーズの後ろに置く傾向があり、「メモリ」「3倍光学ズーム」「保証」「クレードル」「情報」といった語を用い、時にはメガピクセルや型番を最後で繰り返す場合もあることがわかる。
ただし、これはまったく限定的な仮定の話であって、統計学的に正確だという訳じゃないと理解しておいて欲しい。実際に分析してみれば、異なったパターンが現れることもあるだろう。これは単に、静的な活用形態なり、データベースを使った動的な活用形態なり、コンテンツ提示方法をモデル化するため、優勢的なロングテールのパターンをいかに見極めるか、という考え方を示しているに過ぎない。
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