RIAシステム 構築ガイド Essential
RIAコンソーシアムが発行する、RIAの普及促進や開発に関するガイドライン『RIAシステム 構築ガイド』の2007年版である『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』をWeb担向けに特別にオンラインで公開するコーナー。
開発費縮小のもたらすもの
クライアント(発注者)側にとって、開発コストは低いほど望ましいと思われがちです。しかし、作り手側の目から見ると、それが常に「正解」だとはいえない場合があります。
よく出くわすのは、設計段階で少しのコストを下げるために、「ここは手作業で運用するので、システム化は不要」と言われるケースです。システム開発は決して安い買い物ではないので、気持ちなども分かるのですが、そのシステム化を省くことで、莫大な時間を運用時に取られることが予想できる場合は、可能な限りシステム化を提案し続けます。
Webシステムを開発する側は、基本的にはそのWebサイトがオープンする時までが仕事です。運用保守の契約をしていない限り、クライアントにバトンを返して退場します。しかし、クライアントにとっては、そこからが勝負です。設計・開発の場でも、最近は日常業務の合間を縫って時間調整するのが苦しそうなクライアントが、運用開始後に、予見できないユーザー対応にまで駆り出されるのは思うだに辛いものがあります。
社外であろうと社内であろうと、利用する人間に変動があり、技術動向が凄いスピードで変動している以上、システムはある意味「生き物」だと認識すべきでしょう。常に保守が必要であり、導入したら手間要らずで走り続けるということは、まずありえません。
予算管理上、開発費と運用費、更にサポート的な見えない予算などが統一的に扱われることは稀でしょう。しかし、現実的にはそれらは表裏一体の関係で成り立っているものです。使い勝手が悪かったり、操作性が悪ければ、ヘルプデスクへの負荷は増大しますし、誤操作を繰り返えさせるインターフェースは、サーバとの無意味なやり取りを増加させ、他の通常業務にまでネットワークの重さとなって現れる可能性だってあります。更に、機械的に処理するつまらない作業は人間のモティベーションにも影響します。モティベーションを失ったサイトが流行るはずもなく、そうした職場に活気が満ちることも稀でしょう。
つまり、システムを導入するということは、それらを総合的に判断することが大切になり、それは今後ますます重みを増していくことが予想されます。逆に、そうした考え方にシフトしていかない限り、ユーザビリティの向上を、業務効率化などの有効な投資として扱われることはなく、問題解決から遠のくといえるでしょう。
この記事は、RIAコンソーシアムが発行した『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。※掲載されている内容は2007年5月発行時点のデータに基づいています。
RIAコンソーシアムの活動記録とも言える本ガイドは、RIAの普及促進、開発に関するガイドライン、課題解決などについて、マネージメント、ユーザーインタフェース、テクノロジーの3つの視点からみた、それぞれのテーマについてまとめています。
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