5.既存コンテンツをクリーンにしておく
5.既存コンテンツをクリーンにしておく
不調や問題の多い、いわゆる“病の状態”のコンテンツを移行すると、移行を行ったために病になったのか、元からだったのかがわからなくなる。次のような方法で、既存コンテンツが抱える問題を事前にクリアしておこう。
- 不要ファイルやページの削除(無駄な以降作業の削減につながる)
- リンク切れ解消
- HTML文法チェック
作業を行う過程で移行対象コンテンツへの理解が深まり、要件定義や設計の精度が高まる、というメリットもある。また、この作業はCMS導入プロジェクト初期の要件定義やCMS設計の際に、並行して行っておくとよい。全体のスケジュールに影響を与えない形で、プロジェクトのリスクを減らすことができるためだ。
6.リンクやHTMLを自動チェックする
移行作業の結果、リンク切れやHTMLの構文エラーが発生することがある。移行のリリースを何度も行うことも多いため、このテストは手軽に繰り返し行えるようにしておきたい。そのためには、テストを自動化できるツールを導入するのが便利だ(参考記事:「HTMLチェックとかリンク切れチェックでこれくらいは知っておきたいツール」)。
The W3C Markup Validator | http://validator.w3.org/ | HTMLの妥当性検証ができるW3C本家のオンラインサービス。 |
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HTML Validator for Firefox | http://users.skynet.be/mgueury/mozilla/ | W3Cのアルゴリズムに近いHTML妥当性検証をローカルPC上で手軽に行えるFirefoxアドオン。 |
Another HTML-lint | http://openlab.ring.gr.jp/k16/htmllint/ | 日本人が開発したHTML妥当性検証サービス。商用利用は無償ではないので注意。 |
Website Explorer | http://www.umechando.com/webex/ | リンクチェックなどサイト全体の診断に使えるWindowsアプリケーション。 |
また、承認ワークフローの一部として、リンクやHTML構文のチェックを自動起動できるCMSもある。
7.時間に解決させる
期限が切れた古いコンテンツは消していく、という運用を確実に行っていく必要がある。ルールだけ決めて運用を開始しても、時間が経ち人も入れ替わるうちにルールが壊れたり守られなくなっていく。ページの公開時にあらかじめ期限を設定しておいて自動で公開を終了させる、切れる直前にワークフローで通知を行う、などのCMSの機能を活用すれば、長期的に運用を継続していくことが可能になる。
コンテンツに有効期限を設定することで、コンテンツの新陳代謝が進んでいく。このため、時間やコストの都合で完全には移行しなかったページが残っていても、それらは少しずつ数が減っていくため、本来の完全な管理状態に近づいていくのだ。レガシーなコンテンツがなくなるまでに何年もかかるかもしれないが、それでも問題を解決しないまま先送りするのとは大きな違いがある。
8.移行の後にリニューアルする
サイトのリニューアルをきっかけにCMS導入を行う場合、リニューアルとCMS導入を同時に行うことが多いが、その場合は2つの大きなリスクを抱えることになる。たとえば、デザインの確定が遅れるとCMSのテンプレート開発の遅延につながる。
プロジェクトの規模が大きく難易度が高い場合は、まずCMSの導入と既存コンテンツの移行を終えてからデザインや構成のリニューアルを行うという方法も検討してみよう。
ただし、CSS化やテンプレート化(つまりコンテンツの構造化も)は可能な限り行っておきたい。また、ナビゲーションやパンくずリスト、タイトル、見出しなども自動生成するようにさえしておけば、ページ名や所属カテゴリを変更するのが導入前よりも楽になる。
これらの最低限の作業を行うことで、CMSを導入しないときよりも少ない工数・時間でデザインと構成の変更を行えるようになる。それから、大小のリニューアルや改善、効果検証を行っていけば良い。逆に言うと、CMSによって変更が楽にならなければ、その導入は失敗と言える。変化に柔軟に対応できるようにしておかないと、CMSが変化の足かせになってしまい、長期的な効率UPやコスト削減は実現できないからだ。目先のリニューアルを成功させることばかりでなく、長期的な運用や変化への対応についても忘れないようにしたいところだ。
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