もしもtoyota.jpを解析するなら(前半) [第1回]
誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。
新連載「有名サイト、かってに解析!」では、毎回1つの有名サイトを取り上げ、アクセス解析で実際に解析データを見る前に、あらかじめサイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。
アクセス解析を行う際には、データを見る前に、自分なりの仮説を立てることが、分析効率を高める上で効果的だ。サイトをユーザーの視点で閲覧しながら、問題点やチェックポイントを整理してみよう。着眼点はサイトのタイプによって異なるし、必勝法則などがあるわけではないが、ある程度はパターン化できるのではないかと考えている。
見ながら仮説を立てるのは、自社のサイトに限らない。情報収集で検索をしていて、たまたまたどり着いた初めて見るWebサイトや、Web担当者Forumのような定期的に購読している情報系Webサイトでも、問題点の仮説を立てながら見る癖をつけよう。いちいち文章に落とす必要はない。面倒くさければ、「ちょっと意識して見る」ぐらいでもかまわない。
また、仮説は必ずしも当たるとは限らないので、数字で裏付けられなかったとしてもがっかりすることはない。この訓練をいろいろなサイトを見るときに頭の中で行ったり、実際に自分のサイトで行い、数字を確かめながら検証したりすることで、アクセス解析力は着実にアップしていくだろう。
「TOYOTAブランドサイト」の閲覧シチュエーションを想定
初回は自動車メーカーであるトヨタ自動車の「TOYOTAブランドサイト」を取り上げる。トヨタ自動車が製造・販売している様々な自動車の製品紹介を主に担っているWebサイトである。
このサイトを皮切りに、これから様々な業種業態のサイトを取り上げ、課題の抽出や考察を行うのだが、筆者はあらゆる業種の各企業やサイトが直面している課題や戦略・戦術を十分に理解しているわけではない。あくまでも1つのモデルとして、サイトを閲覧するという行為をどのように考えていけばよいのか、そのプロセスを重視して読み進めてほしい。そのため同業他社との比較といった視点で優劣をつけるようなことも極力しないつもりだ。しかし、実際のビジネスの現場では、競合比較の視点も重要になるので、みなさんの方で、ぜひ競合他社のサイトについても観察してみていただきたい。
なお、今回の記事は2010年11月10日時点の「TOYOTAブランドサイト」にもとづいて執筆しているが、2010年12月下旬にサイトを確認したところ、一部リニューアルが行われていた。大手企業の有名サイトの場合、そのときどきの主力商品にあわせて、サイト内容の変更が頻繁になされる傾向にある。こうした点が生のWebサイトを素材にして記事を書く際の難しい点でもあるのだが、指摘内容自体はいたって普遍的で、多くのサイトにも活かせるということを基準にピックアップした。今回指摘してあるポイントがどのように変更されているのか、あるいは変更されていないのかなどにも注目しながら見比べてみてほしい。
今回想定したサイト閲覧シチュエーション
今回は、次のようなシチュエーションを想定してサイトの課題を考えることにした。
誰が | 50歳代の男性 |
---|---|
何の目的で | 車の買い替え |
何をしに | カタログ請求 |
どこへ | トヨタ指名でトヨタサイトへ |
アクセス解析視点の仮想目標
上記の想定シチュエーションを、アクセス解析的に言い換えると以下のようになる。
- 参照元が検索エンジン
- 検索語が「トヨタ」
- ランディングページがTOYOTAブランドサイトのトップ
- コンバージョンページはカタログ請求完了ページ
それでは、このシナリオでサイトに訪問した人が遭遇するサイトの問題点を考えていこう。
「TOYOTAブランドサイト」をエキスパートレビュー!
まず、ユーザーは検索エンジンを使うと想定し、はじめは検索エンジンで「トヨタ」を検索してみた。2010年11月上旬現在で、Yahoo! JAPANでもGoogleでも、「トヨタ」と入力すると、「TOYOTAブランドサイト」が、「トヨタ自動車グローバルサイト」を抑えて、1位表示になっている。
ユーザーはここで1位表示の「TOYOTAブランドサイト」をクリックし、サイトのトップページに入ってくることになる。さて50代男性の第一印象はどうか。次の図2を見て頂こう。これは前掲の図1をモノクロにしてみたものだ。
このページのコントラストの低さに気が付いた方がいらっしゃるのではないだろうか。筆者も個人的には目が悪い方なので、コントラストよりもこの小さなフォントの方が辛いものがあるが、Yahoo! JAPANもAmazon.co.jpもこのくらいのフォントサイズなのでそれは致し方ないとして、小さなフォントにコントラストの低いグレーの文字が追い打ちを掛けると視認性はさらに悪くなる。
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