Twitterだからといって顧客対応のポリシーは変わらない/アイスタイル(アットコスメ)
化粧品・コスメのクチコミサイト「@cosme(アットコスメ)」を運営する株式会社アイスタイルでは、Web 2.0黎明期から培ってきたコミュニティサイトの運営ノウハウを活かし、5個のTwitter公式アカウントを開設している。ソーシャルメディアポリシーを策定し、Twitterを通してリアルタイムに肌の悩みが解決できる企画「スキンケア学園2011」を実施するなど、企業全体としてTwitterに積極的に取り組んでいる。
アイスタイルではTwitterの活用をどのように考え、どのように運用しているのか、同社でサイト企画を担当するサイト開発部の服部めぐみ氏と、広報を担当する広報・IRチームの小笠原香苗氏に話を伺った。
名称:アットコスメ | |
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より多くの人にアットコスメを知ってもらうため公式アカウントを開設
アットコスメでは2009年11月25日にTwitter公式アカウントを開設し、2010年4月から本格運用を開始したという。運用開始時は何を目的としていたのだろうか。
「当初は情報発信ツールとして手軽に利用できるという点で、アットコスメの情報発信を目的にTwitterを導入しました。当時はTwitterが流行り始めた時期でもあったので、どんなユーザーさんに興味を持ってもらえるのか知りたかった、というのも理由です。はじめは情報発信が目的でしたが、半年くらいTwitterを続けてフォロワーが増えてきたこともあって、もうちょっとフォロワーを増やせばマーケティングツールとして使えるのではないかと考え、2010年4月ごろに本格運用を始めました
」(服部氏)
Twitterが普及する以前と今では目標にも変化があったのだろうか。
「アットコスメとしては、すでにサイトの会員になっている方には、新しいコンテンツを見てもらいたいので、新規コンテンツや毎日更新されるコンテンツ情報をお知らせしています。また、Twitterのフォロワーがアットコスメを使っているユーザーの方だとは限らないので、そこからどうやってアットコスメの会員になっていただくか、という使い方もしています。フォロワーは、1万2千人ぐらいいるのですが、40%ぐらいがアットコスメ会員の方ではないんです。ですから、今は新規にアットコスメ会員になっていただくことも目的に、まだ会員になられていない40%のフォロワーの方向けに、今アットコスメに登録するとこんな商品が当りますよとか、面白い情報を提供したりしています
」(服部氏)
Twitterからの新規会員獲得を目標の1つに掲げているアットコスメのアカウントでは、目標の達成度はどのようにチェックしているのだろうか。
「たとえば、bit.lyでURLが何回クリックされているのか、リツイートがどのくらいされているのか、1か月間にどのぐらいフォロワーが増えているのかなど、数値を軸にして見ています。ですが、世の中の一般的なリツイート数やクリック数が明文化されているわけではないので、私たちのなかで知見として、このぐらいフォロワーが増えれば効果がでてくるだろう、というものをチェックしています。一般的な数値を明文化すべきかどうかというのは、他社さんの状況を見てからです
」(服部氏)
個々の施策に対する目標数値はあるのだろうか。
「もちろん目標数値はあります。目標値に届かない時には、つぶやきの回数を増やしたり、つぶやきの時間帯を変えたりするなどの工夫をしています。たとえば、占いコンテンツであれば、朝やっているテレビの占いに合わせてつぶやいたりする、夜のTwitter利用が多いなら夜につぶやいたりする、といったようにコンテンツによってつぶやきの時間帯や発信する回数をわけたりしています
」(服部氏)
Twitterをはじめた当初の目標は、Twitterを通じた情報発信だったというが、一定のフォロワー数を獲得できたことから、現在はアットコスメの利用者(新規ユーザー)を増やす目的だと話す服部氏。現在はフォロワーの6割にあたるアットコスメの会員に情報提供をしつつも、新規アットコスメ会員の獲得を目的としているため、既存会員向けの企画は別のTwitterアカウントで立ち上げるなど、運用方法も工夫をしているとのことだ。
すべての企業アカウントをツイナビに申請
アイスタイルでは取材時点で5つの公式Twitterアカウントを運用しているが、アットコスメがTwitterの本格運用を開始した2010年4月当時、会社全体としてはどのような取り組みがあったのだろうか。
「あのころ(2010年4月)は、一般の女性の方々もTwitterを使い始めたタイミングだったので、実店舗のアットコスメストアやECサイトのコスメ・コムなど、アイスタイルのTwitterアカウントのすべてを公式アカウントとしてツイナビに(Twitter公式ナビゲーター)申請をし、法人として認定をしていただきました。全社的には、だいたい同じタイミングで本格運用を開始しています
」(小笠原氏)
- アットコスメ:@atcosmenet
- アットコスメモバイル:@atcosme_mobile
- コスメ・コム(ECサイト):@cosmecom
- アットコスメストア(実店舗):@atcosmestore
- アイスタイル広報公式アカウント:@istyle_inc
アットコスメがTwitterの本格運用を開始したころ、アイスタイルが所有する他のTwitterアカウントはどのような運用をしていたのだろうか。
「リアル店舗を運営するアットコスメストアが、アットコスメよりも先にTwitterを始めていました。リアルの顧客接点をもっていてTwitterを一番使いやすく、店舗の情報を流していたのでフォロワー数もかなりありました。また、ECサイトのコスメ・コムも顧客のリテンションが目標にあったことから、アットコスメよりも先にTwitterを始めていて、新規の商品が出たタイミングで情報を流す、といったことは随時していました
」(小笠原氏)
では、他のアカウントと比べて、アットコスメの本格運用が後発になったことにはどんな理由があったのだろうか。
「アットコスメの目的は、サイトで直接商品を販売することではありません。コスメ・美容の総合ポータルサイトとして、ユーザーさんに支えていただいているサイトなので、Twitterの使い方は一番難しい。Twitterの運用方針がないままに走ってしまうことで、ご迷惑をおかけしてはいけないと考えていたんです
」(小笠原氏)
企業がTwitterを使ってタイムリーにコミュニケーションを取る場合、明確な運用ルールが不可欠である。特に、アットコスメのようなコミュニティサイトの運営会社には、企業や顧客に対して常に中立的な立場が求められるため、発信する情報には細心の注意を払う必要があるようだ。取材の時点で、アイスタイルでは、全社でソーシャルメディアポリシーの策定を進めており、この記事が公開されるころには完成している予定だ。
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