サイトリニューアルに欠かせない未来志向とは、Webサービス化で「使えるサイト」へ/コネクティ
デジタルデバイスの環境やユーザー動向の変化は急激で、Webサイトリニューアルに時間をかけるとできあがった時には時代遅れになりかねない。リニューアルのスピードアップを図る手段の1つであるクラウドCMSを提供するコネクティの服部恭之氏が、リニューアルのトレンドについて語った。
Webサイトの品質がビジネスを変える
講演で服部氏はWebサイトリニューアルのあるべき姿について語る。リニューアルプロジェクトでは、現状の課題解決を優先するケースが多いが、「あるべき論」からブレイクダウンする未来思考を持つべきだというのだ。
アベノミクス効果によるものか、凍結されていた予算を消化するためにリニューアルの話が持ち上がることが増えているという。WebサイトはIT分野のなかでは比較的投資額が小さいが、顧客の目に直接触れるものであることからニーズは高い。
従来のサイトリニューアルでは、「現状のWebサイトの課題を分析してそれに対応するというアプローチ」が多い。内容的には、デザイン変更やコンテンツを増やすといった取り組みが重視されがちだ。ただし、デザイン変更によってどのような効果が出たのかは、説明が難しい。
しかしWebで成功している企業は、「中期戦略からWeb上の施策を策定し、それがどの経営課題とマッチするかというストーリー作成のアプローチ」を取っている。サイトの課題といったミクロな視点ではなく、経営課題を解決するためのWebの施策という視点から考えるのである。
スタートは経営課題とユーザー動向の整理から
リニューアルの際に中期計画を立てることのメリットの1つが、担当者がユーザートレンドを意識するようになることだ。Webサイトのリニューアルにはまとまった期間がかかるため、現状の課題を解決したサイトが1年後にできあがったとしても、すでにデバイス環境やユーザー行動が変わっている可能性がある。
たとえば、ソーシャルメディア対応を重視したリニューアルをしても、3年後にはだれもそのソーシャルメディアを使っていないかもしれないのだ。現状の課題解決型の取り組みにばかり目を向けていると、そのような落とし穴がある。常にユーザーやデバイス環境の変化に追従するために、トレンドを意識することもWeb担当者にとって重要な仕事だ。
企業サイトの役割
最近のユーザー動向の変化で特徴的なことは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスによるネット接触時間の爆発だ。全体のメディア接触時間はこの1~2年でさほど変化していないが、ソーシャルメディアから情報収集する人が増え、まとめサイトなどのキュレーションサービスも活発だ。検索においてはWebブラウザではなく、アプリで検索する人が増えてきた。これは、企業サイトに行かない、あるいはたとえ行ってもサイト内を回遊せずにすぐに離脱する人が増えていることを意味する。
はたして企業サイトは読まれるのかといった疑問の生じる時代において、どのような企業サイトならユーザーに必要とされるのだろうか。ポイントは2つある。
- 企業サイトは情報の発信元
企業サイトよりもソーシャルメディアの情報のほうが多く新しいのであれば、企業サイトに来る意味はない。つまり、企業サイトでは、一次情報としての情報の量と新鮮さが重要となる。企業サイトの一次情報を元に、ソーシャルメディアで拡散されたり、キュレーションサービスを通してユーザーが見たりする関係が理想的だ。
- 企業サイトは情報の受け皿
ユーザーがソーシャルメディアなどに拡散された情報を見て、「本当だろうか」あるいは「もっと詳しく知りたい」と思った場合には、最終的に企業サイトにやって来る。つまり、企業サイトは、さまざまな情報伝達経路からの受け皿となる。そこでより深い情報を提供し、理解を深めてもらったり、ファンになってもらったりするのが、企業サイトの目的だ。
そのためには、ユーザーにサイト内を回遊してもらわなければならない。このとき、知りたい情報にたどり着きづらいと、ユーザーはそのまま離脱してしまう。つまり、情報の深さだけでなく取り出しやすさが重要となる。情報があっても、見つけられなければ、ないのと同じだ。
企業サイトには情報の量、鮮度、深さが十分で
取り出しやすいことが求められる
Webサービス化を軸に使えるサイトに
より詳しい情報を求めて、ソーシャルメディアやキュレーションサービスから企業サイトにやってきたときに、ユーザーに負担をかけることになるのは昔ながらのディレクトリ型のサイトだ。下の階層まで情報をたどる作業は面倒だし、下の階層への行き方がわからなければ、そもそも情報があることにすら気づかない。
それに対して、ユーザーが来たときに、必要な情報や関連情報が簡単に手に入るサイトが「使えるサイト」だと服部は言う。たとえば、Facebookのタイムラインでは関連情報がどんどん出てくる。Amazonでお勧め情報がでたり、検索したりできるのも便利だろう。こういった、普段使っているサイトで便利だと思う機能を、自社サイトにも持たせれば、ユーザーはそのようなインターフェースに慣れているので説明なしに利用できる。逆に言えば、そういう環境でなければ快適とは思わなくなっているのだ。
「使えるサイト」の実例として、服部氏はWebサービス化でインタラクションの場を提供し、情報を取り出しやすくした事例をいくつか紹介した。
たとえば、ある機器メーカーでは、製品カタログを電子化しただけのようなディレクトリ型のサイトを、業界、利用シーンなどから情報を選択し、マトリックス型でマッチさせる方式に変えた。単なるカタログではなく、Webサービスとしての付加価値を提供することで、リピーター率が向上したという。ある企業では、問い合わせのヒアリングをWeb上のQ&Aであらかじめ行い、ユーザーだけでなく社内の利便性も向上させた。
また、特にスマートフォンでは画面が小さいので、欲しい情報にできるだけ効率よく接触できることが重要になる。
クラウドでスピードアップと運用効率化を両立
Webサービス化において課題となるのは、リニューアルに要する期間だ。スクラッチで開発する場合、柔軟な設計は可能だがそのための検討期間が長くなる。CMSのパッケージ製品を導入する場合は、それよりは短期間で可能だが、スクラッチ開発ほどの柔軟性がない。さらに、どちらもインフラやミドルウェアの保守が必要になる。
理想を言えば、ユーザートレンドの変化に追従するため、構築期間が短く、変化に応じて後から機能が追加できるのが好ましい。それを可能とするのは、クラウドCMSである。クラウドサービスであれば、インフラ設計のスケジュール確保やテストの工数、リスクが不要になり、インフラ保守は事業者側が行う。将来の拡張も簡単だ。
また、服部氏は「クラウドCMSなら、欲しい情報を簡単に取り出せるWebサービス化を短期間で実現できる
」と説明する。
コネクティの「Connecty CMS on Demand」は、DBを元に動的なコンテンツ(Webサービス)を構築するための基本機能を有し、かつ静的コンテンツと動的コンテンツの両方を同じプラットフォーム上で管理できるハイブリッドなCMS。クラウドサービスとして無償バージョンアップで機能が増え続けるため、デバイスやユーザー行動の変化にもタイムリーに対応できる。
既存のコンテンツも管理しながら、サイト上にWebサービスを迅速に構築し、かつWebサービスというインフラ上の管理やバージョンアップも視野に入れたサイト構築を考えるうえで、クラウドサービスの活用(クラウドCMS)という選択肢がある(服部氏)。
服部氏は講演の最後、WebサイトをWebサービス化するための選択肢としてクラウドサービスがあることを示し、講演をまとめた。
株式会社コネクティ
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