Webマーケで勝率9割の男が語る、クライアントの頼れるパートナーになる方法
制作会社や代理店で働くそこのアナタ。クライアント企業の多忙なマーケティング担当やWeb担当に、勝率9割の提案をして喜んでもらいたいと思っていませんか? その方法を、数多くのクライアント企業のWeb制作や広告支援、アクセス解析を手がける経験豊富なスペシャリスト、株式会社ジー・サーチの黒川智史氏に聞いてきました。この記事を読めば、アナタは今よりもさらにクライアントの頼れるパートナーになれるはずです。
多忙なクライアントのマーケ担当者にはどんな提案が響く?
制作会社や代理店の方もご存じの通り、とにかくクライアントのマーケティング担当者は忙しい。特に、BtoBビジネスの場合、専任のWeb担当者は少なく、販売推進や営業企画、広報といった部門の担当者が兼任しているケースが一般的だ。
では、ただでさえ忙しくWebの細かい施策まで手が回らない担当者にとって、どんな提案が響くのか。例えばこんなものはどうだろう。
こうした提案は、単にWebや広告制作の知識だけでなく、リスティング広告やアクセス解析に関する知識がなければ、結果に結びつけることが難しいのも確かだ。具体的な施策実行には、広告、制作、解析といった各施策の担当者が力を合わせる必要がある。
その上で、上述したような付加価値の高い提案を可能にするツールが存在する。それがGeolocation Technology社の提供する「どこどこJP」だ。
どこどこJPをGoogleアナリティクスと組み合わせることで確度の高い見込顧客リストが作れる
「どこどこJP」は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールと組み合わせることで、ページを閲覧した「企業」がわかるAPIだ。例えば、多くのクライアントでは、アクセス解析ツールを利用し、サイトや広告のアクセス動向を分析している。しかし、「どれだけの人がページを閲覧したか」「どういうキーワードでページに辿り着いたか」「最終的に購買に至った閲覧者はどれだけいるのか」といった指標だけでは、見込顧客を可視化することは難しい。ただでさえ忙しいクライアントの担当者であれば、なおさらである。
そこで、「どこどこJP」である。このツールはGoogleアナリティクスと組み合わせることで、企業名に加え、業種や従業員数、上場区分など、ビジネスに直結する属性情報を分析の軸とすることができる。これにより、Googleアナリティクスが“BtoBアクセス解析ツール”となり、クライアントにとって確度の高い見込顧客を可視化したレポートが作成できる。例えば、「価格ページを閲覧した企業」をリストアップすることで、検討段階の進んだ見込顧客、すなわちクライアントの営業担当者にとって確度の高い見込顧客リストを作成するといったことも可能となる。
コンバージョンに至る「経路分析」によるリードスコアリング
さらに、より商談につながる可能性の高い企業を見極めるためには、スコアリングによる分析が効果を発揮する。
特に、BtoBビジネスでは、見込顧客が製品やサービスの購入に至るまでに長い時間をかける傾向があり、アクセス解析にも長いスパンが必要です。通常のログ解析では、セッション単位でみるため、資料請求や申し込みという最後のセッションに至る経路しか分かりません。その点「どこどこJP」では、アクセス元の企業が特定できるので、その企業からのアクセスでコンバージョン(CV)前にサイト内のどのコンテンツを見ていたかがわかります。これにより、見込顧客が検討期間中にどんな行動をしていたかがわかるというメリットがあります(黒川氏)
例えば、「資料請求を問い合わせフォーム経由で行った」という行為をコンバージョンポイントと定義した場合、コンバージョンした見込顧客(企業)が過去に見ていたコンテンツを遡って分析する。分析の結果、共通して数多く閲覧されていたページがわかるので、それぞれのページにポイントをつけていく。
【ポイント例】
価格表ページ:重要度50ポイント
事例ページ:重要度20ポイント
【リードスコアリング表(例)】 | 【企業ごとのポイント表(例)】 | ||||||
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大分類 | 中分類 | スコア | A社 | B社 | C社 | ||
属性情報 | 業界 | ○○業界 | ○○ポイント | ○ | ○ | ||
事業規模 | ○○億円以上 | ○○ポイント | ○ | ||||
役職 | 部長以上 | ○○ポイント | ○ | ||||
導入時期 | すぐにでも | ○○ポイント | ○ | ||||
行動履歴 | 価格表ページを見た | 50ポイント | ○ | ○ | |||
事例ページを見た | 20ポイント | ○ | ○ | ||||
資料請求ページを見た | ○○ポイント | ○ | ○ | ○ | |||
自社イベントに参加した | ○○ポイント | ||||||
合計 | 100ポイント | 80ポイント | 150ポイント |
次に、コンバージョンしていない企業で、重要なページを閲覧している企業がいないかを見つける。
そして、見込顧客リストの中で、重要度ポイントのスコアが高い企業があれば、営業に渡すという段取りだ。これにより、案件化しやすい「確度の高い」見込顧客リストを営業に渡す効果が期待できる。アポ率13倍、成約率33倍という見込み顧客リストが作成できたという実例もある。
IPアドレスから企業を特定したリストは、Google AdWordsのリマーケティングでも効果を発揮
実際に、サイト制作や広告最適化といった提案を数多く手がける黒川氏は、「提案の勝率は8割から9割」と、ツールとしての付加価値の高さを強調する。
クライアントに一番響くセールストークは、「広告のムダを削減できる」というコスト面のメリットです。私たちが手がける案件では、Web広告はリスティング広告が不可欠で、特にBtoBクライアントの場合、Google AdWordsの費用対効果が高く、クライアントの競合会社によるクリック率が、平均で3%~5%くらいあります(黒川氏)
Google AdWordsをはじめとするリスティング広告は、基本的にクリック課金なので、クリックされると(クリックした人が誰であれ)広告料金を支払うことになる。それは、まったく購買につながらない競合企業がクリックした分も同じであり、“無意味な”コストということになる。この場合、広告費の3%~5%程度を無駄にしている可能性がある。
Google AdWordsは、IPアドレスを指定し、そのIPアドレスを利用しているユーザーが検索した際には広告を表示しないという「IPアドレスの除外」の設定が可能だが、競合に当たる企業のIPアドレスを調べるには、手間も時間もかかる。「どこどこJP」を利用すれば、Googleアナリティクスの解析結果から企業のIPアドレスを確認することができ、さらにリマーケティング広告の表示除外リストとして活用することも可能だ。これにより、競合除外を高い精度で一括して効率的に行い、無駄な広告料金の発生を抑える効果が期待できる。
例えば、リスティング広告に月100万円を投資している場合、IP除外だけで3万円から5万円のコスト削減効果がある計算になる。「どこどこJP」はアクセス数に応じた従量課金のサービスだが、「通常であれば、3万円から5万円あれば十分ペイできる」という。
リマーケティング広告によるリード獲得単価を最大で5分の1に削減可能
「どこどこJP」の導入メリットは、これだけにとどまらない。クライアントにもよるが、リード獲得単価(CPA)を3分の1から5分の1程度まで削減することが可能だ。
これは、リマーケティング広告やランディングページといったコンテンツの最適化をトータルで実施することが前提条件です。「どこどこJP」で判明した業種別に、例えば、製造業の人が広告をクリックしてランディングページにアクセスしたら、ページに表示されるコンテンツを動的に表示し、製造業向けの製品案内や詳細ページへの誘導を行います(黒川氏)
CPAが3分の1から5分の1程度に削減されるというのは、どの程度のコスト効果なのだろうか。
BtoBビジネスでは、一般的に、CPAは1万円から2万円程度が目安で、1万円を切るとかなり安いといわれます。お客様の中には、CPAをあまり意識されていない方も多くいらっしゃいます。ヒアリングしてみるとCV1件あたり5万円、6万円というところもあり、そうしたお客様については、1万円や2万円のレベルにまで削減が可能です(黒川氏)
こうしたことはなぜ起きるのか。CVが“何か”が、きちんと定義されていない顧客や、CVが定義されていてもページに計測タグが入っていない、また入っていても、運用会社からきちんと結果が報告されていないケースがあるのだという。
ですから、制作会社としてまずやることは、お客様にCVタグを導入してもらい、CPAがどの程度あるのかを、ヒアリングすることかもしれません。獲得したリードがCRMシステムに登録され、商談化のためのアクションが取れることをCVと定義し、上述したような広告のコスト削減やターゲティング強化、CPA削減などの施策を継続的に提案、実施していくことが大事です(黒川氏)
企業属性を判定してランディングページ内の情報を出しわける
「どこどこJP」の実体は、IPアドレスに様々なデータを紐づけたAPIであるため、GoogleアナリティクスやGoogle Adwordsなど様々なツールと組み合わせて、ユニークな提案を行うことができる。アクセス解析や広告効果改善に加えて、ランディングページを企業属性によって切り替える「企業ターゲティング」という使い方がある。
これは、一見するとハードルが高いが、特に複数の商材を扱う大手企業の場合、「派生商品を見てほしいときには、ランディングページは一つで、コンテンツを動的に出し分けたいというニーズが高い
」傾向があるという。
企業ターゲティングでは、アクセス元のIPアドレスを判定し、JavaScriptなどを用いてコンテンツの表示を動的に切り替える。リスティング広告のコスト削減で捻出した原資を、こうした仕組みの導入に充てるという考え方も十分成り立ちそうだ。
クライアントのマーケティング担当者や上長に喜んでもらうことが大事
クライアントのマーケティング担当者は、決められた予算枠の中で結果を出すことが求められている。同じ広告予算で、リード獲得件数が増えれば、予算を増やすから、もっとリード獲得の効率を上げて欲しいという流れが必然的に生まれる。
制作会社としては、クライアントに結果を出してもらうことが大事ですが、担当者や上長に喜んでもらうことも大事だというのは意識しておいた方がよいポイントです(黒川氏)
では、提案の際に心がけていることはどんなことだろうか。
細かいことですが、クライアントへの報告会をどうセッティングするかという点にも配慮します。理想をいえば、クライアントの予算組みのタイミングで、4半期ごとであれば報告会は3か月に1回か、あるいは期の始めと終わりにセッティングします。そして、期の始めには、前期の効果測定の結果を報告し、期の終わりには次期の予算取りの提案をします(黒川氏)
クライアント側のマーケティングの担当者は、次の営業期のプランを出すように上長から求められている。その予算組みのための判断材料を、積極的に提供していくのだ。いわば、「待ち」の姿勢から「攻め」の姿勢への転換ともいえる。そうすることで、徐々に制作会社への心理的な依存度が高まり、「あの会社がいないと、なにかと面倒だ」とクライアントに思ってもらえるようになるのが理想だろう。
こうした点も、制作会社として、ぜひ押さえておきたいポイントだ。
解析で大事なのは「どこが悪いか」でなく「どこがよいか」がわかること
最後に、「どこどこJP」を活用して、効果的な施策の提案、および実施を継続していくために準備しておくべきことについて、アドバイスをいただいた。
広告でいえば、最低限、リスティング広告の知識は必要です。BtoBのクライアントの場合、CV率の向上や、広告の効率を考えるとリスティング広告の利用が最も一般的だからです。また、解析については、Googleアナリティクスの知識が最低限必要です。これもやはり、予算規模が小さいクライアントからエンタープライズまで、BtoBビジネスのお客様の多くがGoogleアナリティクスを利用しているからです。
解析で大事なことは、どこがよいかがわかることです。「ここが悪い」というのは誰でも言えるものです。反対に、いいところが見つけられる人は、解析データから何が読み取れるかという仮説を立てることも上手です。サイトの改善は褒めて伸ばすことを心がけたいものです。サイトの改善点を提案してほしいと言われ、そこでダメ出しをしたら、そのサイトが担当者の思い入れの強いサイトだった、という笑えない失敗談もありますので(黒川氏)
ここまで、Web制作会社や広告会社が、多忙なクライアント企業の担当者の「成果につながり」「喜んでもらえる」提案をするためのポイントを紹介してきた。
ぜひ、ツールを活用しながら、広告、解析、制作の知識やスキルを総動員し、クライアント企業のビジネスに直結した施策を実行することで、「頼りにされるパートナー」となるためのヒントにしていただきたい。
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参考情報:
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