Web担 オススメの課題図書

ノンデザイナーがデザイン仕事をするときに読んでほしい5冊+番外編1冊!

オススメの課題図書。今回は、Canva認定エキスパートとして活動するぺち丸さんに、デザイナーではないのにデザインの仕事をする人にオススメの書籍を教えてもらった。

業界の最前線で活躍する人におすすめの書籍を聞く本連載。今回は、Canva認定エキスパートとして活動するぺち丸さんに、デザイナーではないのにデザインの仕事をする人にオススメの書籍を教えてもらった。

Canva認定Expert ぺち丸さん

ノンデザイナーでCanva認定エキスパートに! 副業で活動するぺち丸さん

Web担当者Forumミーティングのセミナーレポートでも、顔を出さないぺち丸さん。「おや?」と思った方もいるかもしないが、Canva認定Expertとしての活動は副業だという。本業はデザインとは全く関係ない職種で働いているそうだ。

副業を始めたのはお子さんが生まれた頃。老後2,000万円問題が取り沙汰され、もう一つ収入の柱がほしいと考えブログを始めた。

ノンデザイナーのぺち丸さんはブログを始めて、アイキャッチやバナー、図解などを作成するためにCanvaを使うようになる。まだCanvaが浸透していない時期だったこともあり、Canvaをテーマにブログを更新することにした。

Canvaの魅力について「ノンデザイナーでもデザインができるところ」と語るぺち丸さん。プロのデザイナーとは力量の差があるが、そこに近づくためには無料から始められるCanvaが最適だと話す。

ちなみに、Canva認定Expertは、世界でも40数名しかいない。認定されるためには、各国のCanva担当者の目に止まり、推薦してもらう必要があるそうだ。

デザインを内製化するときに役立つ2冊

デザインを内製化することになり、デザイナーではない人がデザインの仕事をする場合に、少しでもよいデザインができるようになるために役立つ本を教えてもらった。

1冊目
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』(間嶋沙知:著 マイナビ出版:刊)

最初の1冊目がこちら。多様性が叫ばれる昨今、色覚多様性にも配慮したデザインをする必要がある。ぺち丸さんは「良いデザインができた!」と思っても、自分では気づかない見えにくさ、読みにくさがあるかもしれないと指摘する。

注意喚起のために赤で強調したデザインが、色覚特性によっては見えづらくて伝わらず、逆に危険になってしまうことがあります。書籍では、ビフォー・アフターが紹介されているので、避けるべきデザイン、望ましいデザインがわかります。加えて、デザインの基礎知識も解説されているので、初めの一歩にオススメです。見やすさはさまざまな分野のデザインに共通する知識なので、しっかり抑えてからデザインを始めましょう(ぺち丸さん)

見落としがちな色の見え方、色覚多様性に配慮したカラー設計をするためにぜひ読んでおきたい本だ。

2冊目
『デザイナーじゃないのに!』(平本久美子、よしだゆうこ:著 ソシム:刊)

2冊目は気軽に読めるマンガでありながら、デザインに必要な基礎知識が身につけられる書籍だ。ぺち丸さんは、「デザインの原則を知るうえで、一番わかりやすい本だ」と太鼓判をおす。

マンガの主人公は、デザイナーではないのに、職場でデザインの仕事を任される宿命にある人物。

フルカラーのマンガで、デザインの4原則である、整列、近接、強調、反復がわかりやすく解説されています。ノンデザイナーがチラシを作ると、つい詰め込み過ぎて情報量が多くなってしまいます。ところがこの4原則を意識すると、見やすいデザインを作れるようになります。ここまでデザインでの原則をわかりやすく書いてある本は他にないと思います(ぺち丸さん)

なお、同シリーズで『俺の資料がダサすぎる!』というマンガもある。こちらは、男性会社員が主人公で、同じようにデザインの知識が学べるのでオススメだという。

バナーを作成するときに役立つ1冊

ぺち丸さんがブログを運営するなかで、つまづいたことの一つがバナー作成。バナーは、必要な情報をぎゅっと配置して、かつクリックされやすいものにする必要がある。バナー作成で悩んだときに見つけた本が次の書籍だ。伝えたい情報が伝わり、人を動かすバナー作成のためにオススメしたい。

3冊目
『思わずクリックしたくなる バナーデザインのきほん』(カトウヒカル:著 インプレス:刊)

画像だけでどれだけ印象付けられるか、ユーザーの行動を促せるかについて、論理的、かつビフォー・アフターを示しながら紹介されています。目の動き方を意識した構成や、どの情報を目立たせるのがいいのかを具体的に示して、かつ自分で試すことの重要性を教えてくれます。さまざまなパターンが紹介されているので、自分の引き出しを増やすのにも最適な本です(ぺち丸さん)

サンプルが豊富なのが嬉しい。たとえば、50ページには、背景色の使い分けによって、情報が段階的に伝わるようになっている。

『思わずクリックしたくなる バナーデザインのきほん』のP.50とP.51

背景色を変えて段階的に伝えるというのは、自分にはなかった視点でしたが、例を見て腑に落ちました(ぺち丸さん)

少し上級者になったら読みたい1冊

ぺち丸さんは普段の仕事でも、文字がぎっちり詰まって読みにくいスライドを見かけることがよくあるという。情報量が多いのに伝わらない悪い例だ。その課題を解決するために読みたいのが次の4冊目だ。

4冊目
『けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本』(ingectar-e:著 ソシム:刊)

自分自身、段階的にデザインを学んでいきましたが、情報を全部載せてしまって読みにくくなることがありました。この本を読んで余白が足りなかったのか、と気づきました(ぺち丸さん)

「ノンデザイナーがデザインを学ぶとき、最初にこの本を読んでしまうと少し難しい」とぺち丸さん。自分でデザインできるようになり、もっとステップアップしたいなと思ったときに読んでみてほしいとのことだ。

Canvaを楽しく使いこなすための1冊

5冊目は、Canvaで「人生が変わった」というぺち丸さんが、Canvaを使ってもっと楽しいデザインができると伝えたいという思いから執筆した本だ。2024年12月10日に発売されている。

5冊目
『ちなみにそれ、Canvaでデキます!』(ペち丸:著 インプレス:刊)

Canvaは、「思ったデザインがだいたい作れるところがいいところ」とぺち丸さん。素材やテンプレートが豊富に用意されているので、それらを活用してもいいし、オリジナルで作成してもいい。

本書では、まずテンプレートの見つけ方、カスタマイズの仕方など基本操作を5ステップで紹介しています。順番にやればすぐ使えるようになるでしょう。プレゼンのスライド、チラシ、Webサイトまでオールインワンで作成できます。

さらに便利機能を105個紹介しています。Canvaはデザインだけではなく、QRコード生成、背景除去、モックアップなどさまざまな機能が用意されています。全部使うというよりも、自分の活動にあわせて必要な機能を使ってほしいです(ぺち丸さん)

モックアップとは商品の写真を別の背景になじませること。他のツールでは、別機能になっていることが多いが、CanvaならCanvaで完結できる。

なお本書では、さまざまな機能を紹介するにあたり、左側のページにイラストを載せ、右ページで解説されている内容のポイントを示している。

ぺち丸さんは、イラストを見れば何ができるのかが一目瞭然になるよう、工夫したという

デザインは集中して作業するので、本とにらめっこになって手順を追うのではなく、見る必要があるところはパッと見てわかるレイアウトにしました(ぺち丸さん)

また、ぺち丸さんが本書でこだわったのは、商用利用についてだ。

Canvaの利用規約を具合が悪くなるほど読み込みました。複雑な内容なので、利用規約のチャートを作成して掲載しました。これで、ビジネスでも安心して利用できるはずです(ぺち丸さん)

仕事で使うツールであれば、チームで利用することも多いだろう。Canvaは会社などチームで利用するための機能も豊富に用意されている。たとえば、ブランド機能を使えば、スライドのロゴ、フォント、カラーなどは設定したもの以外は使えなくなるので、チーム内で統一したデザインで資料を作成できるようになる。

番外編:デザイン以外の参考情報

次に紹介するのは、デザイン以外の書籍となる。ぺち丸さんがブログを始めたきっかけになったのが、この本だ。

番外編
『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑:著 サンクチュアリ出版:刊)

インプットだけでは脳に定着しないということが書かれています。感銘を受けたのは、アウトプットを前提にインプットすること。それを意識して、Canvaの機能を見つけては、Xやブログで伝えるようにしたところ、時間が経っても覚えていられるようになりました(ぺち丸さん)

前提にするアウトプットは、ブログ以外でもよい。「この本を読んだら友達に話そう」とアウトプットの未来をイメージする。そうすると、説明できるようにインプットするようになるからだ。

会社で後輩に教えるときも「これがわかったら発表してもらうよ」と伝えると、聞く態度が変わります。アウトプットを前提にすると、インプットの質が変わるんです(ぺち丸さん)

その他の情報源としては「NewsPicks」をあげる。一方でSNSの情報は基本的にあまり信用していないという。

NewsPicksには、有料会員限定の特集や、図解で解説する記事があり、わかりやすくて読みやすいです。有識者からのコメントがあるので、記事が間違っていたら指摘が入りますし、余計な情報を取らなくてもいいところが便利です(ぺち丸さん)

なお、Canvaの情報は、Canva認定Expertになる前は、すべてぺち丸さん自身で画面をクリックして試して入手していた。見つけたことを発信して他の人から「ありがとう」といわれることがモチベーションになったという。

Canva認定Expertになってからは、自分で探す努力も続けているが、Canva社からメールで事前にお知らせが届き、チェックできるようになった。届いた情報のなかに便利な機能があれば、ブログ「Cansil(キャンシル)」などで紹介しているそうだ。

◇◇◇

副業でのノンデザイナーでありながら、セミナー登壇、書籍執筆と大活躍のぺち丸さん。ノンデザイナーだからこその視点での書籍紹介が、とても参考になった。出版された書籍についても、こだわりポイントがたくさんあり、思いを込めて制作されたことが伝わってきた。

ぺち丸

Canva認定Expert

2019年にブログを始めたことをきっかけに、Canvaと出会う。
2021年、10月にCanvaJapna認定講師として活動を開始し、累計4000人以上に口座を実施。
2022年、CanvaユーザーのためのLINE公式アカウント「デキレバ」を開設。
2023年、3月に世界で43番目のCanva認定Expertになる。
Canvaの魅力と便利機能を日々SNSで発信中。
X:@pechimaru_life
ブログ:Cansil

用語集LINE / SNS / X
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

サブスクリプション
サブスクリプションを英語で書くとsubscriptionで、定期購読のことである ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]