オンライン・ソーシャルのクチコミを参考にする日本人。顧客サービスに対する意識調査結果
アメリカン・エキスプレス・インターナショナルは、日本を含む9市場で各1,000人ずつ合計9,000人の消費者に対して、顧客サービスに対する意識や考え方に関するインターネット調査を実施した。
今年で6度目となる本調査は、日本のほか、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、インド、香港、シンガポールの計9つの市場における18歳以上の9,000人が対象。日本の消費者1,000人の回答を中心とした調査結果は以下の通り。
新規購入決定の際、「企業の評判」を最も重視する日本人
新しい購入を決定する際、決め手となる基準として、日本、インド、メキシコでは「企業の評判」を最重要視する人が多く、他6市場では「友人・家族の勧め」(米国、英国、シンガポール)、「セール・販売促進活動(プロモーション)」(カナダ、イタリア、香港)が多くあがった。
日本市場での第2位は「オンライン・ソーシャルメディアの口コミ」(20%)で、1位の「企業の評判」(35%)と合わせると55%になり、過半数の人が「評判」や「口コミ」といった、社会や第三者の評価を購入決定の際に基準にしていることがわかった。
企業と長く付き合うには「商品」を重要視する日本人
サービスを提供する企業を選ぶときや、顧客であり続ける決め手となる重要な項目として、インドと日本を除く7市場で「コストパフォーマンスの高さ」が最も多く選ばれた。
日本だけが「商品」(48%)を選んだ人の割合が最も高く、商品そのものが高品質であることを重要視する人が多いといえる。また、インドだけが「顧客サービスの質」(84%)を選んだ人の割合が最も高く、日本とインドの市場の特異性が浮かび上がる結果となった。
一度でもひどい顧客サービスを受けると、過半数の顧客が企業を離れる日本
「企業の顧客サービスへの注力度合い」について、日本は「企業はより良い顧客サービスを提供するために注力していると思う」と答えた人の割合は32%で、他市場と比べて平均的な結果となった。
一方で、「企業はより良い顧客サービスの提供のために気を配っていない」との回答は14%と、9市場中で最も低く、企業の顧客サービスへの注力度は広く認められているようだ。
インドは「良い顧客サービスの提供により注力している」との回答が68%と、9市場中で飛び抜けて高く、インド市場において企業の顧客サービスへの注力度、重要度が非常に高いことがうかがえる。
「顧客サービス」への期待値が高く、質の高いサービスが求められる日本
一般的な企業の顧客サービスへの感想では、日本は「期待を上回る顧客サービスを受けている」(4%)と、「期待通りの顧客サービスを受けている」(41%)を合わせた割合が45%と半数を割り、9市場中で群を抜いて低い結果となった。
他8市場では、米国の81%を筆頭に、「期待を上回る/期待通りのサービスを受けている」と回答した割合が60~81%と、好意的な感想が多いのに対して、日本市場の「顧客サービス」への見方が非常に厳しいことが見て取れる。
「一度でもひどいサービスを受けたら企業を離れる」割合が最も多い日本人
「購入先の変更を検討する前に、何回までならひどい顧客サービスを我慢できるか」の問いに対し、「一度でもひどい顧客サービスを受けたら直ちに別の会社に替える」との回答は、日本を除く8市場では23~37%となり、大半の人が「2回か、それ以上我慢できる」と回答。
日本のみが「一度でもひどいサービスを受けたら直ちに別の会社に替える」割合が56%と過半数を占め、9市場中、突出して高い結果となった。
また、昨年度は同じ質問への回答が48%であったのを上回っていることからも、日本人の顧客サービス感覚は、よりシビアなものだった。
日本人は「礼儀正しさ」を最重要視、世界的には「効率」を重視
「顧客サービスを担当するプロの態度として最も重要だと思われるもの」の問いに対して、日本だけは「礼儀正しい」(28%)が最も多く選ばれ、丁寧で真心を込めた対応が最も重要視されていることがわかった。
昨年度は、顧客の身になってパーソナルな態度で接する「人間的であること」が最も多く選ばれたが、今年は「礼儀正しさ」が上回る結果となった。
イタリアは、唯一「十分な権限を有すること」(42%)が最も多く選ばれた国で、他の担当者に回されることなく、顧客の要求を処理できることが求められている。他7市場では、「効率を重んじる」ことが最も多く求められており、素早い対応が重要である。
今後全市場で「素早さ」が求められる。日本は「オンラインでの問題解決」の向上にも期待
「今後5年間で顧客サービスにおいて改善してほしい項目」では、全ての市場で「より素早く要望に対応してくれること」が最も多く選ばれた。
日本は「オンライン・モバイルを通じて問題が解決できること」(21%)の数値が高く、インターネット経由での手軽な問題解決が望まれている。
インドでは「役立つサービスやベネフィットの情報の提供をしてくれること」(30%)が選ばれた割合が他市場に比べて高く、顧客サービスから良い情報を得たいという要望が強いことがわかった。
日本人が顧客サービスを受ける際に「待てる時間」は13分
窓口や店舗など、じかに顧客サービスを受ける際に「待てる時間」では、インドが最長の「21分」となり、最も寛容で忍耐強くサービスの提供を待つことがわかった。
最短はイタリアの「11分」。日本の「13分」は9市場中2番目に短く、イタリアと、日本・カナダ・英国(いずれも13分)では、他市場と比較して、より素早い対応が求められる。
世界的に「悪い顧客サービス体験」ほど人に話す傾向
顧客サービスを受けた体験を人に話す際、インドを除く8市場において、「悪い顧客サービス体験を人に伝える」割合が多いことがわかった。
インドのみ「良い顧客サービス体験を人に伝える」(59%)が「悪い顧客サービス体験を人に伝える」(46%)を上回る。
日本では「悪い顧客サービス体験を人に伝える」(31%)は、「良い顧客サービス体験を人に伝える」(14%)の倍以上となったが、どちらの数値も低く、「顧客サービス体験を伝える」人が9市場中最も少ないことがうかがえる。
SNSでは顧客サービスについての「ポジティブな投稿」の方が多い
SNSに顧客サービスについてのレビューを投稿した際の内容については、9市場全てでポジティブな内容の方が多く、上記の「悪い顧客サービス体験ほど人に伝える」とは正反対の結果となった。
インド(73%)、メキシコ(60%)、米国(53%)ではポジティブな投稿が特に多い。一方で、インド(47%)、メキシコ(51%)ではネガティブな投稿も他市場に比べて多く、良い・悪い体験にかかわらず、多くのレビューが投稿される。
日本でもポジティブな投稿(21%)は、ネガティブな投稿(18%)をわずかに上回った。
日本では、新しい購入決定の際に基準にするものとして、「オンライン・ソーシャルメディアの口コミ」(20%)の割合が高かった一方で、SNSに投稿する人は9市場中で最も少ない。
顧客サービスにおけるSNS利用が最も多いのはインド、少ないのは日本
この1年の間に、インド(64%)とメキシコ(59%)は、顧客サービスの回答を得るためにSNSを利用したことがある人が多く、SNSが主要な手段のひとつとして利用されている。顧客サービスを受けることを目的にしたSNS利用が最も少なかったのは日本(19%)。
SNSを通じて顧客サービスへの不満を伝えた場合、「時々」解決される
SNSを通じて顧客サービスへの不満を伝えた際、全市場で「時々解決する」割合が最も多い結果となった。インド(39%)、米国(36%)は「いつも解決する」割合が高く、顧客サービスにおいてSNSを通じたコミュニケーションが活発であることがうかがる。
日本の「めったに解決しない/全く解決しない」(32%)割合は9市場中最も高く、顧客サービスにおいてSNSが効果的に活用されていない現状がわかり、日本人の顧客サービスにおけるSNS離れの原因とも考えられる。
調査概要
- 調査名:アメリカン・エキスプレス・グローバル・カスタマー・サービス・バロメーター
- 調査方法:オンライン
- 調査調査対象:18歳以上の男女サンプル数:計9,000名
- 調査実施地:日本、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、インド、香港、シンガポール
- 実施期間:2016年12月~2017年1月
- 調査協力:EbiquityPlc,(英国)
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