ビジネス目的別企業Webサイト成功の法則

広報活動から見た企業Webサイトに有効なコンテンツ

コンテンツ広報活動から見た企業Webサイトに有効なコンテンツ

プレス対応のコンテンツは「プレスリリース」だけではありません。本来の広報活動は広く世の中やステークホルダー全体を対象として行われるべきものです。報道の専門業種であるマスコミもステークホルダーの1つとしてとらえ、広報活動として機能するコンテンツとそのポイントについてまとめました。

  1. ニュース・お知らせ

    前項でポイントとしてお話しした、発信する情報を整理することにより、実は運用の問題が解決されます。情報の発信元は、IRならIR部、システムメンテナンスなら情報システム部、キャンペーンなら宣伝部など、情報内容と発信者がシンクロすることがほとんどです。情報発信元(コンテンツホルダー)が多岐にわたり、ユーザーにとって最適な掲載場所がさまざまであるにもかかわらず、トップページのニュース欄だけで掲載しようとすると運用に問題が生じます。

    • 掲載順が決められない(各部署それぞれが、自分の情報を一番目立たせたいので優先順位がつけられない)
    • 掲載したい情報要素が違う(日付を入れたい、「緊急」などのラベルを付けたい、文章をもっと載せたいなど)
    • サイト管理者に作業依頼が集中してしまう(最適な掲載タイミングを逃したり作業が遅延したりしてしまう)

    これらの問題を解決するには、ユーザーが閲覧するのに最適な場所(IRのニュースはIRサイト・コンテンツのコーナートップページ、販促情報は商品情報のコーナートップページなど)に掲載を分散し、それぞれのニュースを各情報発信元に管理・運用してもらうことがベストです。そうすることで、鮮度が高く内容も充実した情報がタイムリーに発信でき、ユーザーにも見やすいWebサイトが実現されます。情報発信元にWeb制作のリテラシーがなくても、簡単なCMSや更新ツールを部分導入するなど、技術的な解決策はいくらでもあります。

    あるべき運用体制
  2. プレスリリース

    インターネットが普及したからといって、企業の広報活動からマスメディアが対象外になったわけではありません。むしろマスメディアもインターネットを活用して情報収集の深さやスピードを増しているのが今日の状況だといえます。ですから、企業Webサイトにおいても前項のとおり消費者や投資家向けのニュースを充実させていく一方で、従来の報道発表をWebサイトに掲載することは必須だといえます。

    企業Webサイトにおける「プレスリリース」の掲載場所は、大きく以下の3パターンに分類されます。個別に特徴をみていくことにしましょう。

    1. トップページに「プレスリリース」としてリスト表示、そこから詳細ページへリンクさせる

      報道発表の回数が少ない場合に有効ですが、トップページでの掲載期間はあらかじめ定めておいたほうがいいでしょう。あまりに古い情報をいつまでも掲載していると「情報発信が積極的ではない企業」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。掲載する事柄がないときは、新着情報を表示せずに過去の一覧にリンクさせる構造が得策です。

    2. グローバルナビに「プレスリリース」のメニューを設ける

      報道発表が頻繁で、法人向けビジネスなど自社サイトを訪れるユーザーの多くに、しっかり見てもらう必要があるケースで有効です。

    3. 会社情報コンテンツ群の中に「プレスリリース」を設ける

      Webサイト全体が、ECサイトや消費者向けのサイトである場合に適切な構造といえます。販促情報的な報道発表(新製品や新サービスの発表、値下げや店舗の新開店など)の場合には、プレスリリースとは別に消費者向けに加工した「お知らせ」「News」といったコンテンツを制作し、Webサイトのトップページや商品・サービスのコーナートップページなど、ユーザーが見やすい位置に配置する手間をかけるのがポイントです。プレスリリース文は事実を伝えるためのものなので硬い文章となり、メディア向けの言い回しになっています。メディアに向けた場合は適切な表現ではあるものの、その内容をそのまま消費者に見せても魅力的には伝わりません。こうやってひと手間かけることで、販促とプレスリリースを両立できます。

      また、このケースで最近見受けられるのは、郵送やFAXでマスコミ各社に送付するリリース文のデータをPDF化してWebサイト上にプレスリリースとして掲載し、その中でも販促関連の情報は改めて消費者用にWebのコンテンツをつくり、販促情報の位置に掲載するというものです。運用負荷を少しでも軽減して有益なコンテンツ加工にリソースを充てる得策だと思われます。

  3. プレス素材の提供

    報道の専門家であるメディア各社に渡す報道資料というものがあります。自社商品の画像やロゴが掲載されることによって認知度向上が狙えるため、パソコンや化粧品メーカー、映画配給会社などはインターネットを通してマスコミ専用の素材の受け渡しサイトを設ける取り組みが進んでいます。印刷にも耐えうる高解像度、DTPで扱いやすいフォーマットのデータがダウンロードできると効果的です。掲載期限やダウンロード回数などの制限を設けている企業もあり、アクセス認証と併せて誰がいつ何をダウンロードしたかを管理する場合にも有効だといえます。

  4. プレス用問い合わせ

    広報活動全体はすべてのステークホルダーが対象になるため、Webサイトとしては各ステークホルダーに対応した問い合わせ窓口が必要です。マスメディア向けの対応窓口も同様に「プレス・マスコミの方はこちら」などと設けるのが得策です。プレスリリースごとに問い合わせ先が異なる場合は、各プレスリリースの下部に「このプレスリリースに関するお問い合わせはこちら」などとして、対応窓口名や連絡先を掲載するのが望ましいといえます。また、マスコミによる取材対応が可能なのか、可能だとすればどのような手続きが必要なのかを明記しておくとコミュニケーションロスを防止できます。

リスク自社サイト内に受け皿となるコンテンツを作る

上記にあげたような有効なコンテンツを用意すればすべてうまくいくかというと、そんなに簡単ではありません。必ずどこかに落とし穴が潜んでいるものです。Web担当者が陥りやすい問題点をあげてみました。

インターネット上の「投げ込み」を活用して集客を

いくら自社のWebサイトで広報活動をしても、見てほしい人がWebサイトに訪れてくれなければ意味がありません。Webサイトはユーザーが能動的に訪れることによってはじめて成り立つメディアのため、どうしても集客のための施策が必要になります。新聞などに情報を掲載してもらうには、記者クラブなどへプレスリリースの投げ込みを行います。ネット上でも同様に、主要なニュースサイトやメールマガジンなどに、プレスリリースを配信するサービスが存在します。これらリリース配信サービスを活用して、ニュースリリース配信と同時に受け皿となるコンテンツを自社のWebサイト内に設けておきます。自社を認知していない層のユーザーにも広く告知し、自社サイトへの集客が可能となるのです。

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