意外と不評な行動ターゲティング手法、7割が抵抗感/広告に対する意識調査
Webマーケティングガイドでは、インターネット調査会社のメディアインタラクティブと共同で、「広告」に関する調査を行った。広告全般のなかでも、インターネット広告は、市場の拡大とアドテクノロジーの進化により、その形態が少しずつ変化してきている。今回の調査では、広告に対するさまざまな意識について、ユーザーの経験と意識という2つの側面から分析している。
調査結果の要約
- 60%以上のユーザーが「広告から得をした経験がある」と回答
- そのメディアは、インターネットが88.7%でもっとも多く、次いでテレビの86.8%
- 約50%のユーザーが広告経由でオンラインショッピングを経験
- 半数以上のユーザーが、広告に対して不快感や不安感を覚えたことがある
- ユーザーがもっとも嫌うのは「誇大表現を使った広告」
- 約70%のユーザーは、Web上での行動データを収集されることを迷惑だと思う
“広告で得”、メディアとしては「インターネット広告」がダントツ
まず、広告によってそれまで知らなかった商品やサービスに接し、「良かった・得をした」と思った経験があるかどうかを尋ねたところ、63.8%(319人)のユーザーが広告によって得をした経験がある(「非常にある」と「多少ある」の合計)と回答した。ユーザーによって“得”の定義はそれぞれだが、60%以上のユーザーが広告から何かしら良い経験をしていると言えるだろう。
この319人に対して、具体的にどういったメディアの広告で得をしたのか尋ねたところ、もっとも高かったのは「インターネット」で88.7%。次いで、「テレビ」の86.8%、そして「雑誌」の64.9%が続く結果となった。
さらに、このメディアのなかでもっとも多く得をした経験のあるメディアを聞いたところ、「インターネット」がもっとも多く42.3%、次いで「テレビ」の38.9%、そして「雑誌」の10.7%とほぼ同じ順位となった。
この結果はあくまでもユーザーの自己判断であるし、インターネットリサーチの結果だという点も考慮する必要があるが、インターネット広告の場合、直接的に購入や資料請求に結びついていること、また能動的なメディアであるためユーザーの記憶に残りやすいメディアであることなどは、特性の違いとして考えられるだろう。
なおインターネット広告経由でオンラインショッピングをしたかどうかを尋ねたところ、「広告経由以外からオンラインショッピングを行った」ユーザーの方が多く67.4%。「広告経由でオンラインショッピングを行った」と回答したユーザーは50.4%となった。具体的な広告の種類では「メールマガジン」と回答したユーザーがもっとも多く70.2%。次いで、「バナー広告」の57.1%、そして「リスティング広告」の16.7%が続く結果となった。
“広告への不快感”、若年層とシニア層が高めに
広告に対して不快感や不安感を感じたことがあるかどうかを尋ねたところ、「ある」と回答したユーザー(「非常にある」と「少しある」の合計)は51.0%となった。
この結果を性年代別に分析してみると、男女別では男性:50.5%、女性:51.6%と両者にはそれほどの差異がないものの、年代別では、20代:65.6%、30代:49.0%、40代:41.2%、50代:51.1%、60代:52.9%と、20代と60代の回答率が高く、逆に40代では平均よりも10ポイント以上低い「V字型」となっていることがわかった。
どのような広告を迷惑だと思うかを尋ねたところ、もっとも回答が多かったのが「誇大表現を使った広告」で72.8%。次いで、大きく差は開くものの「自分にとって関係のない商品を扱った広告」の39.8%、そして「何回も目にする広告」の32.6%が続く結果となった。2位以下の回答に規則性を見出すのは難しいが、誇大表現を使った広告と回答したユーザーが圧倒的に多いことから、「ユーザーは期待を裏切られることをもっとも嫌っている」と言っていいだろう。
男女別の意見を比べてみたところ、全体的には大きな違いがないものの、「誇大表現を使った広告」については、男性が68.8%であるのに対し女性は76.3%と、7.5ポイントも高い結果となっている。
年代による違いはあまりなく、どの年代においても「誇大表現を使った広告」を迷惑だと思うユーザーがもっとも多く、次いで「自分にとってあまり関係のない商品やサービスを扱った広告が続く結果となっている。メールマガジンや検索結果連動型広告などは、年齢が高くなるにつれ迷惑と感じるユーザーが増えるのではないかと予想されていたが、年齢による違いは(ネットユーザーに関しては)あまりない。
行動ターゲティング広告には7割が抵抗感あり
最後に、ネット広告の特徴的な手法でもある「ユーザーの行動データ取得による広告配信システム」(行動ターゲティング広告)についても質問した。「興味や関連のある広告を配信するために、あなたの行動(WEBサイトの閲覧履歴など)が記憶されているとしたらどう思いますか」と尋ねたところ、70.8%のユーザーが「メリットのある広告のためとはいえ、個人の行動を記憶さる事には抵抗がある」と回答した。「自分にとってメリットのある広告が得られるのであれば良いと思う」と回答したユーザーは22.0%で、6.6%のユーザーは「わからない」と回答した。
米国の調査会社、eMarketerによる調査でも「個人情報につながるものでなければ行動データの記録は気にならない」と回答したユーザーは23.6%だったという(データ元:「行動ターゲティング型広告とプライバシに関する調査/eMarketer(英語)」)。日本と海外において、意識に大きな差は見られなかったわけだが、国民性以上に、「7割以上が抵抗感を持っている」という現状についていかに考えるかが、ネット業界の人間なら重要なポイントとなるだろう。
調査概要
- 調査対象
10代〜60代までの男女500人
性別:男性47%、女性53%
年代別:10代1.8%、20代18.6%、30代31.8%、40代23.8%、50代17.2%、60代6.8% - 調査期間
2009年9月25日〜2009年9月28日 - 調査方法
インターネットリサーチ - 調査実施機関
株式会社メディアインタラクティブ
- 本調査は、業界の全般的な調査であり、あくまでも指標となるものですので、参考データとしてご活用下さい。業種や取り扱っている商品、またユーザーの属性によっても調査結果は大きく異なると考えられます。
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