最新のユニバーサルアナリティクス事情をおさらい。GAの古い知識を整理しよう[第0回]
この連載では、初心者に向けたGoogleアナリティクス入門を解説していく。その前の準備編として、Googleアナリティクスの複数あるバージョンを整理しておこう。Web上にあるさまざまな記事には新しい情報から古い情報まで交ざっているため、自分が使っているGoogleアナリティクスのバージョンを最初に押さえておくことは大切だ。
タイトルにも入っている「ユニバーサルアナリティクス」とは、Googleアナリティクスの最新バージョンのことを指す。ユニバーサルアナリティクスの1つ前のバージョンに名前が付いていないため、「Googleアナリティクス」といった場合に、Googleアナリティクス全体のことを指すのか、1つ前のバージョンのことを限定して指すのかよくわからないのが不便なところだ。
そこで本連載においては、サービス全体の名称として総称する場合は「Googleアナリティクス」、最新バージョンを指す場合は「ユニバーサルアナリティクス」、1つ前のバージョンを指す場合は「従来のアナリティクス」と表現することにする。そもそもどこまでの範囲を1つのバージョンとして定義するかはグーグルも明示していないので、厳密性はご容赦いただきたい。
- Googleアナリティクス: サービス全体の総称
- ユニバーサルアナリティクス: 最新のバージョン
- 従来のアナリティクス: 1つ前のバージョン
Googleアナリティクスのバージョンをブックマークレットで調べる
そのサイトがどのバージョンのGoogleアナリティクスを使っているかは、HTMLソースを見れば判別できる。難しければ、次のブックマークレットを使うことでも確認できる。ただし、複雑な実装をしているサイトでは正確に表示されない場合もある。あくまで簡易的なチェックとして利用してほしい。
- まず上のリンクを「ブックマークレット」としてブラウザに保存する
- Internet Explorer: リンクを右クリックして[お気に入りに追加]
- Firefox: リンクを右クリックして[このリンクをブックマーク]
- Google Chrome: リンクをブックマークバーにドラッグ&ドロップ
- バージョンを確認したいサイトをブラウザで表示する
- さきほど保存したブックマークレットを実行する
すると、次のようにバージョンが表示される。すでに自社サイトでGoogleアナリティクスが導入されているなら、実装されているバージョンを確認しておこう。
ユニバーサルアナリティクスへのバージョンアップは、旧トラッキングコード(ga.js以前)のサポート停止が宣言されてから最低でも2年間は有効とされており、2016年4月末時点で、まだサポート停止の宣言はされていない。一方で新機能は最新のユニバーサルアナリティクスでのみサポートすると言われているので、サイトのリニューアルなどの機会があれば、可能な限りバージョンアップしておくことをおすすめする。
- Universal Analytics Upgrade Center
https://developers.google.com/analytics/devguides/collection/upgrade/
ユニバーサルアナリティクスの3つの特徴
これからGoogleアナリティクスを始めるなら、最新のユニバーサルアナリティクスを扱っていくことになるだろう。ユニバーサルアナリティクスの大きな特徴は、次の3つが挙げられる。
- 新しいトラッキングコード「analytics.js」
- 新しいデータ収集方式「Measurement Protocol」
- ユニバーサルアナリティクス独自の新機能とレポート
それぞれについて見ていこう。
新しいトラッキングコード「analytics.js」
ユニバーサルアナリティクスを利用するには、「analytics.js」というJavaScriptを計測対象のサイトに実装する必要がある。もし従来の「ga.js」などのJavaScriptが実装されている場合は、JavaScriptを貼り替えなければならない。
詳しい実装手順は連載の続きで解説するが、トラッキングコードは以下の手順で確認できる。
- 「アナリティクス設定」をクリック(図1赤枠部分)
- 「トラッキング情報」(図1青枠部分)をクリック
- 「トラッキングコード」(図1緑枠部分)をクリック
- 「トラッキングコード」が選択される(図2赤枠部分)
- Webサイトに実装するトラッキングコードが表示される(図2青枠部分)
最新の「analytics.js」で大きく変化したのは、これまで実装時にトラッキングコードを書き換えてカスタマイズしなければならなかったいくつかの機能が、修正なしで利用できるようになったことだ。管理画面上で設定を行うだけで、オプションの機能が有効になる。つまりHTMLソースを修正しなければならなかった作業が不要になり、省力化されたのだ。
その機能は、先述の図1黒枠部分のうち「User-ID」以外の項目が該当する。ここでは1つずつ解説はしないが、機能をオンにするチェックを入れるだけで、各項目の機能や処理を利用できる。
新しいデータ収集方式「Measurement Protocol」
Measurement Protocol(メジャメントプロトコル)とは、簡単にいえば「インターネットに接続しているどのような機器からでも、Googleアナリティクスで集計可能なデータを送ることができる」データ収集方式のこと。計測の範囲が通常のWebサイトやアプリの利用行動に限定されなくなる、大きな変化といえる。
たとえば、メールマガジンをHTMLメールで作成しているなら、HTMLソースに画像タグを含めてそのリクエストをグーグルに投げるという方法で、メルマガの開封率を確認できる。これは従来のアナリティクスではできなかった手法だ。Measurement Protocolによって、より広いデータを分析できるようになる。
Measurement Protocolについては別途特集記事を書いたので、詳しく知りたければ下記を参照してほしい。
- <特集>ユニバーサルアナリティクスの新しい仕組み「Measurement Protocol」とは?
http://web-tan.forum.impressrd.jp/l/10830
ユニバーサルアナリティクス独自の新機能と新レポート
ユニバーサルアナリティクスで新たに実現できるようになった機能もある。大きくは、次の5つだ。
- User-ID
- 拡張eコマース
- カスタムディメンション
- カスタム指標
- データ連携
各項目の詳細については連載の中で解説していくが、ここでは簡単に紹介しておこう。「User-ID」「拡張eコマース」「カスタムディメンション」「カスタム指標」の機能は、トラッキングコードのカスタマイズとアナリティクス設定での指定が必要だ。最後の「データ連携」は、現実的にユニバーサルアナリティクスを利用しないと実現は難しいので、ユニバーサルアナリティクスの機能といってよいだろう。
機能名 | 内容 |
---|---|
User-ID | ログイン情報などを利用して、別ブラウザでも同一人物と認識してユーザー単位で集計する仕組み |
拡張eコマース | 商品の閲覧、カート投入、クーポンの利用、購入など購入に至るまでの経験を広くレポートできる仕組み(図3赤枠部分) |
カスタムディメンション | 新しい「ディメンション」(=分析軸)を作成できる機能(図3青枠部分) |
カスタム指標 | 新しい「指標」(=集計数値)を作成できる機能(図3青枠部分) |
データ連携 | 外部のデータをGoogleアナリティクスに取り込む仕組み。「カスタムディメンション」か「カスタム指標」を定義しておく必要がある(図3緑枠部分) |
有料の「Googleアナリティクス プレミアム」「Googleアナリティクス 360 スイート」とは?
最新のユニバーサルアナリティクスがどんなものか、従来のアナリティクスとどのような違いがあるのかイメージはつかめただろうか?
さらに、有料版の「Googleアナリティクス プレミアム」というサービスが存在し、その統合パッケージである「Googleアナリティクス 360 スイート」も発表されている。Googleアナリティクス プレミアムには固有の機能があるが、さまざまなオプション製品があり一般化しにくいので、本稿では言及しない。
本連載は入門なので、有料のハイエンド製品を利用している場合は、無料版とは仕様やレポート画面が異なる場合もある。そこは承知のうえでご覧いただきたい。
次回の第1回では、アカウントの作成方法からスタートする。
ユニバーサルアナリティクスのリリース以降に追加される機能については、基本的にユニバーサルアナリティクスでしか利用できないという話があった記憶があるのだが、集計処理で対処可能な新機能については、従来のアナリティクスでも使える可能性が高いと思われる。
たとえば最近リリースされた「計算指標」(2015年夏ごろから順次リリース)という機能(図4赤枠部分)については、ヘルプではユニバーサルアナリティクス限定の機能とされているが、従来のアナリティクスでも問題なく動作している。
- About calculated metrics [beta]
https://support.google.com/analytics/answer/6121409/
この「計算指標」は標準で用意されている各指標の加減乗除の計算式によって定義した新しい「指標」を作成・命名しておくことができ、この「指標」を使ったカスタムレポートを作成することができるというものだ。
また、新機能「ユーザーエクスプローラ」は、個々の匿名ユーザー(正確にはブラウザ)の閲覧ページの明細を見ることができる機能で、この機能も従来のアナリティクスのままで利用できる。ユーザーエクスプローラについては次の記事で解説している。
- Googleアナリティクス期待の新機能「ユーザーエクスプローラ」を徹底解説
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2016/05/12/22763
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html
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