グーグル、PC検索でもCWVを組み込むページエクスペリエンスアップデートを開始【SEO情報まとめ】
Googleは、これまでモバイル検索だけが対象だったCWV(コア ウェブ バイタル)の検索評価への組み込みを、PC検索でも開始した。ページエクスペリエンス アップデートのデスクトップ向けだ。
加えて、これに便乗して発生するだろうSEO業者の営業にも注意してほしい。
ほかにも今回は、一見すると普通だが読んでみるとなかなかおもしろいネタが揃っている。「上位表示要因は3つだけ」「アドセンス遅い」「SEO初心者向けグーグル公式動画」「CWVとインデックス」などなど、ぜひ全体を眺めてほしい。
最後の「ヤフーのIE11 サポート終了」も、地味だが日本ではなかなか重要なトピックだ。
- グーグル上位表示に必要な要因は極論すると3つだけ
- アドセンスのせいでページ表示が遅いけど、グーグルは大目に見てくれるよね?
- ページ数が多ければ多いほど検索トラフィックは増えるのか?
- 2022年3月のオフィスアワー: ペイウォール、ソフト404、robots.txtの更新をGoogleに通知などテクニカルな話題多め
- SEO初級者のための動画シリーズをグーグルが公開
- コアウェブバイタル改善はインデックス改善にも役立つか?
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今週のピックアップ
グーグル、PC検索でもCWVを組み込むページエクスペリエンスアップデートを開始
事前の予告どおりに展開開始 (きらきら☆あんなたん on ツイッター) 国内情報
PC検索にもページエクスペリエンスアップデートの展開をグーグルが開始した。
グーグル検索セントラルの公式ツイッターアカウントがアナウンスを出しており、あんな氏が日本語でリツイートしてくれた。
ウェブ担当者の皆さま、
— きらきら☆あんなたん (@piropiroanna) February 23, 2022
ページエクスペリエンスのアップデートがデスクトップ向けにもロールアウトし始めました。三月末にかけて完了する予定です。 https://t.co/fBF9Plx4sy
モバイル検索では、ページエクスペリエンスアップデートの展開は昨年6月に始まり、8月に完了している。PC検索への導入は、昨年11月に事前告知していた。
PC検索での展開スケジュールは告知どおりだ。
- 2022年2月に導入開始
- 2022年3月末までに完了
おさらいとして確認しておくと、ページエクスペリエンスアップデートでは、次のシグナルをランキング要因に用いる(これらのシグナルをまとめて「ページエクスペリエンス シグナル」と呼ぶ):
重要なアップデートではあるが、目立つ順位変動は起きないだろう。理由は次の2つだ:
- ランキング要因としては弱い(関連性より重要な要因ではない)
- ゆっくりと展開が進む
so.laの辻氏も次のように言っている:
デスクトップへのPage Experience Update、Core Web Vitalsなどをランキングに影響させる変更が開始したとのこと。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2022年2月22日
既に導入済みのモバイル向けでは(極めて稀な例外的ケース以外では)目に見えた影響は無いため、今回もおそらくは影響は無いはず。ただ今後変化する可能性はあるので無視は出来ませんが。 https://t.co/jXsmSlarU4
ということは、この件をことさらに強調するSEO業者の営業には注意するべきだろう。サイバーエージェントの木村氏も次のように心配している:
デスクトップもページエクスペリエンスに影響することになった件で、どうせまた「ランキングに大きく影響するのですぐ修正しなければいけません」営業が多発するんだろうなあ。デスクトップ比率が少ないところは影響かなり少ないと思う。モバイルだってあんなもんだったんだし。
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) 2022年2月23日
とは言え、「検索ランキングに影響しないから」という理由でページエクスペリエンスアップデートを無視するのはおすすめしない。ユーザー体験が悪いサイトのままでは、結局はユーザーに嫌われる。逆に、ユーザー体験を高めれば、サイトで目指す成果にポジティブな影響を及ぼしてくれる。
- すべてのWeb担当者 必見!
グーグル検索SEO情報①
グーグル上位表示に必要な要因は極論すると3つだけ
関連性・リンク・ユーザーの満足 (Cyrus - Zyppy SEO on Twitter) 海外情報
Google検索での上位掲載に必要な要因を、ランクごとに端的にまとめた情報が興味深い。Cyrus Shepard(サイラス・シェパード)氏がツイッターで共有したものだ:
Google検索で上位掲載させる方法(超簡略版):
- 2ページ目以降 ―― 関連性
- 1ページ目下位 ―― 関連性+リンク
- 1ページ目上位 ―― 関連性+リンク+ユーザーの満足
シェパード氏はSEO業界の有名人で、前回のこのコラムで紹介したtitleタグ書き換えの分析と対策を披露した人物だ。
かなり簡素化したものだとシェパード氏は断りを入れているが、シンプルで腑に落ちる。
関連性があれば少なくとも検索結果のどこかには食い込めるだろう。
しかし1ページ目にランクインするにはリンクが関わってくる。すべてのクエリでリンクが必須ということではないだろうが、概して言えば、リンクは今でも影響力を持つランキング要因だ。
さらに、1ページ目の上位表示を目指すならユーザーをいかに満足させられるかも関わってくる。ユーザーが求めるコンテンツを確実に提供することもそうだし、心地よくサイトを利用できるようにすることも欠かせない。
How to Rank On Google - the Extremely Abbreviated Version:
— Cyrus - Zyppy SEO (@CyrusShepard) February 22, 2022
A. Page 2 & Beyond — Relevant Content
B. Page 1, Bottom — A + Links
C. Page 1, Top — A + B + User Satisfaction
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
アドセンスのせいでページ表示が遅いけど、グーグルは大目に見てくれるよね?
特別扱いしない (John Mueller on Twitter) 海外情報
Google AdSense(アドセンス)のせいでページ表示が遅くなっていると、Lighthouseが指摘している。アドセンスはグーグルのプロダクトだから気にしなくてもいいだろうか?
こんな質問を、グーグルのジョン・ミューラー氏が尋ねられた。
ブログなどではGoogle AdSenseを、メディアではGoogleアドマネージャーを、それぞれ広告掲載用の仕組みとしてよく利用していることだろう。
この2つは、どちらも非常に便利なのだが、ページ表示を遅くする原因でもある。広告サーバーから最適な広告を取得して表示する処理に、どうしても時間がかかってしまうからだ。
「でも、グーグルのサービスだから大丈夫でしょ」と思う人もいるかもしれない。
ミューラー氏は次のように答えている:
一般的に言えば、ページ表示が遅くなっている原因がグーグルのプロダクトだとしても、遅いということに変わりはない。
何が原因でページ表示が遅くなっているかは、Google検索にもユーザーにも関係ない。遅いものは遅いのだから。
このやりとりを見て、別のユーザーは次のように指摘している:
パフォーマンス監査では、ページ表示が遅い原因がグーグルのサービスであることが多々あります ―― アナリティクス、タグマネージャー、広告サービス、フォント。
どう対処すればいいのでしょうか?
これに対してミューラー氏は次のように明言している:
グーグルのサービスがページ表示を遅くしているのであれば、次のどちらかの対処になるだろう:
- 問題にならないように実装する
- 別のサービスを検討する(そのときはフィードバックを送ってほしい)
ページエクスペリエンスに関しては、グーグルのプロダクトだからといって特別扱いしてはいけない。
アドセンス広告がページエクスペリエンスを悪くしているという話はときおり耳にする。しかしグーグルの検索チームは、同じ会社のサービスだからといって手心を加えたりはしない。
ミューラー氏が言うように、グーグルの製品だから遅くてもかまわないとユーザーは大目には見てくれない。可能ならば、技術に詳しい人と相談しながら、改善を進めるのがいいだろう。たとえば、次のような手法が考えられる:
- サイトにタグを入れたのが昔ならば、最新のタグに変える(新しいタグでは非同期読み込みなどが追加されている場合がある)
- タグ自体やタグが読み込むスクリプトのURLをprefetchしたりドメイン名をDNS prefetchしたりする
- Google AdSenseならば、遅延読み込みを実装する
- Google Ad Managerならば、enableSingleRequestやenableLazyLoadなどを実装する
I don't know what in particular you're referring to - it sounds like something to bring up with them. In general, if your page is slow (or otherwise problematic) because of another Google product, it's still slow. We - and users - don't care why a page is slow. Slow is slow.
— 🐐 John 🐐 (@JohnMu) February 15, 2022
It is serious. If Google services are slowing your pages down in ways you don't want to accept, either integrate them differently, or consider other services (and please send them feedback too). Don't special-case Google products when it comes to page experience.
— 🐐 John 🐐 (@JohnMu) February 15, 2022
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ページ数が多ければ多いほど検索トラフィックは増えるのか?
品質が良いページを毎日4ページ書いたら? (John Mueller on Twitter) 海外情報
あるブログ運営者が、次のような問い掛けをグーグルのジョン・ミューラー氏にした:
品質が良い記事を毎日4記事書いて公開したら、魔法をかけたようにサイトのSEO品質が上がりますか?
ミューラー氏よりも前に、他のブロガーが次のように答えた:
- 品質が良い記事を毎日4記事なんて作れるものではない
- 記事だけでなく、関係する要素は多々ある ―― ブログのジャンル、検索ボリューム、サイトの歴史、同ジャンルの競合などなど
- 正しい戦略を一貫して進めれば、ブログのSEOやトラフィックに影響が出る
コンテンツを多く作れば、それだけトラフィックが増えるものだ。
しかし、これに対してミューラー氏は次のようにコメントしている。
「コンテンツが多ければ多いほど検索トラフィックが多くなる」ということは、絶対にない。
ミューラー氏が異論をはさんだのは、他のブロガーによるコメントの最後の1文に関してだ。
サイトのページ数を単純に増やしても検索からのアクセスが増えたりはしない。10年ほど前ならたしかにそういうこともあっただろうが、現在のグーグルでは成り立つ法則ではない。
品質が良いページを増やすのは目指すべきことだとしても、それで上位表示や検索トラフィック増加が確実になるわけではない。
そもそも、「品質が良い」は自分がそう思うのではなく、ユーザー(とグーグルのアルゴリズム)がそう判断するものでなくてはならない。
読者にもグーグルのアルゴリズムにも「良い品質」だと判断されるコンテンツを増やしていけば、検索トラフィックが増える可能性はあるだろう(しかしそれは容易なことではない)。
(1) You can't create 4 quality blog posts per day (2) It also depends on your niche, search volume, website age, competition around your niche, etc (3) Consistency with the right strategy does impact your blog SEO and traffic. More content means more traffic.
— Meer Basit (@IamMeerBasit) 2022年2月13日
No, more content definitely does not mean more traffic.
— 🐐 John 🐐 (@JohnMu) February 14, 2022
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
2022年3月のオフィスアワー: ペイウォール、ソフト404、robots.txtの更新をGoogleに通知などテクニカルな話題多め
テクニカルな質問が多め (Google ポリシー オフィスアワー on YouTube) 国内情報
2月のオフィスアワーが開催された。金谷氏とあんな氏が回答したのは次の質問だ:
テクニカルな質問が多い。上記リンク先は再生時間から始まるようになっているので、気になる質問をすぐに視聴できる。
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