75%のユーザーがPCとモバイルの同期化に積極的/モバイルのウェブサイトに関する調査
Webマーケティングガイドでは、モバイルインターネット調査会社のネットエイジアリサーチと共同調査のもと、モバイルのウェブサイトについて実態調査を行った。
ソフトバンクのY!ケータイに始まり、KDDIのau one、そしてドコモはGoogleと包括的提携をするなど、ケータイ業界とPC業界の垣根がなくなりつつある。
本調査では、モバイルユーザーにおけるPCの普及状況やネット(モバイルもPCも)利用状況、そしてPCとモバイルの連動(同期化)への意向を尋ね、モバイルとPC業界の展望を伺っていきたいと思う。
※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。
70%以上のユーザーがモバイルインターネットを1日に1回以上利用
まず、インターネットの利用頻度についてモバイルとPCのそれぞれについて尋ねた(Q1-1)。
まず、モバイルインターネットでは、「1日に数回」と回答したユーザーが圧倒的に多く60.3%という結果となった。次いで、「1日に1回程度」が10.7%で続いており、モバイルでインターネットを1日に1回以上の割合で利用するユーザーは全体の70%以上に及ぶことがわかった(※本調査では、モバイルを使ったEメールはインターネットに含んでいない)。
ただし、1か月に1回よりも少ない、または利用しないと答えたユーザーも11.3%いる。
次いで、PCでのインターネット利用頻度をみる(Q1-2)と、モバイル同様「1日に数回」が34.8%で最も多く、次いで「1日に1回程度」が10.4%で続く結果となった。順位こそ同様だが、1日に1回以上の頻度でインターネットを利用するユーザーは49.3%にとどまっている。
また、1か月に1回よりも少ない、または利用しないと答えたユーザーは21.7%と、モバイルのそれを10ポイント以上上回る結果となった(本調査はモバイルインターネットを利用して行った)。
注目すべきは、モバイルでのインターネットとPCによるインターネットでその利用頻度に違いがある(PCの方が少ない)点である。『ケータイ白書2008』で、携帯電話やPHSでのウェブ利用者のうち、19.2%が「パソコンでインターネットはしない」と答えていることからもわかるように、PCではリーチしづらいターゲット層がいることが伺える。
フルブラウザ機能の利用率は女性の方が若干高い
次に、モバイルのフルブラウザ機能の利用状況を尋ねた(Q2-1)。その結果、「まったく見ない」と回答したユーザーが半数以上の53.3%を占める結果となった。
「よく見る」が5.8%、そして「たまに見る」が17.1%となっており、本調査におけるフルブラウザ機能の利用率(「あまり見ない」を除く)は22.9%であることがわかった。
また、フルブラウザ機能の利用実態を男女別にみる(Q2-2)と、「よく見る」では男女ともに5.8%で並んだが、「たまに見る」では、男性の14.5%に対して女性が19.8%となっており、利用率(「よく見る」と「たまに見る」の合計)は男性で20.3%、そして女性で25.6%と女性の方が若干高いことがわかった。
不満は、「操作性」と「表示速度」
モバイルサイトを利用していて不満だったり、使い勝手が悪いと思うことがあるかを尋ねた(Q3)。その結果、「特にない」と回答したユーザーは8.1%と少なく、多くのユーザーが何らかの不満や使い勝手の悪さを感じていることがわかった。
具体的には、「スクロールが面倒くさい」という回答が最も多く50.1%。次いで、「表示速度が遅い」が48.7%、そして「料金(パケット代)が高い」が35.4%で続く結果となった。
料金についてはパケット定額制の普及が確実に進んでおり、2007年9月時点で31%が利用している。そして1年後の2008年9月には44%まで普及すると推測されている(『ケータイ白書2008』より)ものの、この結果を見ると、パケット定額制の料金自体も、安いと認識されていないことが伺える。
モバイルサイトに求める要素は、「操作性」「スピード」「見やすさ」
さらに、モバイルサイトにどのような要素を求めるかを尋ねた(Q4)。
その結果、「操作のしやすさ」と回答したユーザーが最も多く62.0%。次いで、「スピード」が53.6%、そして「見やすさ」が47.5%で続く結果となった。
Q3では、モバイルサイトを利用していて不満に思う事を尋ねたが、その中で「表示速度が遅い」と回答したユーザーは全体の48.7%にも及ぶ事がわかっている。
表示やダウンロードのスピードは利用している機種に依存する部分が大きいのだが、すべてのユーザーがそれを正しく理解しているとは考えにくい。むしろ、機種ではなく”サイトのせい”であると考えてしまうユーザーが多いという前提で、サイト運営者はサイト設計をする必要があるだろう。
モバイルサイトは情報収集・暇つぶしのための存在
次に、モバイルユーザーにとってモバイルサイトはどういった存在なのかを尋ねた(Q5)。
その結果、49.3%のユーザーが「情報収集するもの」と回答しており、他の回答に大きな差をつけた。
次に回答率が高かったのは「暇つぶしをするもの」だが、その数は27.8%とトップと20ポイント以上の差が開いた。
PC世代と呼ばれる1999年のi-mode登場以前からPCのインターネットに触れていた世代、もしくはPCを普段から頻繁に利用しているユーザーにとっては、モバイルサイトの使い勝手や情報量は不十分であり、「暇つぶし」程度の存在にとどまっていると考えがちである。
ただし、今回の調査結果を見る限り、モバイルサイトは暇だから利用するものと考えているユーザーよりも、情報収集という必要性に対する解決策として位置付ているユーザーが多い事が伺える。
また、「商品購入をするもの」と回答したユーザーは6.1%と低い水準にとどまっている。モバイルコンテンツフォーラムの調べによると、2005年4,074億円だったモバイルコマース市場は、2006年には5,624億円となり、対前年比138%の成長を見せている。中でも、物販系市場は対前年比168%の成長を見せており、モバイルコマースは確実にモバイルユーザーの中に浸透してきていると考えられる(※参照:「モバイルコンテンツ関連の市場規模/モバイルコンテンツフォーラム」)。
ただし、「モバイルサイトとは商品購入をするためのもの」と回答したユーザーは少なく、”買い物=モバイル”という水準にまでは到達していないようである。
70%以上のユーザーがモバイルとPCの同期化に肯定的
最後に、モバイルとPCの情報を連動(同期化)したいと思うかを尋ねた(Q6)。なお、ここで言う同期化とは、PCのメールをモバイルで受信したり、PCで登録しているサービスをモバイルで利用したりすることなどを指している。
その結果、モバイルとPCの同期化を「非常にしたい」と回答したユーザーは27.5%にも及んだ。
また、「少ししたい」と回答したユーザーを含めると、その数は74.5%となり、多くのユーザーが同期化に対して肯定的である事が伺える。
Q1-2の結果で、30%以上のユーザーがPCのインターネットも利用している事を考えると、モバイルとPCとの連動はユーザーの利便性や満足度を高めるために欠かす事のできない要素なのではないだろうか。
調査概要
- サンプル数:345
- 調査期間:2007年12月28日~2007年12月29日
- 調査方法:モバイルリサーチ
- 調査機関:ネットエイジア株式会社
- 対象者:16歳~49歳までの男女
- 割付:男女50%の均等割付
- 本調査は、業界の全般的な調査であり、あくまでも指標となるものですので、参考データとしてご活用下さい。業種や取り扱っている商品、またユーザーの属性によっても調査結果は大きく異なると考えられます。
- より詳細な業界動向や、ターゲット層に合わせたリサーチにご興味をお持ちの方は、リサーチアウトソーシングサービスをご活用ください。
- 本調査結果の単純集計を無料でご提供させていただきます。
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調査対象は、15歳~49歳のモバイルユーザー345人。男女比は、男:173人、女:172人の割り付けを行った。キャリア比は、Docomo:55.9%、Ezweb:33.0%、Softbank:11.0%、年齢比は、10代:16.5%、20代:27.5%、30代:33.9%、40代:22.0%とした。
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