信頼されるコンテンツを作るための4つのやり方
十分な信頼性を築けないと、デジタルマーケティングは失敗する ―― 今ではコンテンツの制作や宣伝も職務の一部として行うようになったSEO担当者にとっては、特にそうだ。
信頼できないコンテンツは共有してもらえない。共有したものが自分の評判や信頼に影響することを、人々は知っているからだ。
これまで、信頼性の大切さについて、ついでのように触れられることはあっても、信頼性を構築するには具体的に何をすればいいのかについては、ほとんど語られたことがなかった。
信頼性構築のためのガイド
信頼性を構築するには、「自分は信用できるんだ」というシグナルを読者に送ることだ。
信用のシグナルは、著者から、サイトから、そしてコンテンツ自体から発信される。
シグナルの種類によって、うまく伝わる読者のタイプや状況はさまざまだが、それらが全体として1つになって、共有するに足る信頼性を持ったコンテンツを形成する。
ランドは「コンテンツマーケティングのマニフェスト」という記事で、信頼性について、親しみを生み、リンクを獲得し、信用を構築するために必要な要素の1つだと述べている。
また、宣伝や共有において信頼性が果たす重要な役割を明らかにした研究も、世の中にはいくつかある。では、信頼性の構築を始めよう。
1. 専門家によって信頼性を構築する
専門家がもたらす信頼性は、ほかの人にない知識を持っていることに由来する。
「新しい技術」「工学」「最先端科学」「法律」といった、難しい話題やわかりづらい話題を理解しようとするときなどは、人々は自分が理解できて信用できる専門家を求める。
専門家になる、あるいは見識ある専門家を雇う
「ブログの信頼性」に対するユーザーの評価との相関性が最も高かったのは、「洞察に富んだ」コンテンツだ(シラキュース大学の研究による)。自分がよく知らないことについて興味深い洞察を提供することはできないため、当然、自分が専門家になるか、専門家を雇うことが必要になる。
目を引くニュースを提供できない専門家でも、質の高い分析や意見を提供することで価値を付加できる。口頭によるものであれグラフィックスであれ文章であれ、ニュースを別とすれば、最も成功するコンテンツは分析と意見なのだ。
しかし専門家は、複雑な問題を、読者が理解してついてこられるようにわかりやすく表現できなければならない。これは、サイトのために動画や文章のコンテンツを作る際の鉄則だ。わかりやすく表現することを専門家自身ができない場合には、コンテンツライターを使い、専門家にインタビューして専門家の情報を引き出してもらう。
専門家を見つける
専門ではない分野で、専門家を装って意見を述べようとしてはならない。これはうまくいかない。
自分がよく知っている問題について、専門家ではない人が書いたコンテンツを読んだ経験は誰にもある。専門知識に基づいて書かれたコンテンツがどんなものかわかっている人には、専門家のふりをしても簡単に見破られてしまう。
専門家を気取っても、ささいな間違いを1つでも犯せば、その議論をほんとうに理解し影響力を持つ人の信頼はすべて失われる。そのコンテンツはリンクも共有もしてもらえないだろうし、それ以後あなたのコンテンツをまったく共有してくれなくなるかもしれない。そんな危険を冒してはならない。
もし自分が専門家ではないのならば、専門知識があるみたいに見せかけようとするよりも、専門家を見つけてその知識をあなたの記事に取り入れてみよう。ジャーナリストたちは、この戦術を昔から知っている。ジャーナリスト自身が専門家であっても、ニュースや分析にほかの専門家の言葉を引用する。ワシントンポストのテクノロジー面のトップページはたいてい、引用符と「~によると」があふれている。
ブログ運営者は、重要な意見を述べるに足る見識を持つ人の意見を、簡単に引用できる。確固とした意見を持っている専門家は、たいてい、その意見を共有してほしいと思っているものだ。
熱意によって信頼を構築する
信頼性の判断と共有するかどうかの判断には、熱意が重視されることが、調査で明らかになっている(シラキュース大学の研究とペンシルベニア大学の研究より)。読者が求めているのは、単に説明ができる専門家ではない。そのトピックに深い関心を持っている専門家なのだ。
自分が何を語っているのかをわかっている専門家は、自分の理解している問題について、微妙なニュアンスを備えた洗練された意見を持っているものだ。その深い理解を、皮相なコンテンツによって損なってはならない。専門家による記事は、考え抜かれた深いものでなければならない。
「市民連合vs連邦選挙委員会」の裁判について本当に関心を持っている法律の専門家なら、判決の趣旨や今後の政治への影響について、当たり障りのないエッセーを書くのに時間を割いたりはしない。SEOの専門家だって、Googleがゲスト投稿ネットワークにペナルティを科したという事実など、わざわざ報じようとは思わない。専門家が関心を持ち説明したいと思うのは、その是非の理由だ。
専門家の意見を議論と混同するべきではない。意見の異なる人と戦いを始める必要はないのだ。
情報源を明示する
専門家の知見については、すべて情報源を明示すること。情報源を明確にするのは、あなたの主張を裏付けて信用を得る最も明確な方法だ。
多くの場合、情報源を示すには、情報を得たウェブページへリンクを張るだけでよい。
「~と言われている」「~と多くの人が考えている」といった曖昧な言葉を使って、引用の責任を回避してはならない。ベテランのライターや編集者は本能的に、情報源を不必要にぼかそうとしているコンテンツのタブを閉じる。
データを示す
ニュース的な記事だけではなく、時にはデータを付け加えよう。データはほかのものでは得られない信頼性を生む。数字に関しては、著者の経歴や人気などより、あなたの情報源や方法論の方が重要だからだ。データは、正しく集めて分析すれば、データ自体が語ってくれる。
1つ例を紹介しよう。
あるとき、コムキャストとタイム・ワーナーが合併するかもしれないという話をCableTV社のチームが耳にした。しかし、このニュースを単純に報じても時間の無駄だということは明白だった。大手メディアが軒並み報じれば、簡単に作ったニュース記事など、すぐに埋もれてしまう。
そこでCableTV社は、数字をわかりやすく処理し、米国の国勢調査のデータとサービスエリアのデータを比較し、サービスエリアと人口に関する分析が一目でわかるようにして公開した。
この記事は、いくつかの大手報道機関が分析に利用し、さらにredditの創設者(アレクシス・オハニアン)が投稿で共有したため、この分析は最終的に約6万人の目に止まった。
現在は、JavaScriptライブラリやHTML 5ツールがさまざまに出されていて、特に技術に強くなくてもデータをおもしろく視覚化できるようになった。
たとえば、マップを作るなら、simplemaps(上記の記事で使っている)、Mapbox、Google Fusion Tablesなどがある。
グラフ化などのデータ処理ツールもたくさんあるが、これから始める人はこのサイトがいいだろう。自分のニッチに関連する記事を書く合間に、国勢調査のデータをはじめとするさまざまな情報源でデータを収集して、ニュースが出たらすぐに使えるようにしておこう。
もっとヒントが欲しい人には、ケーン・ジャミソン氏が、データドリブン型コンテンツマーケティングに関するコツを常時提供しており、たとえば以下のようなプレゼンテーションがある。
2. 立場が持つ信頼性を生かす
「立場が持つ信頼性」とは、人々の地位や肩書きに由来する信頼性のことだ。
よく知られている組織の場合に特に顕著だが、地位の高い人のほうが、権威があるとみなされ、真剣に受けとってもらえる可能性が高い。
重要な事柄は重要な人に書いてもらう
人々は、知らないライターが書いた記事より、知らないCEOが書いた記事のほうを信頼する。実際には、CEOよりもライターのほうが、その話題についてより詳しいとしてもだ。
良くも悪くも、人々は正式な肩書きや地位に簡単に影響される。
「重要」という言葉の定義は人それぞれかもしれない。会社が大きくなれば、CEOたちはおそらく定期的にブログを書く時間などなくなるだろうし、そうしようという関心も薄くなるだろう。しかし、人気の高い42floorsのブログは、ほとんどすべてを創業者が書いている。
ゲスト投稿をエグゼクティブに書いてもらう
わかっている。僕は「ゲスト投稿はもうたくさんだ」という記事を書いた人間だ。それに最新のペナルティを見ると、Googleも同じ考えだとわかる。しかし、ゲストブログのネットワークに対するGoogleの(行きすぎたほどの)反応は、多くのゲスト投稿に信頼性と専門知識が不足していたことが主な原因だったのだと僕は考えている。
だれも読まないであろう小さな無名サイトに、エグゼクティブの時間を無駄に使ってはならない。そうではなく、地位の高い人や有名な人物が書いた記事を、有名サイトに売り込むことを考えよう。
その好例が、住宅用不動産サイトのTruliaだ。上層部がグーグルのブログやウォール・ストリート・ジャーナルにゲスト投稿を行い、また、ビジネス・インサイダーなどのサイトからインタビューを受けている。もちろんこのMozも、創業者たちが頻繁に記事や動画を投稿するサイトの1つだ。
肩書きを工夫する
コンテンツを共有してほしければ、著者は名実ともに専門家であるべきだ。肩書きのために肩書きを変えるのは馬鹿げたことに思えるかもしれないが、「編集長」「~記者」「~専門家」「~ライター」といった肩書きは、単なる「著者」や「寄稿者」よりも重みがある。自分のコンテンツや電子メールを読む人に、肩書きが何を伝えるのかを考えてみよう。当然だが、著者は実際にその内容の専門家でなくてはならない。
ただし、片っ端から奇抜な肩書きつけるのは、信頼を損なう恐れがあるのでやめよう。ウォール・ストリート・ジャーナルが、「デジタル忍者」や「マーケティング・カウボーイ」を名乗る人物の言葉を引用するとは僕には思えない(肩書きをテーマにした記事ならいざ知らず)。
地位が高い人からの引用
また、コンテンツに信頼性を与えるために、ほかの人物の地位を役立てる方法もある。
これが特に有効なのは、最近のニュースへの鋭い見解を求めている場合だ。企業幹部、政府高官といった地位の高い人の発言を引用すると、独自性が演出でき、どこかの誰かのジャーナリズム活動に乗っかってニュースをまとめる、ありきたりなブロガーではないのだと示すことができる。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。4つの方法のうち、今回は2つを紹介した。後編となる次回は、残る2つの方法について説明する。 →後編を読む
ソーシャルもやってます!