「サイトをどう改善すれば成果が伸びるか」をAIが教えてくれるってホントですか? WACULの垣内氏に聞いた
Googleアナリティクス、放置していませんか?
この質問にドキッとする担当者は多いのではないだろうか。
いまやGoogleアナリティクスはほとんどの企業で利用されている。しかし専門の担当者でもいない限り、アクセス解析とサイト改善に長い時間を費やすのは難しい。
GoogleアナリティクスのデータをAIが自動で分析して、たとえば「○○へのリンクを追加するとコンバージョンが伸びますよ」といった具体的な改善提案までしてくれるツールがWACULが提供する「AIアナリスト」だ。そのAIアナリストに、SEOで狙うべきキーワードをAIが教えてくれる機能が追加されたという。
WACULでAIアナリストの事業責任者を務める垣内氏に、詳しく話を聞いた。
私は「アクセス解析なんて人間はやらなくていい」と思っているんです。時間もかかるし、難しいし、ミスもしやすい。こういうことは機械に任せて、人は「成果を生む」ことに時間と手間をかけてほしいと思います(垣内氏)
「GAは導入しているが放置している」人が7~8割
――まずは「AIアナリスト」について教えてください。
垣内AIアナリストは、GoogleアナリティクスのデータをAIが自動で分析してくれて、「ここを改善すればいいんじゃないか」というところまで提案してくれるツールです。
――主にどんな立場の人に向けたサービスなのでしょうか?
垣内Googleアナリティクスを導入してはいるけれど、放置しているという人は本当に多いんです。私は前職ビービットという会社でコンサルティングをしていましたが、感覚では7~8割のお客さんがそうでした。分析したレポートを作っても、それをなかなか生かせない。とにかく忙しくて時間が足りないんですね。
コンサルティングもやはり大企業が中心で、中小企業までなかなか手が回りませんでした。「Googleアナリティクス自体は無料で使えるのだから、もっと多くの企業が成果を出せるように」という思いでスタートしたのがAIアナリストです。
――実際、どんな人が利用しているのでしょうか?
垣内AIアナリストは2015年5月にスタートして、2018年1月現在で約19,000サイト登録していただいています。今でも月に1,000件ペースで登録数が増えています。
たとえば社長自身がAIアナリストを見ていることもありますし、総務や派遣社員の方が使っていることもあります。Googleアナリティクスに慣れている人でも、時間短縮のためにAIアナリストを利用するというケースもあります。
AIが「伸びしろ」と注意すべき「変化」を教えてくれる
――具体的にどんなアドバイスをしてくれるのでしょうか?
垣内大きく分けると「伸びしろ」と「変化」を教えてくれます。「伸びしろ」は、「Webサイトのどこをいじればコンバージョンが伸びるか」を教えてくれます。
「変化」は、たとえば「急にコンバージョン率が下がった」など、いつもと違う傾向の数字が出たときにアラートを出して知らせてくれる機能です。過去のトレンドを学習して変化をとらえるのは、AIが強い部分ですね。
基本的には、難しいことを考えずにツールが出すメッセージを見るだけなのですが、「改善しろといわれても、実際にどうすればいいかわからない」という声に応えるために人のサポートも提供しています。たとえば、具体的な修正案をパワーポイントで作って提案するといった具合です。将来的には、修正案までツールが出してくれるようになればいいなと考えています。
GAとSearch Consoleのデータから、狙うべきキーワードを独自のロジックで提案
――今回お聞きしたいのは「SEOで狙うべきキーワードをAIが提案してくれる機能」についてです。
垣内2017年12月に追加した「検索キーワード候補分析」ですね。検索キーワード候補分析もアドバイス機能の一部で、「コンテンツにこのキーワードを入れると、コンバージョン率がこれくらい上がりますよ」ということを教えてくれます。
――キーワードはどのような仕組みで提案してくれるのですか?
垣内AIアナリストは、GoogleアナリティクスとSearch Console両方のデータを見ています。少し技術的な話になりますが、APIを利用して両方のデータを取得し、独自のロジックで解析しています。要は、サイト内の各ページについて、AIアナリストはそのページについて、Googleアナリティクスの訪問データとSearch Consoleのデータ両方を持っていて、それを突き合わせて分析しているわけです。
――なるほど! Googleアナリティクスでは、検索エンジンがHTTPS化したことで検索キーワードをほとんど見られなくなりました。Search Consoleのデータを使っているのですね。
垣内はい。それらのデータをAIアナリストが独自のロジックで解析して提案を出しています。それ以外にも、サイト内で使われている言葉、Wikipedia、辞書データなども参考にしており、自然言語の解析にAIが使われています。
ただし「○○すればコンバージョンが上がりますよ」ということを教えてくれるわけですから、そもそもGoogleアナリティクスでコンバージョンの設定をしていないとこれらの機能は使えません。コンバージョンさえ設定していれば、あとはGoogleアナリティクスとAIアナリストを連携するだけで利用できます。
アクセス解析なんて、人間はもうやらなくていい
――Web担当者Forumの読者は、企業内でWebサイトやデジタルマーケティングを担当している人がメインです。AIアナリストを使うと、どんないいことがありますか?
垣内まずはなによりも売り上げやサイトの成果がアップします。AIアナリストは「コンバージョンが上がる」方法を提案してくれるわけですから。そして、普段アクセス解析に使っている時間を省略できます。その時間を、もっとほかの大事なことに使えるようになるわけです。
売り上げに直結しない、たとえばコーポレートサイトの場合でも、何かしらコンバージョンが設定されていれば問題はありません。目的が採用なのか、認知なのか。もし「何がコンバージョンなのかわからない」という場合は相談してください。一緒に考えましょう。
――サービスを利用するにはどれくらいの料金が必要なのでしょうか。
まずは無料版でお試しいただくことをおすすめします。AIがどんな提案をしてくれるかを見るだけなら、無料版でも問題ありません。有料だと人のサポートがつくため、サポート担当と二人三脚で改善に取り組むことができます。数多くのサイトで成果を創出してきた担当がアドバイスを行うので、改善の効果が大きくなることが期待できますよ。料金はサイトの規模にもよりますが、月額6万円から利用いただけます。
――AIアナリストは、今後どのように進化していくのでしょうか?
垣内私は「アクセス解析なんて人間はやらなくていい」と思っているんです。人がやると時間もかかるし、難しいし、ミスもしやすい。こういうのは機械に任せて、人は「成果を生む」ためにもっと時間と手間をかけてほしい。
先ほど「改善案もツールが出してくれるように」と言いましたが、ツールが「○○を改善してください」とコメントを出すと、お客様から「その改善をやってもらえないか」とアクションを求められることが多いんです。今後は、たとえば自動でコンテンツを書いてくれる半AIライターのような、アクション部分の機能を強化していくことを考えています。
ゆくゆくは、企業の規模にかかわらず人間が「OK」を出すだけで成果が出るようになればと考えています。
- AIアナリスト
https://wacul-ai.com/ - WACUL
https://wacul.co.jp/
ソーシャルもやってます!