ついにUA廃止! GA4と併用した使い方や移行前にすることとは?
【この連載について】
いよいよ本格的な移行が始まった「Google Analytics 4 プロパティ」(Googleアナリティクス4:GA4)。これまでは、Googleアナリティクス(UA)が、サイト解析に欠かせないツールとしてWebマーケターに使われていましたが、それに代わる存在として、今後はGA4が主流になっていくと考えられています。
この連載では、『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。
【今回のポイント】
- Googleアナリティクス(UA)とGA4の違い
- GA4の一番の特徴は、[探索]メニューが登場したこと
- 導入時にまずやることは
- 「UAも併用して使う」
- 「コンバージョンを設定しておく」
- 「イベントデータの保持期間を伸ばす」
の3つ
これまでのGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス:UA)は来年には使えなくなります。つまりGA4の導入は必須です。でも安心してください、来年7月まではUAと並行して利用できます。慣れていくためにもまずはGA4での計測を開始しながら、少しずつ機能や特徴をつかんでいきましょう。
今年3月16日に、Googleアナリティクスのユニバーサルアナリティクス(UA)のサポート終了が正式に発表されました。「2023年7月1日からは新しいデータ処理はできなくなる」という内容です。
Googleは過去のデータに少なくとも半年間はアクセスできると明言していますが、同時に以下の2点を“強く”推奨しています。
- レポートをエクスポートすること
- Googleアナリティクス4(GA4)に移行すること
実はGA4はリリースされてすでに1年以上経っています。それでも「導入もさることながらGA4って結局どうなの?」「何がどう変わるの?」など不安に思っている方が多いのが現状です。
今回はGA4になかなか踏み込めない人たちに対し、これまでのGoogleアナリティクス(UA)との違いや、GA4の特徴について解説します。
まずはUAとの違いを把握しよう
レポート画面の見た目や項目の変化
まずは実際のレポート画面を見てみましょう。下図はこれまでのGoogleアナリティクス(UA)でのレポート画面です。画面左のメニューは[リアルタイム][ユーザー][集客][行動][コンバージョン]が並んでいます。
次はGA4のレポート画面を見てみましょう。レポートの結果はもちろんですが、左のメニューの項目がガラッと変わりました。
UAに慣れ親しんだ方は戸惑うかもしれませんが、これまであった項目がなくなったり統合されたりして、[ライフサイクル]という名称になり、[集客][エンゲージメント][収益化][維持率]という区分になっています。新しい[ライフサイクル]のメニューでは、その言葉どおり、ユーザーがサイトに訪れてからリピートするまでの一連の行動サイクルがわかるようになりました。
さらにUAの多くのレポートで出てきていた「直帰率」という指標がなくなり、「エンゲージメント(率)」という新指標が登場しています。
エンゲージメントは以下のいずれかを満たした場合にカウントされます。
- 10秒を超えて継続したセッション(60秒まで設定変更可能)
- 2個以上のイベントの発生(2PV以上含む)
- CVイベントの発生
これは、「直帰」という指標では正しく把握できなかったユーザー行動の理解へとつながる、大きな変更点です。計測方法の変化と合わせて、さらに補足しておきます。
計測方法の変化
UAでは計測単位は「ページ」で計測方法は「セッション(訪問)」が軸でした。しかし、GA4では計測単位は「イベント」で計測方法は「ユーザー」に変更されています。
計測ポリシー比較
Googleアナリティクスのバージョン | 計測単位 | 計測方法 |
---|---|---|
UA(旧) | ページ | セッション(訪問) |
GA4(新) | イベント | ユーザー |
この変化のポイントは、今の時代の消費者行動をより理解するために必要となります。たとえば、あるページを訪れた2人の行動を見てみましょう。
- ページを訪れた際に直感的に「このページには自分の求めるコンテンツがない」と判断して、数秒で離脱した。
- ページを訪れた直後にページ内の動画を10分閲覧して、その後コンテンツを読み進め、最後にページ下部のPDFをダウンロードして、送客先の外部リンクでページを去った。
この場合、2名の行動はまったく異なるにもかかわらず従来の計測方法では、同じ「直帰」としてカウントされていました。こういった指標ではユーザー行動を正しく把握できているとは言えません。
しかしGA4では
- ページを最後まで読んでくれたのか?(スクロールしてくれたか)
- PDFをダウンロードしてくれたのか?
- ページ内のYouTube動画が見られたのか?
- 外部リンクをクリックしてくれたのか?
などを自動で取得できます。「1ページ見た」という行動も含めこれらのユーザー行動は、1つのイベントとして計測されます。これによりユーザーの行動を正しく理解して分析できるようになりました。
なお今紹介した[レポート]メニューは、あくまで集計用のレポートとして全体状況の把握には使えますが、分析するレポートはGA4では別に用意されています。
探索メニュー(分析ツール)の登場
GA4の一番の特徴は、[探索]メニューが登場したことです。前述の[レポート]メニューがサイト全体の状況把握を行うレポートに対して、[探索]は分析するためのツールと捉えてください。UAで利用していたセグメントも[探索]で利用できます。
ただし、[探索]メニューをクリックするだけでは何もデータは表示されません。GA4では「何を分析したいのか?」をあらかじめ定めておかないと活用できないのです。
テンプレートとしては以下のようなものが、一応用意されています。
- 自由形式
- 目標到達プロセスデータ探索
- 経路データ探索
- セグメントの重複
- ユーザーエクスプローラー
- コホートデータ探索
- ユーザーのライフタイム
ここで、動線分析に使える[経路データ探索]を見てみましょう。「始点」という始まりのページを選ぶと、そこから各ページにどのくらいの数が遷移しているかを見ていくことができます。これは意図したページに遷移してくれているかを検証することに活用できます。また「終点」という最後のページから遡ってユーザーの動線確認もできます。これはコンバージョンに至るまでのコンテンツの分析に役立ちます。
探索においては特定の条件のデータを抽出するためのセグメント機能も活用できますので、マーケターとしての腕の見せ所です。まだ試していない方はぜひ一度触れてほしい機能です。
GA4導入において注意すること
早々にGA4を導入しUAも併用して使おう
「慣れているUAのほうがやっぱり使いやすいから、GA4の導入はしたくない…」と思っている人がいるかもしれません。しかし、安心してください。UAとGA4は併用できます。これまでのUAを残したままGA4を導入してください。
逆に、以下のような不都合があるので、GA4を導入したからといってUAを削除しないようにしましょう。
- UAのデータが引き継がれないので、GA4のデータは導入したタイミングからしか計測されない
- 指標の定義が異なるのでしばらく併用しながらどのくらいセッションやコンバージョン数に差異が出るのか把握する
いくら「UAに慣れているから」と言っても、UAが廃止になるタイミングまで待ってからGA4を導入していては、データがありません。そのため、見れるレポートもなければ分析もできないのです。
存在しない過去データとの比較もできないので、UAのデータと照らし合わせるしかないのですが、前述のとおりUAとGA4では計測の方向性が変わっています。同じ指標でも単純に比較ができません。なるべく早く導入して集計をしておくことをお勧めします。
コンバージョンを設定しておこう
GA4でも集計したデータを活用するには、コンバージョンの設定が不可欠です。
GA4ではイベント作成後にコンバージョンとして設定する必要がありますので必ず行いましょう。
イベントデータの保持期間を変更しよう
管理画面で「イベントデータの保持」の期間を「2か月」から「14か月」に変更しましょう。
「イベントデータの保持」の期間は、GA4の分析機能で説明した[探索レポート]が利用できる期限を表しています。分析可能期間はできるだけ伸ばしておきたいので変更は必須です。
最後に
GA4は、よくAIやBigQueryなどのキーワードと一緒に語られることがあります。その時点で、「あーなんかむずかしそうだなぁ」と思われている方も多いのではないでしょうか?
しかし、気にしなくて構いません。これまでと同じく、ユーザーの行動履歴をより詳しく集計してくれるツールと思ってください。もちろん、新しいUIやどんどん進化する機能に学習コストはかかります。しかし、貴社のお客様のことをより理解できるツールが無料で使えるのです。活用しない手はありません。まずは導入して、これから一緒に学んでいきましょう。
井水でした。
※2022年6月8日追記:記事の初出時より、一部記述を変更しました。
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