SEO専門家7人が語るテクニカルSEOの最新5大トレンド【2021年版】基礎+CWV(前編)
SEOにおいて、ウェブサイトの検索結果での上位表示されやすさ(Rankability、ランカビリティ)を高めるために、技術的な要素に大きな比重を置いている。しかし、これほど多くの新しい技術、ツール、指標(はっきり言ってしまえば「Core Web Vitals」のことだ)が登場するなか、こうした絶え間ないアップデートによって自分の技術寄りの取り組みが影響を受けることはないのか、気になる人もいるかもしれない。
2021年のテクニカルSEOの状況を探るため、この記事ではSEO業界の専門家7人に意見を訊いた。そこで明らかになった確かなトレンドを知るには、このまま読み進めてほしい!
中核となる必須事項は2021年もほとんど変わらない。すべてのSEO担当者は、クロールとインデックスの基本や、サイトが検索結果に表示されるようになる前に対応しておくべき技術的な基本を理解する必要がある。
Mozの検索サイエンティストであるドクター・ピート・マイヤーズは、そう言う。「いくら趣向を凝らしても、土台が抜けていてはどうにもならない」
では、その基本を構成するべきものとは? それを以下で説明しよう!
テクニカルSEOの最新トレンド1
基礎に重点を置く
技術的なベストプラクティスが「ベスト」であるのには、その背景となる理由がある。言い換えれば、テクニカルSEOの基本スキルについてしっかりと基礎固めをしておかなければ、必ずしも「ベスト」な結果につなげられるとは限らない。
コンサルタントのジョー・ホール氏は言う:
僕から見て、最も過小評価されているテクニカルSEO戦略は、常に基本的なベストプラクティスだ
意外に思う人もいるかもしれないが、僕のクライアントのほとんどは、SEOのさまざまなことについて、その重要性をなかなか理解できないでいる ―― ベストプラクティスについてはもとより、SEOのごく基本についてもだ。
その理由として考えられるのは、僕たちSEOコミュニティの習性だ。僕たちは「次善の策」に焦点と注意を向けており、テクニカルSEOの基本中の基本については、あまり話題にしてこなかった。これが大きな原因だと思う。
こうした基本事項には、
- クローラビリティ
- インデックス化
- アクセシビリティ
- サイトパフォーマンス
などの問題を認識して修正する方法だけでなく、対処すべき問題に優先順位を付ける方法を理解するといったハードスキルも含まれる。
SEOの専門家であるリリー・レイ氏は、次のように指摘している:
優先順位付けは、テクニカルSEOの初心者がまず取り組むべき改善領域だ。
というのもSEO初心者にありがちな行動として「些細なことを大きな問題と考えてしまう、実際はそうではないのに」というものがあるからだ。
レイ氏は言う:
新人や若手のSEO担当者はよく、(SEOツールから)得られた技術的項目の長々としたリストをクライアントや上司に直接送ってしまい、
- 修正するべき最も重要な項目を優先すること
- 無視していい項目を把握すること
のいずれもしていない。
多くの場合、ツールが警告する項目のなかに、次のような点に影響を及ぼす可能性のある、より深刻な技術的問題は含まれていない:
- クロール
- インデックス化
- レンダリング
優れたテクニカルSEO担当者ならば、ウェブサイトが上位に表示されるうえで大きな影響を及ぼしている真の問題を特定し、どのツールやリソースを使えばそうした問題を解決できるかを認識している。
したがって、技術的な問題に関しては、その内容だけでなく、それらの問題が実際にサイトに及ぼす影響にも目を向けよう。
こうしたハードスキルについて、ブラッシュアップや強化が必要だろうか? 心配は要らない。Moz Academyでは先ごろ、テクニカルSEOの認定資格を導入したので、きっと役に立てるはずだ!
「基本的なベストプラクティス」に含まれるのは、必ずしもSEOに直結するものだけではない。もちろん、
- 検索に最適化されたウェブサイトを構築して管理するために必要な、より実践的で実用的なスキルセット
は重要だが、必要なのはそれだけでない。
- 基本的なソフトスキル
も同様に重要であることはMozの専門家たちも同意しており、何人かはチームの垣根を超えたコラボレーション能力の必要性を挙げている。
MerkleでSEO担当ディレクターを務めるアレクシス・サンダース氏は、次のように言う:
テクニカルSEOの実装では通常、複数のチームと協力する必要がある。
(中略)
つまり、多くのパートナーシップ、説得、ギブ&テイクのコラボレーションが伴うということだ。
テクニカルSEOを実際にサイトに反映する際には、次のようなスキルは強い助けになるだろう:
- プロジェクトマネジメント
- クライアントサービス
- ストーリーテリング
- コミュニケーション
そのため、技術的な作業に1人で没頭するのではなく、取り組みをサポートしてくれるチームや関係者と常にコミュニケーションを取ろう。
テクニカルSEOの最新トレンド2
Core Web Vitalsに向けて準備する
現在、業界で最も話題となっているトピックの1つが、グーグルの新しい検索順位決定要因のアップデート、コアウェブバイタル(CWV)であることは間違いない。しかし、1つ疑問がある:
テクニカルSEO担当者が本当にこのコアウェブバイタルを心配する必要はあるのだろうか?
専門家たちはこの問いに「イエス」と答えている。しかしその意味は単純なものではなく、「チームで協力して対処し、SEO担当者の声を聞いてもらうべき」というものだ。サンダース氏は次のように述べている:
ページエクスペリエンスアップデートに関係する要素には、次のようなものがある:、
- Core Web Vitals
- モバイル対応
- ウェブアプリのセキュリティ
- インタースティシャル広告の削除
チーム構成に関係なく、前に進むには多様な人材が必要であり、これらの要素は利益に影響を与えるため、SEOの果たす役割は高まる。
こうした多様な切り口から対応する必要があるページエクスペリエンスアップデートだが、重点を置くべき取り組みの優先順位を付ける際は、サイトの速度改善を最優先にしよう。
Kick Pointのプレジデントを務めるダナ・ディトマソ氏は、次のようにアドバイスしている:
2021年にテクニカルSEOの1分野だけに取り組むとしたら、サイトの速度を選ぼう。
サイトの速度は、検索エンジンだけでなく、ウェブサイトを訪れるユーザーのためにもなる、テクニカルSEOの優れた要素の1つだ。
誰もが最新の技術や最速のインターネット接続を利用してウェブサイトにアクセスしているわけではないことを忘れないでほしい。
とはいえ、サイトの表示速度を改善する手法もさまざまある。そのなかでお気に入りの最適化方法について尋ねたところ、専門家たちの提案は次のようなものだった:
Cloudflareなどのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を使い始める。
HTML、CSSや画像素材、JavaScriptなどにサーバーサイドキャッシングを実装し、CSSやJavaScriptをインライン化することで、各ページへの個別のリクエスト数を最小限に抑える。
メディアファイルを最適化する ―― 次世代のフォーマットに変換したり、データの大きさや使用量を考えて圧縮したりするなど。
ページに読み込まれるサードパーティのスクリプトを調査し、不要な場合は削除するか、互換性があるものはできる限りタグマネージャ系のツールに移動する。調査に利用できるツールには、たとえば次のようなものがある:
- BuiltWith
- Wappalyzer
- Lighthouse
画像パフォーマンスの最適化に注力する。
分析チームなど社内の他のチームと協力して、タグの追加や削除のプロセスと期待値を確立する。
開発プロセスの早い段階で、ページの速度に関する要件と期待値を設定する。
今のうちにサイトの速度やユーザビリティの問題に対処しておけば、Core Web Vitalsによる検索順位の変動にも、より適切に備えられるだろう。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は「基礎に重点を置く」「Core Web Vitalsに向けて準備する」の2点について専門家らの意見を紹介した。後編となる次回は、「スキーマや構造化データの利用」「自動化の活用」「分析とレポーティング」について、専門家の意見を聞いてみる。→後編を読む
ソーシャルもやってます!