どちらが大きい? 分数を通分して比較する方法【計算が苦手な方向け】
20/25と41/50、どちらが大きい?
セミナーAのアンケート回答者数は参加者25名中20名、セミナーBは参加者50名中41名か。さてアユムさん、どちらのアンケートのほうが回答率が高いかな?
率って言ったら割合でしたよね(第1回)。比べられる量/もとになる量 で求めるんですよね……?
そうそう、割合の考えはバッチシだね。で、どちらの割合が高いかな?
分数を小数にするときには、分子÷分母でしたよね。スマホで電卓機能を探すっと…
電卓を探す時間に通分した方が速いかな。セミナーBのほうが僅差で割合が大きいね。
ツーブンツーブン、ブンブンブン、蜂が飛ぶん? 2匹だったらツーブンブンとか…
……。疲れているんだったら、早く帰って寝たほうがいいよ?
ご心配いただきありがとうございます。特に疲れてはないんですが‥滑るだけで……。で、先輩、そのツーブンとやら、そんなすぐにどうやったんですか?
客先から帰るときにドリンク剤買ってきてあげるね。では~
せんぱーい……
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:分数が苦手な方、通分が苦手な方
この記事を読む必要がない人:分数を理解している方
この記事でわかること:2つの分数の通分
大人になったら、分数は必要ない?
モリさーん、先輩が……。昔から分数の計算が苦手なんです。大人になってから分数なんて使わないですよねえ。分数を使うといいことがあるんですか?
いいことありますよー。私にとって分数のいいところは、小数で表すとややこしい数をスッキリと正確に表せることだけでなく、小数よりも割合や確率などの意味がつかみやすいこと、あとは、掛け算、割り算の計算が楽なケースが多々あることですかね。約分しながら解いていくと無敵のガンマンになった感じさえ味わえます。ふふふ。
意味がつかみやすい? 計算が楽!? ちょっとよくわからないです。小学校のときに分数で脱落して、そのまま算数・数学が苦手になってしまったので、分数を見るだけで疲れて、ギャグがつまらなくなってしまうんです。
(ギャグは関係あるかな?)そうですか。大人のための数学教室、大人塾の受講生の方も、分数が苦手な方は多いです。でも、分数をうまく使うと色々と楽になりますから、もう分数なしでは暮らしていけなくなりますよ。今回は便利さのひとつである通分について学習しましょう。
はーい! それでは、ツーブンをツツツツツーっとできる方法を教えてください!
それでは、4/5という分数を考えます。分数は割り算で、小数に直したいときは分子÷分母を計算すればいいですよ。
簡単に解けますね。4÷5⁼0.8、小数です!
次は1/7を計算してください。
電卓電卓……。(ぽちぽち)0.14285714285714……。 止まらないです。
はい、1/7を小数で表すと、142857 がループしてしまいますね。0.14285714285...…のようにループし続ける小数や、0.8のように途中でとまる小数はすべて分数で表せます。
ループする小数が分数だときれいになることはわかりました。でも、きれいな小数になるなら分数は小数にしたほうがいいってことですか?
割り切れても分数のままにしておくことはあります。特に分数や小数がからむ掛け算、割り算では分数のほうが計算しやすいからです。
なるほど! 最初にモリさんが「スッキリと正確に」と言ってた意味がなんとなくわかってきました!
改めて「分数」とは
では、どのようなときに分数を使うと良いと思いますか?
割り算のときではないのですか?
そのほか、分数の楽さを享受するのに、等分と割合は欠かせませんね。
糖分? 仕事では欠かせないですね!
それではない。等分、等しく分けることです。よく、ピザを3等分と5等分してどちらが大きいでしょう みたいな例で分数を習いますよね。
あ~! それがよくわからなかったんですよ。ピザの大きさってそれぞれ違うじゃないですか。なのに、どうして割っただけで大きさを比べられるんだろうって。ピザがSかLかで全然違うじゃないですか。
なるほど。この場合は、同じサイズのピザ1枚を分けることを考えます。そして、そこにピザの大きさの大小が出てきたら、その大きさをかけることになるんですが、それはまたちょっと別の話。
では、ここでは、サイズのことは一旦おいておくんですね。
そうしましょう。分数を見ると、「いくつ」を「なにで」分けたかわかりやすいですね。
「いくつ」が分子、「なにで」が分母ですか?
はい。60枚のクッキーを10人で分けたというのは。60/10ですね。1枚のピザを6人で分けると1/6ですね。そんな感じです。
なるほどぉ……。
通分しよう、そうしよう
とまぁ、分数について色々と見てきましたが、本題の通分に入ってみましょう。60枚のクッキーを10人で分けるとき、40枚のクッキーを8人で分けるとき、1人が多くもらえるのはどちらでしょう?
60枚のクッキーを10人で分けると60/10で表せますね。40枚を8人で分けると40/8です。60/10と40/8、計算するとそれぞれ6枚と5枚なので、10人のほうがもらう分が多いです。
正解です。
えーと、60/10と40/8のような分数のままだと比べづらくないですか? これが便利?
いい指摘です。今のはどちらも割り算がしやすいケースでした。でもそうでない場合は?
そうか、ざっくり比べるのだったらまだしも、正確に比べるには分数のまま比べなくてはいけないんですね!
そこで通分です。通分とは、分母の数をそろえることです。
先輩が言っていた計算ですね! 20/25と41/50どちらが大きいかを正確に知るために通分をするんですね。
はい、大きさを比べるときや、足し算、引き算をするときに通分をします。通分すれば同じ大きさの比較になります。
では、通分のやり方を教えてください!
20/25と41/50を見ると、分母の25の2倍が50ですね。
分数のルールとして、分子と分母に同じ数をかけても、その数は変わらないという性質があります。
分子=分母だと1だからですか? 1をかけても数は変わらないですもんね。
すばらしい。その通りです。では、25の2倍が50なので、分母にも、分子にも、2をかけます。
20×2/25×2=40/50
あ、分母がそろって、セミナーAは40/50、セミナーBは41/50だから、セミナーBのほうがちょっとだけアンケートの回答率がいいんですね!
簡単に大小を比べることができましたね。このように分母の数をそろえるのが通分です。
最小公倍数で通分しよう
今の分母は25と50だったのでわかりやすいですが、その他の場合はどうすればいいですか?
通分は、最小公倍数を求めて分母の数をそろえます。
サイショーコーバイスー 呪文のようですね。サイショーコーバイスーって何でしたっけ?
まずは公約数について説明しますね。
そもそも約数ってなんでしたっけ?
ある数を割り切れる数のことを約数といいます。例えば6の約数は6と3と2と1です。
なるほど、そうでした。
ということは、共通の約数である公約数とは?
2つの数のどちらも割り切れる数、ということ!?
その通りです。
どうやって出すんでしょう?
割り算をひっくり返したような計算をします。見覚えはあるんじゃないでしょうか。ここで、12と18の公約数を求めましょう。12と18を並べて、お互いで割れる数を左に書き、割った答えを下に書きます。これ以上、割れなくなったらおしまいです。
左の数字をかけます。2×3=6ですね。これが、最大公約数です。
共通の1番大きな約数が6ということですね。
そして、次は公倍数です。
公倍数とは、共通の倍数を指します。倍数は、ある整数を何倍かしたもの、という意味です。たとえば2は2、4、6などなどが2の倍数です。そして、最小公倍数は、2つの数の共通で最小の倍数です。
なるほど。で、どうやって求めるんですか?
この計算結果からは、左の数字と1番下の数字を全部かけると出せます。
ということは、2×3×2×3=36ですね。それでは、お互いが最小公倍数になるためには何をかけるんですか?
1番下の数字をたがいにかけます。例えば、18だったら2、12だったら3です。
わお、どちらも36になりました。なんだか最小公倍数って、数字同士が同じ未来を見ているみたいでキュンキュンしますね。
最小公倍数の青春ですね! これで、分母をそろえることができます。
この計算、割れる数を見つけられなくて途中で終わっちゃったらどうなりますか?
通分するときに、最小公倍数でなくてはいけないというルールはないので、途中で終わってしまったとしても通分はできます。
つまるところ、通分は、公倍数であればいいので、早い話、分母同士を掛けても通分はできます。最小公倍数を求めるのは、なるべく小さな数字のほうが計算しやすく、ミスが減るからですね。
たとえば、最小公倍数も求められないほど疲れた日はどうすればいいですか?
ExcelのLCM関数を使って求めるとよいでしょう。あ、先輩が帰ってきましたね。
Excelの関数も使えば、通分は怖くないですね! ありがとうございました!
ポイント
- 分数は正確に大きさを表すことができる
- 通分をすることで、分母の数を揃えて大きさを正確に比較することができる
- 分数は分子と分母に同じ数をかけてもその数は変わらない
- 約数はある整数を割り切れる数のこと
- 公約数は複数の数の共通の約数。最大公約数は共通の約数の中で1番大きいもの
- 倍数は、ある整数を何倍かしたもの。最小公倍数は2つの数の共通の倍数の中で最小の倍数
今日の問題をおさらい
Q1. 20/25と41/50、どちらが大きい?
通分すると40/50と41/50
よって、20/25<41/50
答え:41/50
Q2. 60枚のクッキーを10人で分けるとき、40枚のクッキーを8人で分けるとき、1人が多くもらえるのはどちら?
60÷10=6
40÷8=5
答え:60枚のクッキーを10人で分けるとき
Q3. 12と18の最大公約数と最小公倍数は?
最大公約数は2×3=6
最小公倍数は2×3×2×3=36
答え:最大公約数6、最小公倍数36
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